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アドビ、生成AIワークフローを組織で保存・共有できる「Firefly」新機能

ノードベースのクリエイティブワークフロー設計機能「Firefly Graph」

 アドビは7月6日、生成AIサービス「Firefly」の企業向け新機能として、「Firefly Graph エンタープライズ版」および「Firefly Creative Production エンタープライズ版」の提供を開始した。

 どちらもクリエイター個人に属人化しがちな技術やワークフローを組織の資産として蓄積し、再利用できる点が特徴。現行のAIでは判断が難しいコンテンツの品質については常に人間が意志決定をしつつ、一定のクオリティが担保されたコンテンツの生産をサポートする形でクリエイティブ制作の生産性向上を図っている。

 Firefly Graphエンタープライズ版は、ノードベースのクリエイティブ制作ワークフロー設計機能。静止画/動画/音声などの素材に施した編集処理を反復/改変/再現できる。編集には「Photoshop」「InDesign」「Premiere」「Frame.io」などCreative Cloudの各アプリが利用できるほか、GoogleやOpenAIなどのパートナーAIモデルのLLMに入力したプロンプトも参照および改変が可能。必要に応じて途中の工程を調整できることから、個別の素材に対する柔軟な対応が可能としている。作成したワークフローを保存/共有することで、クリエイティブの制作速度や精度向上、一貫性の確保、省力化が見込める。

Fireflyの生成AIモデル。ワークフローの中でGoogleやOpenAIをはじめとしたパートナー企業のAIモデルが利用できる
新機能実装の背景
Firefly Graphでアパレル商品のワークフローを構築した例
素材に施した編集処理やLLMのプロンプトをワークフローとして保存/共有可能
素材の画像を差し替えるだけで同じワークフローを再利用できる

 Firefly Creative Production エンタープライズ版は、Firefly Graphで作成したワークフローを利用して、用途に応じたコンテンツを大量生産できる機能。Graphを簡略化した「Workflow Builder」というツールを用いることで、デザイン知識のないスタッフでも、入力する素材を選んでワークフローを適用するだけで、レイアウト違いやサイズ違い、多言語対応などで一定のクオリティを保持したまま大量の出力が得られる。

「Firefly Creative Production」。デザイン知識がなくてもバリエーション違いの素材が大量に作れる。Graphよりも簡易的なUIを採用

 アドビが同日に開催した記者発表会でデジタルメディア事業営業戦略本部長の松原裕典氏は「企業が必要とするコンテンツ量の増大に対して制作体制が追いつかない問題が発生している背景を踏まえ、生成AIによるコンテンツ制作をサポートする目的で本機能を実装した」と説明している。また業務で生成AIを活用するうえで重要な視点として、他者の権利を侵害しない「コンテンツの来歴」を担保した運用基盤の整備も不可欠であると述べた。

 なお両機能は「エンタープライズ版」と名前がついているが、一般ユーザーへの提供は発表時点で未定となっている。

アドビ株式会社 デジタルメディア事業 営業戦略本部 執行役員本部長の松原裕典氏

 あわせて、4月より提供を開始している企業向けブランド管理機能「Brand Intelligence」についても、ターゲット層の反応をAIエージェントが予測する「シミュレート機能」を追加した。Brand Intelligenceは、企業のブランドが規定しているガイドラインやルールに沿って、制作中コンテンツの訂正案を提示する機能。ガイドラインだけでなく、コンテンツの制作過程で関係者が指摘した内容や、過去に制作したコンテンツの反響も学習し、ブランドイメージやコンプライアンスの維持に役立てる。

 シミュレート機能では、ターゲット層の実データに基づくペルソナとして「合成オーディエンス」を作成し、制作物の評価を行なう。A/Bテストによる選択結果と、選択の根拠となった定性的なデータが取得できる。これによって、市場調査にかかる費用や時間的コスト、A/Bテストそのものの影響で実際のユーザーが離れるリスクを低減できるとしている。

企業ブランドに規定したルールだけでなく制作過程も学習してブランド価値を理解する「Brand Intelligence」
ブランド規定に基づいてコンテンツ制作上の問題点を指摘する
自社の広告をBrand Intelligenceで検証した例
「合成オーディエンス」によって事前調査コストやテストによるユーザー離脱リスクを低減する