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レノボ、ThinkPad/ThinkCentre新製品発表会を開催
~タッチ/デジタイザーペン対応モバイル液晶を投入予定
(2013/7/17 19:45)
レノボ・ジャパン株式会社は17日、「Think」シリーズ新製品の発表会を開催した。
発表されたのは、ノートPCが「ThinkPad X240s」、「ThinkPad T440s」の2機種、デスクトップPCが「ThinkCentre M93p Tiny」、「ThinkCentre M93p SFF Pro」、「ThinkCentre M93z All-In-One」の3機種。いずれもIntelの第4世代Coreプロセッサー・ファミリーを搭載し、さまざまな改良を施している。
合わせて、ディスプレイの新製品として24型フルHD液晶「ThinkVision LT2423 Wide」、19.5型HD+液晶「ThinkVision LT2013s Wide」、19型SXGA液晶「ThinkVision LT1913p」も発表されている。7月23日より順次発売予定。
新製品とは別に、参考出展としてタッチ対応13.3型モバイルディスプレイ「ThinkVision LT1423p」を投入すると発表した。1月の2013 International CESで展示されてたもので、国内ではUSB 3.0接続版が9月中旬、ワイヤレス版が10月下旬を予定。
解像度1,600×900ドットのAH-IPSパネルとゴリラガラスを採用し、10点タッチおよびデジタイザーペン(筆圧256段階)に対応する。USB 3.0版はUSBバスパワーで動作し、ケーブル1本で接続可能。重量は約770g。ワイヤレス版は無線LAN(2.4GHz/5GHz)で接続するタイプで、約4時間駆動のバッテリを内蔵し、重量は約1.1kgになるとしている。
発表会の冒頭、レノボ・ジャパン株式会社 執行役員常務 研究・開発 大和研究所の横田総一氏が挨拶。当初は社長に就任したばかりのロードリック・ラピン氏が行なう予定だったが、都合により欠席ということで横田氏が代役を務めた。
まずレノボの現状について、IDCの調査で2013年4~6月期PC世界シェア1位(16.7%)に触れ「開発側としては嬉しい限り」と表現した。15四半期継続して成長しており、台数シェア、売上金額は2009年から2013年にかけて倍増したという。好調な実績を受け、横田氏は「勢いを持って事業に取り組んでおります」と語った。
現在の市場は、タブレットデバイスが浸透し、急成長分野のタブレットやコンバーチブルに「PC+」(ピーシープラス)として取り組んでいるという。レノボとして「ユーザーの利用シーン拡大に合わせて、最適化した製品を最新の技術で提案する」とした。
Thinkブランドにおいて、企業向けでこだわっている部分が堅牢性とし、今回の新しいTinyにおいても、ThinkPadと同等の堅牢性試験を大和研究所で実施。米国軍用規格に適合させた。横田氏は「ThinkCentreも企業向けクライアントなので、普段からThinkPadと技術を共有している。ThinkPad基準をThinkシリーズ全体へ広げる」という。
現在レノボグループの国内開発拠点は横浜の大和研究所だが、NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)の大崎/米沢の拠点とも密にコミュニケーションをとって協業を進めているとする。一例として、2012年に登場した「LaVie Z」と「ThinkPad X1 Carbon」はACアダプタを共通化できたという。開発拠点としてNEC PCの米沢が加わることで、日本のニーズが世界レベルになるとし、最後に横田氏は「チームジャパンとして日本で培った技術を世界に発信していきたい」と意気込みを述べた。
続いて、同社 Thinkクライアントブランドマネージャーの土居憲太郎氏が企業向けの「PC+」を説明。企業向けPCの割合は、デスクトップが45%、ノートが55%だという。2011年3月11日の震災後にノートPCの需要が伸びる可能性を見ていたが、あまり変わらず推移しているという。
ノートPCのうち、7割をデスクトップリプレースメントの15型前後の製品が占める。従来の企業のIT投資はオフィス内の生産性向上が中心で、外出が多い社員にはノートPCという形で、1人に1デバイスだったが、今後はタブレットが保険業界や教育機関で活用されていくのではないかと期待を寄せる。実際に、「ThinkPad Tablet 2」が保険業務や渉外担当に使われ始め、Windows XPサポート終了が迫る中、Windows 7ではなくWindows 8導入の検討としても使われているという。
土居氏は「生産性能向上はミスを減らすことが重要だと考える」とし、業務は常に最新の情報を与える、得ることが大事で、場所によって使うデバイスを変えるマルチデバイス時代へ進むと期待している。特にモバイルの需要が高い日本で求められる製品を投入し、新しい働き方への提案として、「軽さ/小ささ、性能、堅牢性などを兼ね備えたThinkシリーズにご期待をいただければ」とまとめた。
次にThinkPad Tablet 2のドコモXi対応版投入もあり、ゲストとして株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ 取締役常務執行役員 法人事業部長の眞藤務氏が招かれた。
NTTドコモは法人向けにWindows 8を扱い始めたが、ThinkPad Tablet 2を中心に「法人事業の実感として需要が非常に高い」という。眞藤氏は「ThinkPad Tablet 2のXiモデルはドコモとしても力強い味方が増えた。LTE内蔵になったおかげで、万が一、紛失した場合でもリモートでロックやデータ消去ができる。法人用として大きなメリットだと考えている」と期待を寄せた。
NTTドコモとしてもXiの高速化を進めており、2013年6月末までに112.5Mbps対応エリアを130都市以上、75Mbps対応基地局数を17,300局以上と、当初の計画を大幅に上回るペースで拡大し、「LTE基地局もがむしゃらに増やしているのでご期待いただきたい」と語った。
新製品については、レノボ・ジャパン株式会社 製品事業部 ThinkPad製品担当の吉原敦子氏、同 ThinkCentre・ThinkVision製品担当の大谷光義氏が解説した。
ThinkPadの今回の薄型化は、HDDブラケットのラバー構造の見直しで改良および軽量化したほか、無線LANモジュールをM.2(NGFF)にして小型化し、実現したという。また、クラムシェルタイプとして初めて、天板のThinkPadと“Lenovo”のロゴマークを開いて正面から見えるように、これまでと逆向きに変えたこともアナウンスした。ヒンジは薄型化のため奥側へ倒れるドロップヒンジを採用。ThinkPad X230は本体から上向きにヒンジがあったため、180度開くと液晶側が宙に浮いた状態になっていたが、今回のドロップヒンジは床との隙間が無くなり、180度開いた時のタッチ操作の安定性や見やすさを高めたという。
デスクトップは2003年まで「NetVista」の名称だったため、ThinkCentreとThinkVisionは2013年で10周年を迎える。大谷氏はこれまでの歩みを振り返り、「小型化に向かったのがThinkCentreだった」とし、ThinkVisionは環境配慮を進めた10年だったという。
デスクトップがオフィス内でのコンテンツ作成やデータ処理を行なうため、「大きな画面や複数の画面、性能、入力などの快適な環境を提供したい」と今回の製品を表現。1人あたりの作業スペースが減少してきている中でTinyを投入したが、今回の製品はユーザーからの不安を解消しつつ、利便性と前モデルからの継続性、ThinkPadとの共通化を進めたという。それが米国軍用規格への適合や、冷却の強化、キーボードからの電源オン、電源オフ充電対応USBポート、オプショナル・ポートの拡充、マウント対応ディスプレイの拡大といった強化に繋がったという。
このほか、製品の詳細については関連記事を参照いただきたい。