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レノボ、ThinkPad発表会で薄くなったX240を解説
(2013/10/16 19:23)
レノボ・ジャパン株式会社は16日、「ThinkPad」シリーズの新製品発表会を開催し、モバイルの主力機となる「ThinkPad X240」の技術説明を行なった。製品については関連のニュースをご覧いただきたい。
ThinkPad X240の技術説明は、大和研究所 第一 ノートブックシステム設計 担当部長 塚本泰通氏が行なった。
今回目指したのは、薄型軽量化、シンプルなデザイン、ユーザー体験の向上の3つ。具体的には、単純化と現代的なデザインを持たせ、堅牢性、保守性、拡張性、快適さ、生産性を充実させることだったという。
最も大きな変化点は、「デュアルバッテリフォームファクタ」を採用したこと。このコンセプトは、バッテリを本体の2カ所に分散して設置するもので、内蔵バッテリと着脱可能なバッテリパックによるホットスワップ機能を実現でき、薄型化や駆動時間や価格といったさまざまなニーズに応えられるものになる。
コストの面も配慮されており、バッテリパックは円筒形電池6セルと同じ面積になるようにしたほか、その面積で薄型化できる3セルのバッテリを開発。その薄型化したセルを内蔵の3セルに使えるよう共通化している。これらは先に発表された「ThinkPad X240s」や「ThinkPad T440s」、同日発表の「ThinkPad T440」にも使われており、部材の共通化でコストを抑えている。
薄型軽量化への挑戦としては、ボトムケースの変更が大きい。従来はボトムカバーとして1枚板を張ったような形だったが、筐体底面を覆うボトムケースに変更。これにより材料を一層分減らし、開いた際に全体が見られるようにメンテナンス性も高まった。
続いてHDDの耐衝撃構造を解説。要点はHDDブラケットデザインの変更で、ラバー構造の見直しで衝撃吸収を向上させつつ、17gの軽量化と1.6mmの薄型化を実現した。
従来のHDDブラケットは、HDDを覆う形状でゴムを側面に付け筐体に収めていたが、新しいHDDブラケットは側面と底面だけに装着する形状に変更。従来の側面ゴムの方式は、ショックをゴム側で受けて吸収していた。新しいブラケットは側面のHDDが当たる部分にエラストマーを用いて、2.5インチHDDのネジ穴に対してピン状に伸びたエラストマーを挿して固定し、HDD自体が宙ぶらりんの構造でショックを吸収している。HDDの側面/底面を覆う形状のシールドシートも装着されているほか、底面部のシールドシートを伝導性テープでも補助している。レノボによると、従来の側面ゴムで覆っていたものよりも、衝撃吸収性能を43%改善したという。
筐体底面にあるゴム足も変更しており、従来は太めのゴム全体で衝撃を吸収していたが、新しいものは空気の入った細い形状になった。これは、ゴムが温度変化に弱く、寒い地域や環境ではゴムが固くなり衝撃吸収にならないため新方式を採ったという。X240s、T440sでもすでにこれらのHDDブラケットやゴム足が採用されている。
トラックポイントの高さも減らしており、制御基板をスペースキー裏のスペースに配置したり、小型化したりといった工夫で、X230の5.65mmから4.6mmまで薄くした。基板も大きく変更し、ドッキングコネクタの変更や、回路用パーツの小型化などを進めて面積で26%の小型化、重量で37%の軽量化を達成した。
ユーザー体験の向上としては、デュアルバッテリフォームファクタによるホットスワップ「Lenovo Power Bridge Technology」を搭載し、連続稼働させたまま予備バッテリに交換できることをアピール。また、キーボードのメンブレンスイッチの当たる位置にダンパー穴を設け衝撃を緩和しつつ、キーボードサポート用プレートをヒンジ位置のブラケットでも固定する構造を採用し、キーボード周辺は多くの位置でネジ止めを行なったことで剛性が向上し、長時間の入力でも疲れにくくなったという。
ボタン一体型トラックパッドにも変更を加え、キーボードで培ったパンタグラフのラバードームスイッチを採用することで、均一のクリック感と、モジュールごとの最適化が可能になったという。
冷却ファンも「第7世代フクロウファン」にアップデートされ、耳障りな音が減るような新型ブレードを採用。ヒートパイプは薄型化を進めつつ、X230より12℃の温度低減を達成したという。
会場にはそのThinkPad X240を分解したものなどが展示された。