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思ったほど速くなかったCore Ultra 200Sのゲーム性能が来年1月に改善へ

 米Intelは18日(現地時間)、Core Ultra 200Sが正式発表となった際に各メディアが公開したレビューについて、ゲーム性能にかなりのばらつきがあり、Intel内部のテストと一致しなかった原因について分析し報告した。

 Core Ultra 200Sのベンチマークが解禁となったのは10月25日だが、当時Windows 11 24H2環境ではWindowsの電源プランを「高パフォーマンス」に設定しないと性能が出なかったり、Intelが謳っていた性能に達せずに終わるケースがあった。このためIntelは10月26日に原因を調査していた。

 今回、性能や機能に影響を及ぼす可能性があるのは5点だと明らかになり、それに対する対策も公開。そして2025年1月にパフォーマンス最適化をするBIOSの配布を開始するとアナウンスした。

Core Ultra 200Sの性能の問題

パフォーマンスと電源管理(PPM)パッケージが誤っていた

 Windowsでは電源プランを通じてプロセッサを制御する。このためハードウェアベンダーはWindows Updateまたはチップセットドライバを通じてパラメータを更新し、基盤となるシリコンに適合させるのが慣例であった。この更新が欠落か不完全、誤動作していると、CPU周波数のランプ速度やコアパーキング、Cステートのエントリ/終了/レイテンシ、DVFSやほかの電源管理機能に悪影響を及ぼす。

 今回Intelは、Windows Updateパッケージをレビュー担当者向けではなく、ユーザー/小売店向けとして誤ってスケジュールした。これによりCPUスケジューリング動作の異常、ベンチマーク実行ごとの大きな変動、シングルスレッド性能の低下、断続的なDRAMレイテンシの急上昇(予想の最大1.5~2倍)、およびWindows 11 23H2/24H2間の違いにつながった。

 これにより約6~30%程度の性能の影響があるという。この問題は、Windows 11 26100.2161(KB5044384)で解決済み。

Intel Application Performance Optimizer(APO)が機能せず

 Intel APOはゲームとOS内でリアルタイムのスレッドスケジューリングを最適化し、性能を向上させるソフトウェア。ところが先述のPPMの欠落により正しく動作せず、Intel APOの有無に関わらず性能に変化がなかった。

 これにより、約2~14%の性能差があると推定している。この問題は同じくWindows 11 26100.2161(KB5044384)で解決済み。

Easy Anti-Cheatでブルースクリーンエラーが発生

 ゲームにバンドルされている2024年4月またはそれ以前のEasy Anti-CheatドライバとWindows 11 24H2の相性問題により、ブルースクリーンエラーが発生する。性能には影響はないが、ゲームがプレイできなくなる。

 Epic Gamesは影響を受ける開発者/パブリッシャーに、更新版のEasy Anti-Cheatドライバを配布しており、更新すれば問題が回避される。

レビュー時の誤ったBIOSパフォーマンス設定

 BIOSによっては、Resizable BAR、Intel APO、コンピューティングタイルリングの周波数、メモリコントローラの比率、持続的/一時的な電力制限などの設定が異なる。プレビュー版のBIOSの中では、1つまたは複数が誤って構成されているものがあり、高いメモリレイテンシ、不規則または変動するコンピューティングタイルリング周波数、動的または予測不可能なワークロードでのスコアの変動などにつながった。

 これらはアプリケーションまたはBIOSの設定によって異なるが、推定で約2~14%程度の性能差があるという。現在のIntel Z890マザーボードのBIOSではこの問題は解消されているという。

最後のピース:マイクロコードとCSMEファームウェアの更新

 そして5番目は、Intelが最近開発したパフォーマンス最適化機能の実装だ。エンドユーザー向けのBIOSは2025年1月前半を予定しており、BIOS更新によりマイクロコードバージョン0x114、CSMEファームウェアキット19.0.0.1854v2.2(またはそれ以降)で提供される。

 このアップデートにより、一桁範囲での性能向上(35種類のゲームの幾何平均)が見込めるとしている。なお、メディア向けにはCES期間中にアップデートを提供するとしている。

 最後にIntelは、これらの問題の再発を防ぐための新しいプラクティスやポリシー、手順を実施するとしたほか、RedditやBlueskyといったサービスを通じてフィードバックをしたユーザーに対して謝辞を述べた。

Core Ultra 200Sの改善策