ニュース

33%→99%。ミリ波エリアカバー率が大幅に向上する無線中継技術。KDDIと京セラ

道路カバー率が3倍に向上

 KDDIおよび京セラは、ミリ波のエリアを飛躍的に高められるという無線中継技術の開発に成功したと発表した。

 ミリ波帯は高速通信が可能なため、人が集中する場所で設置しているが、直進性が強いため、ビルや入木などの影響を受けやすい。ほかの周波数帯と同様にビルの屋上などにアンテナを設置する場合は、ミリ波帯の通信エリアが狭いエリアに点在して形成される。そのため、連続/緻密な展開には、多くの基地局の投資が必要で、設置場所の確保、バックホールとなる光ファイバ回線の敷設や運用コストも課題となる。

 今回開発された技術は、従来の無線中継技術で構成される受信機能(ドナー)と送信機能(サービス)の独立概念を一新。各アンテナがドナー面とサービス面の両機能を具備し、動的に切り替える。受信したミリ波基地局の電波の中継網を、中継器自体が自律的に相互に連携してメッシュ状につながることが可能で、ミリ波エリアを効率的に拡張。遮蔽物などによって中継ルートなどが遮断された場合でも、常に無線品質の良い中継ルートを自動で選択するようにしたという。

従来の技術との比較
中継ルートの最適化
自律的なメッシュネットワークの形成

 さらに、中継器装置は電源供給だけで動作し、バックホール回線も必要がない。本体サイズも216×216×246mm、重量は4.9kgと小型/軽量化することで、街路灯などへの設置も可能とした。

 この中継機の効果を検証するため、東京都と新宿区が保有する街路灯に設置し、フィールドでの性能確認を実施。西新宿ビル街に合計22台の中継機を設置してミリ波エリアを測定した結果、既存のミリ波カバー率と比較して、道路のカバー率が33%から99%に拡張されたという。なお、試験期間は2024年10月29日から2025年3月31日までとなる。

道路への設置

 この技術は6Gにおいても適用可能であるとしており、高周波数帯の利用促進に貢献できるとしている。