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富士通と理研、新型超伝導量子コンピュータを開発

連携センターで開発した超伝導量子コンピュータ

 富士通株式会社理化学研究所は5日、両者が共同で設立した理研RQC-富士通連携センターにおいて、新たな64量子ビットの超伝導量子コンピュータを開発したと発表した。

 2023年3月に公開した国産初の64量子ビット超伝導量子コンピュータをベースとしたもので、64量子ビット量子集積回路チップには垂直配線パッケージを採用し、拡張性も確保したという。理想的には最大で2の64乗個の状態の重ね合わせ計算が行なえるとする。

 また、量子コンピュータ向けアルゴリズムの計算の一部を量子シミュレータが担うハイブリッド量子アルゴリズムも開発。大きな分子を複数のフラグメントに分割する量子化学計算手法(Density Matrix Embedding Theory、DMET)と量子アルゴリズムを利用し、大規模な分子を高精度に計算する。

ハイブリッド量子コンピューティングプラットフォームの概要

 本技術は、富士通が開発したハイブリッド量子コンピューティングプラットフォームに活用。AWS Lambdaなどを用いたスケーラブルなクラウドアーキテクチャで、共通のAPIを介して量子コンピュータと量子シミュレータにアクセスできる環境を企業や研究機関に提供する。

 理研RQC-富士通連携センターでは今後、さらに大規模な1,000量子ビット級の量子コンピュータを実現する技術開発に取り組み、順次技術をハイブリッド量子コンピューティングプラットフォームを通じて展開していくという。また、量子計算シミュレーション技術の研究開発や、量子コンピュータとHPPCの連携のためのソフトウェア技術の研究開発も進めるとしている。