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理研、光の偏光で焦点距離を制御するメタレンズを開発

光の偏光方向で焦点距離を制御できるメタレンズ

 理化学研究所の光量子光学研究センター フォトン操作機能研究チームの田中拓男チームリーダーらの国際共同研究グループは、光の偏光で焦点距離を制御できるメタレンズを開発した。同技術は、小型で高性能な光学機器の開発に寄与する可能性がある。

 従来の焦点距離可変レンズは、複数のレンズを機械的に動かすことで焦点距離を調節するため、焦点距離を即座に変えにくく、レンズの駆動機構が必要になることから、光学システムが複雑かつ大型化するという課題があった。

 新たに開発されたメタレンズは、光の偏光方向を変えるだけで焦点距離を調節できるため、レンズの応答速度が向上し、光学システムの複雑性の軽減が可能となった。

 このメタレンズは、約750nm厚の極薄レンズで、特定の光の偏光にのみ応答する異方的なナノ構造で構成されている。この構造により、光の偏光方向を変化させることで、レンズの焦点距離を自在に調節できるという。

メタレンズの構造

 本研究の成果は、小型で高速に焦点位置やズーム率を変化させることができるレンズの実現を示唆しており、スマートフォンのカメラや拡張現実ディスプレイ、医療用光学機器などの幅広い分野への応用が期待される。