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脳埋め込み型インターフェイスの被験者募集開始。考えるだけで電子機器を操作

N1インプラント

 イーロン・マスク氏が出資する脳インターフェイス技術開発のNeuralinkは19日(米国時間)、脳に接続するインプラント「N1」を埋め込む臨床実験「PRIME Study」の被験者の募集を開始した。臨床試験を通じてN1の安全性、および手術ロボット「R1」を評価し、麻痺がある人でも考えるだけで外部デバイスを制御できるようにするためのBCI(ブレインコンピュータインターフェイス)初期機能を評価する。

 本研究は、2023年5月にFDAから認められた治験機器免除(IDE)に基づいて実施される。被検対象は、頸髄損傷または筋萎縮性側索硬化症(ALS)による四肢麻痺がある22歳以上の患者。BCIの最初の目的は、人間が考えるだけでコンピュータのカーソル移動や、キーボードの制御が行なえるようにするものだとしている。

 N1インプラントは、運動の意図を制御する脳の領域に対し、極細で柔軟な糸を外科的に接続し、脳からの信号を無線信号に変えて外部の電子機器を制御する。具体的には、まず64スレッドに分散された1,024個の電極から神経活動を記録。そしてカスタムの低電力チップと電子機器が神経信号を処理し、Nueralinkアプリに無線で送信、そのデータストリームを「アクション」や「意図」にデコードする。

 N1の筐体は生体適合性があり、回路などを密閉する。誘導充電器が内蔵されており、外部からバッテリを無線で充電できるようになっている。

手術ロボットR1

 一方でN1インプラントの糸は人間の手では挿入できないほど細いもののため、R1手術ロボットを介して手術を行なう。ロボットのヘッドには5つのカメラシステム、光干渉断層撮影(OCT)システムの光学系が内蔵されており、髪の毛よりも細い針が糸を掴んで挿入/リリースする。

 各試験は約6年間継続して行なわれる。自宅およびクリニックへの訪問診療が約18カ月間続くほか、1週間最低2セッション、BCI研究への参加が求められる。また、5年間のうち合計20回の長期フォローアップも提供する。