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ドコモとスカパー、成層圏でも通信サービスを可能にする38GHz帯の電波伝搬に成功

実験で使用した有人航空機

 株式会社NTTドコモおよびスカパーJSAT株式会社は24日、世界で初めて上空約14kmの成層圏下層から地上の受信機への38GHz帯の電波伝搬実験に成功したと発表した。

 両社は成層圏(上空約20km)に通信装置を搭載した高高度プラットフォーム(HAPS)を飛行させ、空や海を含むあらゆる場所への通信サービスの提供を検討しているが、今回の実験では高速通信に適した38GHz帯を利用した成層圏から地上の固定局への通信サービス提供の実現の可能性を実証した。

 実験では、エアバスが制作した送信機搭載の有人航空機を成層圏下層(上空約14km)で飛行させ、この送信機から38GHz帯の電波を送信し、地上に設置した受信機で、複数の仰角における電波の伝搬特性を測定。

 また、晴れ/曇り/雨のそれぞれの気象条件下で測定を行なっている。その結果、厚い雲を通過する場合であっても38GHz帯の電波に対する影響が小さいことや、傘が不要な程度の小雨において、机上計算値と同等の電波減衰が確認されたという。

 さらに、HAPSの実運用を見据え、旋回運動をする航空機を追尾できる地上受信機を使用し、気象条件下での測定を含めてHAPS研究開発と実用化に資する測定データを取得したとしている。

 今回の実験を行なった技術はカバレッジ拡張に有効であり、今後はこの実験結果を活用してHAPSを用いたネットワークの早期実現を目指す。

今回の研究開発におけるHAPSシステムの概要