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東京理科大、磁気渦の解析に成功。磁気メモリの信頼性向上へ

 東京理科大学先進工学部マテリアル創成工学科の研究チームは、トポロジーと機械学習により、磁気メモリにおける磁気渦の制御メカニズムの解析に成功したことを発表した。

 磁性体のスピンが円を描くように回転することで形成される渦である磁気渦は、スピントロニクスデバイスにおける情報書き込みや演算処理などで重要な役割を担うもの。しかし、磁気渦の挙動の制御は困難で、情報書き込みの過程を精密に解析する手法は確立されておらず、デバイスの信頼性の低下が問題となっていた。

 同研究チームは、最新数学のトポロジーと解釈性の高い機械学習を用いて、磁気渦の生成過程を解析する方法を開発。結果、人間では気づかない隠れた特徴量を発見し、情報書き込みの結果が事前に分かる解析手法を実現したという。

 また、この特徴量には交換エネルギーが関係しており、加えて、マクロな書き込み結果の原因をミクロな磁区構造にさかのぼって特定することにも成功している。これは、カオス現象におけるバタフライエフェクトの解析にも応用可能であるという。

 本研究結果は、メモリ機能において重要な磁気渦の精密制御に応用できるもので、スピントロニクスデバイスの信頼性向上や省エネルギーに貢献し、将来的には量子コンピュータなどへの活用も期待できるという。