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汗で発電するウェアラブル電池、東京理科大が和紙をベースに開発

 東京理科大学理工学部の研究グループは15日、筑波大学、理化学研究所、山形大学らと共同で、汗中乳酸を用いて高出力を生み出せるとするウェアラブル型バイオ燃料電池アレイを開発したと発表した。医療分野やスポーツ、トレーニング管理などで汗中乳酸モニタリング用ウェアラブルデバイスへの活用が期待されるとする。

 現在のウェアラブルデバイスでは、安全かつ長寿命で十分な出力を持つウェアラブル型電池の実用化が課題の1つとなっており、同研究グループはこれまでグルコースなどの物質で発電できるバイオ燃料電池の研究をしてきた。

 今回、同研究グループは汗に含まれる乳酸に着目し、それを燃料として動作する無線通信可能な自己発電型ウェアラブル乳酸センシング・デバイスの開発を目的に研究を行なった。

 用意したバイオ燃料電池アレイは、撥水コーティングを施した和紙上に、導電性のカーボン層をスクリーン印刷し、さらにその上に多孔性炭素電極をスクリーン印刷。それぞれ隣り合った炭素電極上にビリルビンオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼを固定化して正極/負極とし、それらの上に和紙を重ねるという構造で構成した。電極の配列(アレイ)は、1組の正極・負極を直列方向、並列方向に1組~最大6組並べる構造とした。

 測定では、乳酸オキシダーゼの固定量を40 U/平方cmとした場合で、0.113~4.30mWとなり、薄膜型乳酸バイオ燃料電池よりも高い出力を示した。

 このバイオ燃料電池アレイで動作する回路を設計し、ワイヤレスのBluetooth通信を用いてスマートフォン上でモニタリング可能な、自己発電型ウェアラブル乳酸センシングデバイスを作製。実際に人工汗液を用いて乳酸濃度をモニタリングできることを確認した。また、6×6アレイの本バイオ燃料電池アレイを用いた場合、市販の活動量計(平均消費電力1.44 mW)を1.5時間作動させることに成功させたという。