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VR空間で話し相手の位置と声の位置をずらして印象を向上。筑波大が調査

 筑波大学 システム情報系 善甫啓一 助教らによる研究グループは9日、話し相手の位置と話し声の位置のずれがもたらす印象の変化について、調査結果を報告した。

 人間は視覚情報と聴覚情報を活用して対話相手を認識している。通常の対話では、相手の口元から発生したものとして認識するが、腹話術で人形がしゃべっていると錯覚する(腹話術効果)ように、多少の位置的なずれを許容する場合もある。

 また、相手との関係性によって範囲が変わるものの、他人に近付かれると不快に感じる領域であるパーソナルスペースを持っており、物理的に近くに感じている人間を親しいと錯覚することも知られている。

 研究グループでは、物理法則などを逸脱できるVR空間の特性を活かし、店舗販売員を想定した6種類のVRアバターをパーソナルスペースの境界上に配置。話し声の発生位置を腹話術効果が有効な範囲で変化させ、各VRアバターへの聞き手からの印象の違いを調査した。

 その結果、目で見る情報と耳で聞く情報が一致しない場合、パーソナルスペースは主に前者で決定されることに加え、個人差はあるものの、声の発生位置がVRアバターから多少ずれていても、腹話術効果によってそれが無視されることが分かった。

 また、腹話術効果の範囲内で声の発生位置を近づけると、パーソナルスペース内にも侵入でき、VRアバターに対する印象が向上した。一方で、条件によっては印象の低下を引き起こすことも判明した。

 同グループでは今後、アバターの見た目や声質が与える影響などについても調査を進めるほか、現実で会話したときの印象評価や接客術などを取り入れたメタバースにおける対人手法の研究にも取り組むとしている。