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出社率18%の日本マイクロソフト。ハイブリッドワークを支えるWindows 11とSurfaceの活用
2022年11月18日 06:11
日本マイクロソフトは、ハイブリッドワークをテーマとしたイベント「ハイブリッドワーク 2022 シーズン2 〜進化を続ける Windows 11 と Surface の最新情報〜」を開催した。同イベントは、2022年6月9日にも開催しており、今年は2回目となる。日本マイクロソフトの品川本社から配信を行なうとともに、今回は約30人が現地から参加することができた。
1年ぶりの大型アップデートが提供されたWindows 11、クラウドPCであるWindows 365、SurfaceやMicrosoft Teamsなどに関する製品を紹介するとともに、ゼロトラストセキュリティへの取り組みや、マイクロソフトの働き方など、ハイブリッドワークに関わる最新情報を発信した。
なお、イベントの中では、2022年6月にサポートが終了したInternet Explorer 11(IE11)についても言及。
「2023年2月14日に予定されているWindowsセキュリティ更新リリースの一部として、IE11を完全無効化し、起動できなくする。ぜひMicrosoft Edgeを使ってほしい。Windows以外にも、iOS、Android、そしてLinuxでも利用できる。Chromiumを利用しているため、モダンなWebページも閲覧できる。Edgeの中では、IEを動作できるIEモードを用意しているが、IEモードも2029年までのサポートになっている。WebサービスやWebアプリを移行することを検討してほしい」と呼びかけた。
「働き方をアップデート! マイクロソフトが実現しようとしているこれからの働き方」と題した講演では、日本マイクロソフトにおける新たな働き方への取り組みを紹介した。
日本マイクロソフトでは、コロナ以前から、テレワークを導入。出社率は68%となっていたが、コロナ禍での2022年2月以降は、出社を原則禁止とし、在宅勤務を強く推奨。出社率は5%以下となる時期もあったという。
2022年3月からは、オフィスの利用を可能としたものの、在宅勤務を推奨する形で運用。2022年6月からはオフィスの利用および在宅勤務ともに可能にし、社員一人一人が出社する比率を申告。本社で外部からの来客を迎えることも可能になった。
日本マイクロソフト モダンワークビジネス本部の山崎善寛本部長は、「コロナ禍で移住した社員がいるなど、すでに生活環境が変化していることや、コロナ禍で入社した社員は、リモートワークが当たり前の中で研修を受け、オンラインでOJTを行なっている。現在、出社率は18%。会社に出社できるようになっても、2割以下に留まっている理由はそこにある」と自己分析する。
日本マイクロソフトの品川本社は、2022年6月にリニューアルを完了したばかりであり、「オフィスに求めるものが変わっている。人に会うためや、人との関係を強くするために会社に来るという社員が多い。オフィスは、これまでの考え方を変え、共創づくりの場とする必要がある」とした。
一方で、従業員の多様性についても言及。現在、Microsoft全体で、コアビジネスに携わる従業員の女性比率は30.7%、人種的および民族的マイノリティの割合は53.2%、自身に障碍があると申告した従業員は7.8%となっており、過去5年間で最も多様性が進化したという。
「日本マイクロソフトにおいても、女性比率が高まっており、マーケティング部門では女性比率が50%を突破した。海外から働き、日本語をまったく話せない社員もいる。2年間まったく顔を合わせたことがない社員もいる」という。
直接、顔を合わせたことがない社員同士が連携しやすいように、ローコードツールのPower Platformを利用して自己紹介用のアプリケーションを独自に開発。新しい社員が質問しやすい環境も作っているほか、Microsoft Vivaを利用して、学びの場を提供したり、どんな人と会議を行なったのかを定量的に示すことで、リモートワークの質を自己評価することができるという。
また、新入社員にSurfaceを貸与する場合は、まっさらな状態で自宅に郵送し、インターネットに接続し、IDとパスワードを入れるだけで、アプリケーションが配信され、セキュリティ環境までセットアップできるようになっていることも紹介した。
「VPNを利用せず、インターネットに接続し、セキュアに設定し、利用が可能になっている。Azure Active DirectoryとIntuneにより、ゼロトラストベースのエンド・トゥ・エンドのセキュリティを実現している」と述べた。
さらに、「Microsoftのセキュリティは、企業向けというイメージがあるが、先ごろMicrosoft Defenderの機能を家庭向けのMicrosoft 365 PersonalおよびFamilyにも提供を開始した。個人用のiPhone、Android、PCでも利用できる。企業のデバイスも、個人デバイスも安心して利用してもらえる環境が整う」と語った。
年次イベント「Microsoft Ignite」で発表されたMicrosoft Teamsの新機能についても紹介。
Microsoft Teams Premiumでは、会議時にリアルタイム翻訳を字幕で表示できるようになること、Mesh avatars for Teamsによって、メタバース空間において、アバターを通じてTeamsの会議に参加できること、Microsoft Teams Roomsの拡張により、シスコシステムズから認定デバイスが登場したり、HPが買収したPolyから、Bang & Olufsenの技術を利用したスピーカーを搭載したスタイリッシュなTeams Roomsデバイスが登場したり、360度インテリジェントカメラであるYealink SmartVision 60による没入型の会議が可能になったりすることなどを紹介した。
「会議字幕リアルタイム翻訳は多言語対応し、日本語で話をしても、会議の参加者は英語やイタリア語など、それぞれに最適な言語を選択し、リアルタイムで翻訳した字幕を見ることができる。Microsoft Teams Premiumの新機能として間もなく提供することになる。また、Mesh avatars for Teamsでは、外出先にいるため、カメラはオンにはできないが、インタラクティブに参加したいという場合にも有効であり、カメラを通じて自分の動きをアバターが表現したり、リアクションできたりする」と述べた。
Windows 11の最新動向については、日本マイクロソフト モダンワークビジネス本部の春日井良隆氏が説明。
「Windows 11はハイブリッドワークのためにデザインしたOSであり、その姿勢をもとにした進化を遂げている。必要な情報に少しでも早く辿り着くこと、PCの利用時間が増加する中で、その間のストレスを減らすことにこだわっている。クリックせずに、カーソルを合わせるだけでウィジットが表示され、いまやらなくてはならないことがすぐに理解できたりする。角を丸くしたデザインは柔らかい印象を持ってもらうためのものである」などとする。
また、「2022年9月から提供を開始した『22H2』では、アプリケーションをホルダーの中に入れて見つけやすくしたり、ニーズに合わせてスタートメニューのレイアウトと変更したり、エクスプローラの中でタブを利用できるようにしている。通知メニューの中には応答不可のアイコンを用意しており、集中して仕事をしたい場合には有効である。地味だが気に入ってる機能の1つ」とした。
Windows 11に標準搭載されているビデオ編集機能のClipchampでは、TikTokやYouTubeでも使いやすいテンプレートを用意。コンシューマ利用だけでなく、ビジネス用途での利用にも適していることを強調。
さらに、Amazonアプリストアからアプリを利用できることを紹介。「Windowsには提供されていない日経電子版のアプリを開いて、Windows上で見ることができる」などと述べた。
このほか、フォトアプリで提供された新機能として、iCloudフォトが追加され、iPhoneで撮影した写真が、Windows 11で閲覧できることも紹介した。
Windows 365との連携についても触れ、「WindowsをSaaSとして利用できるクラウドPCのWindows 365と、Windows 11の連携は、今後さらに進展することになる。Windows 11では、タスクビューから仮想デスクトップとクラウドPCを切り替えることができたり、デバイスの起動時に直接クラウドPCを起動できたりするようになる。また、Windows 365では、ネットに接続されていない状態でも利用でき、ネット接続時にシームレスに同期することができる。今回の22H2では、タスクバーやスタートメニューから、Windows 365を直接利用できるWindows 365 Appのバプリックプケレビューが提供されている」と説明した。
Surface Pro 9 with 5Gについても、実機を用いて説明。ArmベースのMicrosoft SQ 3プロセッサを搭載するとともに、AIの処理に最適なNPU(ニューラル処理装置)を搭載。AIを活用した映像や音声の処理が可能な様子をデモンストレーションした。
ここでは、Windows Studio Effectsの機能を利用し、人物の顔を自動的にフレームに収めてフォーカスを合わせる「自動フレーム化」、人が動いても境界線がなく、より自然な形で背景をボカしたりできる「背景の効果」、目線をAIによって補正し、下を向いていても正面を向いているように表示する「アイコンタクト」を紹介した。
日本マイクロソフト Surfaceビジネス本部の石田圭志本部長は、「AIによる映像処理のほか、周りの音声をAIがカットして、相手の話声がクリアに聞こえる機能も搭載している。これらの機能はNPUによって処理しているため、CPUやGPUには負荷がかからない。アプリケーションを快適に利用しながら、AIの機能を利用できる」と述べた。
また、「ハイブリッドワークの時代は、さまざまな場所でデバイスを利用することになる。モバイル性が必要になり、複雑な作業や処理ができるパフォーマンスを持ったデバイスが求められる。それぞれの働き方に最適なデバイスが必要であり、Surfaceでは、2in1、Laptop、Large Screensをラインナップしている」と語る。
加えて、「Surfaceの開発においては、高いパフォーマンス、考え抜かれたデザイン、多様な利用用途への対応、最高水準のセキュリティという4つのポイントを重視している。社内の研究施設やテスト施設を利用して、Surfaceを進化させている」と説明した。
さらに、「サステナビリティへの取り組みも強化している。Surfaceは修理ができず、基本的には交換になるというイメージを持っているユーザーが多いが、修理可能なパーツがすごく増えている。Surface Pro 8に比べて、Surface Pro 9は、修理できる部品が2倍以上になっている。Surface Laptop 5でも修理可能なパーツが増加している。長く使ってもらうことができ、環境にも配慮したデバイスに進化している」と語った。