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PhotoshopやLightroomのオブジェクト選択/マスクがAIでさらに簡単に

オブジェクト選択ツールがよりかしこく

 Adobeは、クリエイター向けイベント「Adobe MAX 2022」を19日から20日(米国時間)にかけて開催する。今回は米国ロサンゼルスのリアルイベントが復活し、オンラインとあわせたハイブリッド方式にて行なわれる。これに向け、Creative Cloud製品向けの新機能などを公開した。

オブジェクト選択がAIでより便利に。写真の復元もベータ版が実装

 Photoshopでは、オブジェクト選択ツールの機能を強化し、精度の向上に加えて、空や木々、建物といったより複雑なものも認識できるようになった。加えて、コンテンツに応じた塗りつぶしの機能にShift+Deleteキーのショートカットを新たに用意し、不要なオブジェクトの選択から削除までがよりスムーズに行なえるようになった。

 さらに、Adobe Senseiを活用したニューラルフィルターとして新たに「写真を復元」のベータを追加。古い写真や痛んだ写真などに適用すると、折れ目や傷、欠損などをAIが自動的に検知/除去してくれる。そのほかガイド機能の強化も図っている。

コンテンツに応じた塗りつぶしにショートカットが設定された
ニューラルフィルターの写真を修復が製品版でも利用可能に

 Lightroomでは、マスク機能に「人物」を新たに用意。AIが写真に写る1人1人を個別に認識し、髪の毛や目、眉毛といった部分的な選択も行なえる。また、矩形やブラシで指定した領域内のオブジェクトを選択する「オブジェクト」、1クリックで背景をマスクできる「背景」の項目も加わった。

 そのほか、写真に映り込んだ邪魔なオブジェクトを取り除く「コンテンツに応じた塗りつぶし」機能や、6月に実装したアダプティブプリセットにはAIが人物を認識し自動で調整を行なう「ポートレート」プリセットなども搭載している。

Lightroomではマスク機能などを強化
人物やオブジェクトの選択が容易に
アダプティブプリセットも人物への調整を行なうポートレートが追加

 Illustratorでは、文字とグラフィックが交互に重なったデザインを取り扱う場合などに便利な「クロスと重なり」機能を追加。オブジェクトが交差したり重なったりした部分を範囲選択すると、その前後関係を入れ替えられる。非破壊編集で、前後を維持したままフォントの変更なども行なえる。

 そのほか、複数の操作が必要な作業を1つのボタンにまとめ、簡単に呼び出せるクイックアクションの追加や、3D周りの機能強化も図っている。

Illustratorのほか、FrescoやInDesignにおける改善も
クロスと重なりによって文字とグラフィックが重なるデザインも制作しやすく

 また、アプリ間連携機能も強化しており、Illustrator上のテキストをPhotoshopのレイヤーとしてコピー&ペーストできるようになった。フォントやサイズ、方向などを維持したまま、編集可能な状態で取り込める。

 さらにこれら2つのアプリでは、新たに「レビュー用に共有」機能を追加。InDesignに先行して実装していた機能で、特定のバージョンを外部の人と共有し、フィードバックをリアルタイムで確認しつつ、作業を進めるといったことがアプリを離れることなく行なえる。

レビュー作業がアプリ内で完結するレビュー用に共有機能。コラボレーションの効率を高める
右上の共有ボタンから呼び出せる。組織内だけでなく、URL経由での外部への共有も可能

レガシータイトルは廃止。After Effectsではトラックマットが使いやすく

 Premiere Proでは、大きな変更点としてレガシータイトルが廃止される。後継にあたるエッセンシャルグラフィックスパネルについては内側の境界線に対応したほか、整列をコントロールする際に「ビデオフレームに合わせる」、「グループとしてビデオフレームに合わせる」オプションが選べるようになり、より柔軟に調整できるようになった。シーケンス内の複数のクリップに対して一括でのフォント変更なども可能となっている。

 また、新たにREDと富士フイルム製のカメラにおいて、Frame.ioとカメラをつなぐ「Camera to Cloud」機能をサポート。前者については、RAWを含む撮影データをカメラ内のストレージを使うことなく、直接クラウドへとアップロードできるほか、後者ではスチール写真に対応した。

Premiere Proのレガシータイトルは廃止へ
テキストの境界線は内側にも設定できるように
新たにREDと富士フイルム製カメラがCamera to Cloudをサポート

 After Effectsでは、トラックマット機能を改善し、どのオブジェクトでマスクを切るか任意に選択できるようになった。レイヤーごとにマットを作成したり、レイヤーの重ね順を調整する必要がなくなるほか、トラックマットの反転も行なえる。また、H.264ファイルへの直接のエンコードもサポートした。

 Charactor Animatorでは、キャラクターに対してさまざまな動きを簡単に適用できるモーションライブラリ機能を追加する。

After EffectsやCharactor Animatorにも機能強化
After Effectsのトラックマットが使いやすく
一覧からモーションを選ぶだけでキャラクターに動きが加えられる

3D関連製品やストック素材サービスも改善

モデリングツールSubstance 3D Modelerの製品版がリリース

 3D関連製品では、モデリングツール「Substance 3D Modeler」の製品版がリリースとなった。デスクトップとVR空間をシームレスに行き来しながらモデリング作業が行なえるのが特徴となっている。

 そのほか、デザインアプリのAdobe Expressでは、素材として用いる写真の背景削除や、フォントの提案などをAdobe Senseiが行なってくれる機能を実装。ストック素材サービスのAdobe Stockでは、縦型ビデオやPNG形式といった新たな素材を追加し、素材のリサイズや背景の削除をWebサイト上で行なえるQuick Action機能を新たに搭載した。さらにAdobe Fontsでは、ラインナップの拡充に加えてポータルサイトの改善を実施し、Adobe Expressのテンプレートとあわせたおすすめ機能も用意した。

Adobe ExpressにはAIがデザインを支援する機能
Adobe Stockには縦型ビデオ素材の追加や簡易編集機能を追加