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横浜国大、液体金属による「伸びる」リチウムイオンバッテリ

ストレッチャブルリチウムイオンバッテリの変形の様子

 横浜国立大学の太田裕貴准教授および上野和英准教授らの研究グループは3日、液体金属による伸縮可能なガスバリアフィルムを開発した。また、本フィルムをバッテリの外装材に用いることで、大気中でも動作可能な伸縮性のある(ストレッチャブル)リチウムイオンバッテリの実現に成功した。

 次世代のウェアラブルデバイスにおいて、ストレッチャブルエレクトロニクスは基盤技術として期待されている。これまで、伸縮性に対応したセンサーやインターフェイスは提案されてきたが、バッテリに関しては外装材のゴムが酸素や水分を透過して内部のバッテリを劣化させてしまうために大気中では使用できないという問題があり、社会実装が可能な高出力で伸縮性のあるバッテリは実現していなかった。

 本研究で開発したフィルムは、ポリウレタンゴムの上に金を成膜し、その上に流体金属を被覆することでガスや水分の透過の抑制に成功。同研究グループは、このフィルムを伸縮性のあるバッテリの外装材に使用することで、大気中でも動作するストレッチャブルリチウムイオンバッテリを実現させた。

 なお、外装材に通常のゴムを使用した場合のバッテリ電圧は大気中では2時間以内に低下したが、本研究のガスバリアフィルム使用時は大気中でも15時間以上高い電圧を保つことができたという。

 また、バッテリの構成材料には、電極基材として多孔性SBS(styrene-butadiene-styrene)を、負極/正極活物質としてそれぞれLTO(Li4Ti5O12)とLFP(LiFePO4)を、セパレータとしてゲルセパレータを用いることで伸縮性を付与した。

通常のストレッチャブルバッテリの電圧の推移(グローブボックス内(黒)、大気中(青))および開発したフィルムを用いたストレッチャブルバッテリを大気中に置いたときの電圧の推移(赤)

 研究グループは今後、本フィルムの低コスト化を図ることでストレッチャブルバッテリやストレッチャブルデバイスの社会実装に貢献するとしている。