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富士通、AIと犯罪心理学を活用し特殊詐欺を未然に防ぐ研究を開始

共同研究の概要

 富士通株式会社、学校法人東洋大学、および尼崎市は共同で、AIと犯罪心理学を組み合わせ、特殊詐欺を未然に防ぐという日本初の研究を開始した。

 これは、還付金詐欺といった特殊詐欺を高精度に検知し、未然に防止する特殊詐欺推定AIモデルの構築を目指した共同研究。被害者の判断力が低下していないかなどの心理状態を、AIと犯罪心理学を組み合わせたコンバージングテクノロジーを活用して推定し、リスクを可視化することで特殊詐欺を未然に防ぐとしている。

 研究は、2022年3月30日と31日の2日間、尼崎市の高齢者を対象に、富士通が開発したヒューマンセンシング技術に基づく感情推定と、東洋大学が開発した心理尺度を用いた感情状態の測定を活用した1回目の実証実験を行なう。

 実証実験では、兵庫県警察協力のもと、特殊詐欺の音声から、特殊詐欺特有のキーワードとパターンを分析し、実証実験で使用するリアリティのある特殊詐欺シナリオを事前に作成。上記2日間に尼崎市役所において、同市在住の高齢者数十名を協力者として実証実験を行ない、このシナリオをもとに高齢者に電話をかけ、事前に録音した特殊詐欺グループを装った音声を流す。

 そこにおいて富士通が開発した、カメラ映像から人の行動を認識するAI技術「行動分析技術Actlyzer」、顔の表情から感情を推定する表情認識AI技術、顔画像からリアルタイムに脈拍を推定するAI技術を用いて、協力者の顔の表情や脈拍等のデータをカメラやセンサーで捉えつつ、事後アンケートでその時の心理状態を把握する。

 そして実証実験後に、東洋大学が協力者のセンシングデータとアンケート結果から、心理状態と身体状態の関係性を分析し、この分析結果をもとに富士通は、協力者が騙された状態であることを推定し、還付金詐欺を検知する特殊詐欺推定AIモデルを構築。今度はこの特殊詐欺推定AIモデルを用いた2回目の実証実験を2022年度上半期に実施し、その有効性の検証と改善行ない、2022年度中に特殊詐欺全般を高精度に検知する特殊詐欺推定AIモデルの開発を目指すとしている。