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AMD、Zen 3採用のデスクトップ向けAPUを発表。従来比50%高速なノート向けGPUも

デスクトップ向けRyzen 5000シリーズAPU

 AMDは6月1日、開催中のCOMPUTEX TAIPEI 2021にて基調講演を開催。デスクトップ向けZen 3 APUや、モバイル向けRadeon RX 6000Mシリーズなどを発表した。

Zen 3となったデスクトップ向けAPUなど投入

 CPU製品としては、Zen 3ベースのデスクトップ向けAPUとして「Ryzen 7 5700G」および「Ryzen 5 5600G」を発表。ともに8月5日の発売を予定しており、北米価格はそれぞれ359ドル、259ドル。

 前者は8コア/16スレッド、後者は6コア/12スレッドの製品で、Ryzen 3000シリーズAPUの後継製品となる。加えて、デスクトップ向けRyzen 5000シリーズでは単体で販売を行なっていない「Xなし型番のCPU」に相当する部分を、価格/性能の面からカバーするかたち。

Ryzen 7 5700GとRyzen 5 5600Gの製品を展開
ROGUE COMPANYでは1080p/高設定で平均78fpsを実現
対Core i7-11700のグラフィックス性能は最大2.45倍に

 同社の検証では、4対4の対人型シューティングゲーム「ROGUE COMPANY」を内蔵GPUでプレイした場合、1080p/高設定の場合で平均78fpsを発揮できるとする。また、競合となるCore i7-11700との比較では、クリエイティブ用途で最大1.63倍、ゲーミング用途で最大2.45倍のグラフィックス性能を実現したという。

 主な仕様はRyzen 7 5800の場合、最大クロックが4.6GHz、GPUコア数が8基(2.0GHz)、L3/L2キャッシュが16MB/4MB。Ryzen 5 5600Gの場合、最大クロックが4.4GHz、GPUコア数が7基(1.9GHz)、L3/L2キャッシュが16MB/3MB。TDPはともに65Wとなる。

法人向けとなるRyzen PRO 5000シリーズも投入

 また、法人向けデスクトップAPUとして「Ryzen PRO 5000シリーズ」も投入。小型PC向けのGシリーズ(TDP 65W)および、超小型PC向けのGE シリーズ(TDP 35W)を用意し、それぞれ3製品ずつ展開する。

 ともにコンシューマ向け製品では搭載していないセキュリティや端末管理などに関わる機能を内蔵。ハードウェアベースの保護機能のAMD Shadow StackやMicrosoft Secured-Core PCなどを新たにサポートした。

 さらに、前世代にあたるRyzen PRO 4000シリーズからアーキテクチャが変わったことで、IPCが最大19%向上するなど性能面も改善している。

 Ryzen 3/5/7のそれぞれのグレードで、GおよびGEシリーズを1製品ずつ用意。Ryzen 7 PRO 5750GおよびGEは8コア/16スレッドで最大クロック4.6GHz、Ryzen 5 PRO 5650GおよびGEは6コア/12スレッドで最大クロック3.9GHz、Ryzen 3 PRO 5350GおよびGEは4コア/8スレッドで最大クロック4.2GHzとなる。

強固なセキュリティ機能やAMD PROによる管理機能などを搭載

RDNA2採用で従来比50%高速化したRadeon RX 6000Mシリーズ

Radeon RX 6800M

 さらに、RDNA2アーキテクチャを採用したノートPC向けGPUとして、Radeon RX 6000Mシリーズを発表。上位からRadeon RX 6800M、Radeon RX 6700M、Radeon RX 6600Mを用意する。

 RDNAアーキテクチャのものと比べて最大50%の高速化を実現。電力効率も大幅に向上し、従来比最大43%の改善を達成した。GPUメモリアクセスを高速化するSmart Access Memoryや、CPUとGPUのあいだで熱設計の枠を融通するSmartShiftにも対応している。

 上位のRadeon RX 6800Mでは、最新のAAAタイトルにおいて、競合のGeForce RTX 3070やRTX 3080と同等またはやや高いフレームレートを実現できるとする。また、1440p/最高設定の場合では、多くの人気タイトルで最大120fpsを達成できるほか、電力効率の高さにより、バッテリ駆動時でも高い処理性能を発揮できるという。

RDNA2ではRDNAから性能が最大1.5倍に
Radeon RX 6800M
Radeon RX 6800MではGeForce RTX 3080とほぼ同等/やや高い性能を発揮
様々なタイトルの1440p/最高設定で最大120fps以上を実現できるとする
バッテリ駆動時の性能ではGeForce RTX 3080より約1.4倍のフレームレートが発揮できる場合も

 主な仕様はRadeon RX 6800Mの場合、Compute UnitおよびRay Acceleratorが40基、メモリが12GB GDDR6でバス幅が192bit、Infinity Cacheが96MB、ゲームクロックが2,300MHz。

 RX 6700Mの場合、Compute UnitおよびRay Acceleratorが36基、メモリが10GB GDDR6でバス幅が160bit、Infinity Cacheが80MB、ゲームクロックが2,300MHz。

 RX 6600Mの場合、Compute UnitおよびRay Acceleratorが28基、メモリが8GB GDDR6でバス幅が128bit、Infinity Cacheが32MB、ゲームクロックが2,177MHzとなる。

Radeon RX 6700M
Radeon RX 6600M
各社より搭載製品が順次投入される見込み

GeForceでも使える超解像技術。性能などにこだわったデザインフレームワークも

FidelityFX Super Resolution(FSR)

 そのほか、100以上のAMD製CPUや、競合製品を含むGPUに対応する超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」も発表。4つの品質設定を用意し、性能が最も高まるパフォーマンスモードを選択した場合、4Kネイティブ動作のものと比べて平均で2倍の性能向上が見込めるとしている。

 競合製品にあたるGeForceシリーズのGPUで使えるのも特徴で、ゲーム開発者としてもFSRに対応するコードを追加すれば、様々なPCにおいて性能改善が図れるとする。すでに10以上のゲームスタジオやゲームエンジンにてサポートを予定しており、6月22日より順次パッチの提供などを開始する見込み。

Ultra QualityからPerformanceまで、負荷と品質に応じた4種類のモードを用意
GeForceシリーズのGPUでも利用可能
幅広いシステムで性能向上が図れる

 また、AMDがノートPCベンダーと連携して筐体設計を行なう取り組みとして、デザインフレームワーク「AMD Advantage」を発表。Ryzen 5000シリーズおよびRadeon RX 6000シリーズを採用し、144Hz以上のリフレッシュレートに対応する液晶/有機ELディスプレイ、最低1基のM.2 NVMe SSD(PCIe 3.0以上)の搭載などを定めている。

 加えて、WASDキーおよび矢印キーの温度が40℃以下になることや、ビデオ視聴で最大10時間のバッテリ駆動を実現することなども要件に盛り込んでおり、対応製品は、ASUS、HP、MSI、Lenovoなどより順次投入される予定。

AMD Advantageは性能面、ディスプレイ、ゲームプレイの3点を主軸に設計
各社より順次対応製品が投入される予定

 そのほか、サーバー向け製品となる第3世代EPYCについても紹介。サーバー向けプロセッサとして世界最速を謳う。多くのトランザクションを高速かつ効率的に処理できる点や、信頼性の高いサービスが保証できる点などから、総所有コストの削減を実現できるとしている。

第3世代EPYC
200以上の世界記録を保持し、採用ソリューションは前世代比2倍に