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東北大、希少金属などを含まない高効率な硫化スズ太陽電池を実現する技術

世界初のpn ホモ接合硫化スズ太陽電池の作製プロセスと発電特性

 東北大学多元物質科学研究所は、変換効率の高いpnホモ接合による硫化スズ太陽電池の作製に成功したと発表した。

 クリーンエネルギーの普及に向けて、希少金属や有害元素を一切含まない硫化スズ太陽電池を用いたソーラーパネルの開発が期待されている。硫化スズ太陽電池の高効率化には、伝導特性の異なるp型とn型の硫化スズを組みあわせたpnホモ接合を作る必要があるが、p型が簡単に作製できる一方で、n型は作製が難しかった。

 研究グループでは、2020年8月にn型硫化スズ単結晶の大型化に成功しており、今回このn型単結晶にp型硫化スズをスパッタリング法を用いて成膜することで、pnホモ接合の硫化スズ太陽電池の作製に成功した。これまでpnホモ接合による成功例はなかったという。成膜条件を改良していない試作品でありながら、360mVの高い開放電圧の取り出しに成功している。

 p型の硫化スズとn型の異種材料による、既存のpnヘテロ接合での変換効率が最高で5%なのに対し、試作品では1.4%となっているが、今後の研究開発により性能向上が見込めるという。また、1つの単結晶基板上に条件の異なるp型層を成膜することも可能で、高効率化に向けた研究開発や、次世代ソーラーパネルへの応用が期待できるとしている。