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1億総クリエイター時代に向けて幅広いPCやVRを展開する日本HP
2020年6月29日 19:06
株式会社日本HPは、クリエイター向けPCおよびVRヘッドマウントディスプレイの新機種を発表した。各製品の詳細については以下の関連記事を参照されたい。この記事ではオンラインにて行なわれた新製品発表会の模様をお届けする。
・HP、Quadro RTX 4000搭載の15.6型モバイルワークステーションなど4製品
・日本HP、新世代VRヘッドセットを国内投入
・日本HP、GeForce RTX 2080 SUPER Max-Q搭載の31.5型液晶一体型PCなど
・日本HP、Ryzen Mobile 4000シリーズ搭載の13型2in1など
1億総クリエイター時代に向けた幅広い製品ラインナップを用意
発表会冒頭では、同社専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏が登壇。新型コロナウイルス感染症に対する取り組みとクリエイター向け製品の市場戦略について説明を行なった。
同社では、創業者のビル・ヒューレッド氏の「最大の競争優位は、本当にたいへんなときに正しい行ないをすること」に基づき、在宅勤務を続けるなど従業員およびその家族の安全を第一とした上で、顧客やパートナーの安全を守ることとあわせて、事業を継続することを重要だと考えているという。
対策や支援としては、3Dプリンタを活用したフェイスシールドや人工呼吸器のバルブなどの製造を実施し、5月末までに230万点を世界各国の医療機関向けに出荷。国内向けにもフェイスシールドなどの無償提供などをパートナーとともに進めているという。
教育分野向けには、オンラインでも学習できるブレンド型学習などに対して約8.5億円の寄付や、あまっているPCの再利用が行なえる仕組みなどを提供。イントラネットの外で仕事をする機会が大幅に増える在宅勤務向けには、セキュリティ製品「HP SURE CLICK PRO」の無償提供を他社製PCも含めて9月末まで実施している。
また、PCは社会や経済活動を支える重要な要素の1つとなっていることから、安全だけでなく事業継続も大事であるとして、東京の生産工場では作業員の間隔を空けたりシールドを設置するなど、安全対策をしつつ生産を継続している。
こういった状況のなかで、場所に囚われずに仕事や学習をする生活をはじめた多くの人々を支えるためのミッションとして、つながる、高い生産性、学び、安全にの4つを掲げた。
生活様式の変化にともなって、テレワークを経験した人は東京/全国で55%/34%となったほか、オンライン学習に取り組んだ人は69%/45%となった。とくに教育分野では、オンライン学習であっても、教師側がクリエイティブな授業を行なうことで生徒の理解度や意欲向上がみられ、クリエイティブであることが重要な要素になり得るとした。
また、スマートフォンやSNSの普及などにも後押しされ、以前からミレニアルやZ世代と呼ばれる年齢層の80%は、自己表現のためにクリエイティビティを活用したいと答えており、その一方でクリエイションをするさいに、61%の人がPCを使っていると答えている時勢のなかで、こういった変化を捉えていくことが大切だとした。加えて自己表現でなくても、仕事でYouTubeを使うなど、より相手に理解してもらいやすくするためにクリエイティビティを発揮する場面などもあり、1億総クリエイターの時代がやって来ているとした。
同社のクリエイター向けPC製品のラインナップは大きく3つに分類される。映像プロダクションやスタジオなどで利用されるプロフェッショナルシリーズは、ワークステーション製品にあたるもの。この用途ではデスクトップPCを使用する場合が多いが、外での作業やリモートワークといった需要をカバーする。
プロシューマーシリーズは、ワークステーションで培った技術をコンシューマ向け製品にも組み込んだもので、ギグワーカーやYouTuberなどといったユーザーを、カジュアルシリーズは、1億総クリエイター時代に向けて手軽にクリエイティビティを発揮したいユーザーをそれぞれ想定した製品群だとしている。
2kg切りの軽量モバイルワークステーション「ZBook」シリーズ
続いて、同社ワークステーション本部 本部長の大橋秀樹氏から、ZBookシリーズに関する説明が行なわれた。
第7世代となったZBookシリーズは、新たにロゴをHPプレミアムロゴから専用のZロゴに変更。全製品ともに、軽量/コンパクトで高い耐久性を持たせたCNCアルミ削り出し筐体に、高性能なCPUやGPUなどが収められている。狭額縁デザインも採用され、「ZBook Studio G7」および「ZBook Create G7」では従来機種から体積比22%減、14型「ZBook Firefly 14 G7」では1.4kgの軽量筐体を実現している。
カスタムベイパーチャンバー、強化されたファン、3方向の排熱機構のハードウェア面と、Zパワースライダー、Z予測ファンアルゴリズム、Zグラフィックス認識アルゴリズムのソフトウェア面を組みあわせた高い冷却性と静音性の両立を謳う。
加えて、VRヘッドマウントディスプレイ(HMD)「Reverb G2」も発表。SteamVRに標準対応し、レンズ部や空間オーディオ機能についてはValveとの共同開発となっている。交換式のフェイスマスククッションやIPD(瞳孔間距離)の手動調整機能、コントローラの改良も行なわれている。
クリエイター向けにシンプルな筐体デザインを採用した「ENVY」シリーズ
最後に、同社コンシューマービジネス本部 本部長の沼田綾子氏より、ENVYシリーズについての説明が行なわれた。
個人向けクリエイターPCとしては、13.3型/15.6型「ENVY」、「ENVY x360」および、15.6型「Spectre x360 15」シリーズを展開。国内ではクリエイター層を分析すると、情報発信や趣味としてクリエイティブ活動を楽しむカジュアル層が65%と多く、欧米やアジア諸国と比較しても極めて特徴的だという。これを受けて、クリエイター向けラインナップとして8製品を展開する。
ゲーミングPCとクリエイターPCではともに高い性能が求められるものの、それ以外の部分では必要とされる要素が異なっている。とくにクリエイター向け製品では写真や動画の編集に必要なGPUや大容量メモリ、マルチコアCPUなどが重要視され、筐体もミニマルでシンプルなデザインが好まれるという。
「HP ENVY 15」はこういった要素を抑えた、同社の個人向けPCとしては初の15.6型クリエイター向けノート製品。工場出荷時にキャリブレーション済みの4K有機ELディスプレイ搭載モデルも用意し、Thunderbolt 3やスマートフォンと簡単にP2Pでデータ共有が行なえるHP QuickDropもサポートする。
液晶一体型製品としては31.5型「ENVY All-in-One 32」を発表。アンチリフレクションコーティングを施したHDR 600対応4K IPS液晶を搭載するほか、PC本体の電源が切れている場合でもスマートフォンなどと接続すると、外部スピーカーとして利用できる機能も内蔵する。加えて、デスクトップPCとして「ENVY Desktop TE01」も用意する。
これら3製品は、クリエイティブアプリケーションへの最適化が図られたRTX Studioに準拠。Adobe Creative Cloudの3カ月間利用権を無料で提供するキャンペーンも実施する。
15.6型2in1としては「Spectre x360 15」を展開。ENVY 15と同様に4K有機ELディスプレイが選択可能なほか、狭額縁デザインにより14型と同等の筐体サイズを実現したとする。あわせて付属のアクティブペンも新型となり、筆圧感度が4倍の4,096段階となるなど強化が図られている。
そのほか、新たに発売される2in1製品はAdobeのペイントアプリ「Fresco」対応デバイスの認定を取得している。