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Intel派もAMD派も最新トレンドをチェック!“拡張性の決め手”マザーボードはこう選べ

 マザーボードは自作PCにおける花形製品ながら、性能面への影響が少ないこともあって、ブランドやシリーズなどで“なんとなく”で選んでいる方も多いのではないだろうか。しかし、急速にCPUのコア数が増え、NVMe SSDが一般化してきた昨今、マザーボードの選択基準にも明確な変化が起きている。2020年春のマザーボード選びの基礎知識について解説しよう。(TEXT:マルオマサト)

CPUが決まれば次はマザーボード選び

 CPUはマザーボード上の「CPUソケット」に挿して使う。そのCPUソケットは、Intelの第9世代Coreシリーズなら「LGA1151」、AMDの第3世代Ryzenシリーズならば「Socket AM4」と決まっており、マザーボードはそれぞれ対応ソケットを搭載した製品の中から選ぶことになる。

 マザーボード選びの際にCPUソケットとともに最初に意識したいのが「チップセット」だ。マザーボードの多くの機能は、CPUとこのチップセットが内蔵するものに集約されている。チップセットの性格、位置付けを理解すると製品選びがスムーズに進むだろう。

 マザーボードには「フォームファクター」というサイズの規格があることも覚えておこう。現在の主流は「ATX」で、それよりも小型な「microATX」、17cm角とさらに小さい「Mini-ITX」などがある。PCケースはこのフォームファクターに合ったものを選ぶ必要があることを覚えておこう。

チップセットは、CPUに最適化して設計されており、マザーボードの機能の多くを集約している

第9世代Coreシリーズを選んだアナタは「LGA1151」

 Intelの第9世代Coreシリーズ向けには、Intel 300シリーズチップセットが用意されている。自作PCでお勧めなのは主力のZ390チップセットだ。拡張性が高く、OC機能にも対応していて自由度の高い構成が可能だ。このほかでは、OC機能や一部拡張性が省かれたH370、ビジネス向け廉価版のB360、激安だが制限の多いH310などがある。

CPUソケット
CPU(裏面)

    チップセットはZ390がオススメ
  • アンロックCPUのオーバークロックが可能
  • M.2スロットが多く使える
  • 高速なUSB 3.1を6基サポート

第3世代Ryzenシリーズを選んだアナタは「Socket AM4」

 AMDの第3世代Ryzenは、同時にX570チップセットが用意されており、大きなの特徴の一つであるPCI Express 4.0が利用できるのはこのX570と組み合わせた環境のみだ。ソケットの規格であるSocket AM4は前世代から継承しており、1世代前のX470やその廉価版のB450チップセットも第3世代Ryzenに対応している。

CPUソケット
CPU(裏面)

    チップセットはX570がオススメ
  • 高速なPCI Express 4.0を利用可能
  • USB 3.1を8基サポート
  • 現在の主力で搭載マザーボードが豊富

マザーボードの対応インターフェースと数をチェック

 マザーボード選びで重要な、対応パーツの規格やインターフェースなどをチェックしよう。多くの機能はチップセットによって提供されているので、チップセットを選んだ時点で自動的に決まっている部分もあるが、あえてコストダウンのために一部機能を省いたり、別途コントローラチップなどを追加して拡張したりしている場合もある。

 製品によって差があるのはM.2スロット。ハイエンドは3基、ミドルレンジは2基、廉価版は1基というのが相場だが、インターフェースとしてSerial ATAとPCI Express 3.0 x4(または4.0 x4)の両方が配線されている場合もあれば、どちらかが省かれている場合もある。複数使う予定ならソケットそれぞれのインターフェースを確認しておきたい。

 USBの規格やポート数も製品ごとに差がある。Z390やX570はチップセットレベルでUSB 3.1に対応しており、ミドルレンジ以上はType-CとType-A両方のUSB 3.1を少なくとも1基ずつは搭載している。

マザーボード各部の説明
拡張スロットビデオカードや拡張カード型のSSDを装着できる。PCI Express 4.0対応かどうか、ビデオカード用以外にx8やx4で動作するスロットがあるかなどをチェックしたい
M.2スロットM.2 SSDを装着するためのスロット。ミドルレンジは2基が一般的だが、ハイエンドでは3基搭載するものも。PCI ExpressとSerial ATA 3.0の両方使えるものがある
Serial ATA 3.0Serial ATA 3.0は、2.5インチSSD/HDD、光学ドライブなどの接続に使われるインターフェース。ハイエンド~ミドルレンジでは6基、廉価版では4基が標準
CPUソケットCPUを装着するソケット。IntelにはLGA1151(第9世代Core用)、LGA2066(Core-X用)。AMDにはSocket AM4(Ryzen用)、Socket sTRX4(Ryzen Threadripper用)といった種類がある
メモリスロットメモリを装着するソケット。本数はウルトラハイエンドクラスでは8本、ハイエンド~ミドルで4本が定番だが、低価格製品や小型製品では2本のものもある
バックパネル各部の説明
無線LANアンテナハイエンド製品や小型製品では無線LAN/Bluetooth機能を搭載した製品も多い。こうした製品には無線LAN用のアンテナが付属しており、バックパネルにアンテナ端子がある。無線LAN規格は最新のWi-Fi 6(IEEE802.11ax)対応が増加中
USB Type-A速度の違いでUSB 3.1(10Gbps)、USB 3.0(5Gbps)、USB 2.0(480Mbps)と3種類ある。USB 3.1は赤色、3.0は青色であることが多い
有線LAN1000BASE-T対応を1基が定番だがハイエンド製品ではより高速な規格(10GBASE-T/5GBASE-T/2.5GBASE-T)に対応する製品も増えてきた
USB Type-CUSBの新コネクタ。上下の向きがないリバーシブル仕様。USB 3.1(10Gbps)、USB 3.0(5Gbps)のほか、ハイエンドではUSB 3.2 Gen 2x2(20Gbps)やThunderbolt 3(最大40Gbps)に対応する製品もある

まだまだあるマザーボードの注目ポイント

VRMの耐久性
8コア以上のメニーコアCPUの高負荷利用はVRM(CPUに電源を供給する回路)の負担も大きい。フェーズ数(8コアで10フェーズ以上が目安)の多い、高耐久設計のVRMを搭載する製品を選びた
オーバークロック用スイッチ
オンボードの電源/リセットボタンがあると動作テストを繰り返す際に便利だ。UEFI設定をリセットしたり、液体窒素冷却時のコールドバグ対策など、競技OC向けの機能を搭載するものもある
M.2ヒートシンク
NVMe SSDは発熱が大きく、高負荷が持続すると速度低下が発生する場合があるため、その対策として放熱用ヒートシンクを搭載する製品が多い。搭載しない製品であっても市販品でカバーすることができる
フロント用USB Type-C
PCケースのフロント用の端子。Type-A用(USB 3.0、USB 2.0)は1組につき2ポートが使えるが、Type-C用は1組で1ポートのみ。このポートを搭載していない製品もめずらしくない
強化された拡張スロット
ハンダ付けを強化したり金属で補強した拡張スロットを備える製品も増えている。故障しにくいほか、電磁波シールドとしても機能するため信号品質を高める効果もある
オーディオ機能
アナログ処理部分を基板上で分離したり、オーディオグレードのコンデンサを実装したりして高音質化を図っている。ハイエンド製品は高級なDACチップを搭載しているものもある

メーカー独自ツールで使い勝手がアップ

 メーカー各社は独自のユーティリティを用意しており、これらを活用することで自作PCをより便利に使うことができる。実用性の高い定番はファンコントロールツールで、CPUクーラーのファンやケースファンを負荷に応じて自動制御してくれたり、手動で設定をカスタマイズすることが可能。最新ドライバやUEFIの更新をオンラインで検出してアップデートしてくれるツールも便利だ。

ASUSTeK
OSインストール後に通知が表示され、そのままネット経由で最新版のドライバなどを導入できる「Armoury Crate」が非常に便利
ASRock
「FAN-Tastic Tuning」ではファンのキャリブレーション(調整)を行ない、最適な制御設定を見付けてくれる

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