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「PS5」は5.5GB/sで容量825GB SSDを内蔵。長いローディング画面と決別
~CU36基のRDNA 2 GPUや、3Dオーディオエンジン「TEMPEST」も明らかに
2020年3月19日 02:58
Sony Interactive Entertainment(SIE)は19日、GDCにて発表予定だった次世代ゲーム機「PlayStation 5」(PS5)の仕様を紹介したビデオを公開した。
このビデオでは、PS5のリードアーキテクトであるマーク・サーニー氏が詳細について解説しているが、内容的には開発者向けのものが中心であるため、本記事では概要をかいつまんで紹介する。
5.5GB/sを実現するカスタムのSSD
冒頭で述べられたのは、メインストレージがPlayStation 4(PS4)のHDDからSSDへと置き換わった点。PS4ではシーケンシャルアクセス速度が50~100MB/s程度だったが、一気に5.5GB/sへとジャンプした。また、シークタイムが大幅に削減されたことで、ゲームのロード時間を大幅に短縮することが可能になった。
PS5のSSDコントローラは12チャネルアクセスで、PCI Express 4.0対応というカスタム品となっている。2020年末に登場予定の7GB/sクラスのSSDよりは遅いが、市場で主流となっているPCI Express 3.0のSSD(3.5GB/s程度)よりは高速としている。
ストレージの高速化に伴い、メモリの使用方法も大きく変わる。あくまでも一例にすぎないが、PS4ではロード時間を隠蔽するために、メモリ上に次の30秒間使われるゲームデータが展開されるため、その大半にメモリが使われ、実際にプログラムが使用可能なアクティブな領域は少なかった。
しかしPS5では5.5GB/sもの転送速度を実現できるため、SSDをRAMのように使うことができ、メモリには次の1秒間に使われるデータのみを保持し、そのほかの領域をプログラムが使うことができる。これによりゲームの表現の幅が大きく広がるとしている。
こうしたメモリ-ストレージ構造のため、ストレージとメモリ間のボトルネックを解消するカスタムチップを採用し、最大22GB/sの処理が可能な「KRAKEN」圧縮エンジン、メモリとSSD間のDMA転送を実現するコントローラ、メモリとSSDのデータをリマップするための2つのI/Oコプロセッサ、オンチップキャッシュなどを内包する。
内蔵SSDのほかに、ユーザーが外付けのHDDやM.2 SSDを増設し、容量を増やすことが可能。
GPUはRDNA 2ベースでリアルタイムレイトレーシング対応
GPUはAMDのRDNA 2ベースのものを採用する。CU数は36基。1CUあたりのトランジスタ数は、PS5のほうがPS4より62%多いため、総トランジスタ数はPS4の58基に相当するが、プロセスルールの進化により、結果的にPS5のほうがリーズナブルなダイサイズに抑えているとしている。
また、PS5ではワークロードに応じてクロックが可変となっているため、熱を抑えながら高クロックを達成可能。さらに、AMD SmartShift技術を採用し、CPU側の熱設計枠をGPU側へ共有することで、GPUは最大で2.23GHzで動作可能としている。これにより、演算能力は10.3TFLOPSに達する。なお、CPUは側は最大3.5GHzとなる。
このほか、PS5のGPUではプリミティブシェーダや、リアルタイムレイトレーシングが利用可能となっており、グローバルイルミネーション、影、反射といったレイトレーシング技術が利用可能となっている。
3Dオーディオも実現
ゲームの没入感を高めるのはグラフィックスのみならず、オーディオも重要であるとし、PS5では実際の3D空間の測定で得られた方向情報(HRTF)に基づいて、音声データを演算して加工し、出力することで擬似3Dオーディオを実現する「TEMPEST 3D AudioTech Engine」を備える。
TEMPESTはヘッドフォン、TVのステレオスピーカー、6chのサラウンドスピーカーで使えるほか、人によって感じ方が異なるため、PS5ローンチ時には5つのプリセットを用意するとした。
TEMPESTは基本はAMDのGPU技術に基づいて設計されており、CPUより並列処理に特化しつつ、GPUより効率的に音声を処理可能。キャッシュを持たず、PS3に搭載されたSPUと同様にDMAでアクセス可能。PS4に搭載された8つのJaguarコアと同等の性能とバンド幅を備えるとしている。