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新型コロナウイルス流行でスマホ産業に打撃、過去5年で最低の出荷台数予測
~ノートPCやディスプレイ産業も台数減、メモリは影響軽微で上昇続く
2020年2月19日 16:19
台湾の市場調査会社TrendForceは17日(台湾時間)、新型コロナウイルス(COVID-19)のアウトブレイクが先端技術産業に与える影響についての分析結果を報告した。なお分析は14日付けのデータを基に算出されている。
スマートフォン産業については、サプライチェーンが労働集約的であることから、アウトブレイクの影響が比較的大きく、第1四半期のスマートフォン生産は前年比で12%減少すると予測され、過去5年間で最低の生産量の四半期となる見込み。
カメラモジュールなどを含む上流サプライチェーンの部品も不足しているため、2月末までにアウトブレイクが抑制されない場合、第2四半期にも悪影響が続く可能性があるほか、流行が激化した場合、スマートフォン業界の長期分析において重要な市場ニーズにも影響が出るとしている。
中国のCOVID-19感染流行の進行は、中国のGDPだけでなく世界経済全体にも損害を与えるため、消費者の購買力低下につながる。現状の2020年のスマートフォンの生産量予測は13億8,100万台で、前年比1.3%減と2016年以来の最低生産量になると予測されているが、今回のアウトブレイクでこの予測をさらに下回る可能性を指摘している。
ノートPCやディスプレイ、TVなどでは、生産サプライチェーン下流のODMやブランドがアウトブレイクでもっとも打撃を受けている存在で、業務の再開延期で貴重な労働日数を失っており、生産の再開後もオペレータの作業再開率が低く、全種類の材料と部品が不足しており生産性が急落しているという。
COVID-19の大流行は生産サプライチェーンにマイナス影響を与えるだけでなく、中国の消費者の信頼も下げており、短期および長期ともに最終市場の需要減につながっている。
TrendForceでは中国市場の需要に対する潜在的影響を考慮して、2020年の上位3カテゴリの出荷規模予測について、TVの出荷規模は2億1,960万台から2億1,800万台(-0.7ポイント)、ディスプレイ出荷は1億2,580万台から1億2,450万台(-1ポイント)、ノートPCは1億6,240万台から1億6,020万台(-1.4ポイント)にそれぞれ引き下げている。
メモリ業界については、供給面では半導体工場が高度に自動化されており、人的労働力の需要が非常に小さいため、サムスンの西安工場やSK Hynixの無錫工場、YMTC、CXMT、JHICCなど中国に拠点を置くDRAMおよびNANDフラッシュの生産拠点の製造業務は、アウトブレイクの影響を受けていないという。
またメーカー側は旧正月前に原材料の備蓄を行なっていたため、短期的には材料不足を回避している。輸入する必要のある追加の材料が通常通り税関を通過できる限り、DRAMおよびNANDフラッシュ業界への影響はないとの見方を示している。
出荷に関しても、中国のすべての半導体ファブは国から特別なライセンスを与えられているため、都市が検疫されている場合でも中国国内全体に製品を出荷でき、グローバルな観点から見ると、メモリ製品の製造業者はグローバルなシステム全体にリスクが発生しない限りは製造を削減することはないと指摘。
さらにクライアント側の在庫が依然不足しているため、下流のクライアントが労働力と材料不足の問題に直面しているにもかかわらず、メモリ製品の購入の勢いは持続し、第1四半期のDRAM価格はアウトブレイクに関係せず上昇傾向が続くとしている。