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早稲田大、二酸化炭素を低温で“エネルギー資源”化できる新手法

ルテニウム金属微粒子をセリウム酸化物半導体に載せた触媒は直流電場中で二酸化炭素を資源化できる

 早稲田大学は22日、二酸化炭素と再生可能エネルギーで得られる電力・電解水素を低温で反応させて資源化する新手法の開発に成功した発表した。

 新手法は早稲田大学大学院先進理工学研究科修士2年 山田研成氏および理工学術院の関根泰教授らの研究グループらが開発したもので、必要なときに必要なだけ二酸化炭素を資源化できるという。

 火力発電などで発生した二酸化炭素をふたたび資源化するさい、400℃程度の温度で水素と固体触媒を用いて還元し、一酸化炭素やメタンなどへ転換する方法が知られている。このプロセスはドイツで「パワートゥガス」と呼ばれ、実証が進められているが、この方法は比較的高温を必要とし、回収した二酸化炭素と再生可能エネルギーを用いて「欲しいときに欲しいだけ資源化できる」という方法ではないという欠点があった。

 今回研究チームが発見したのは、回収した二酸化炭素と再生可能エネルギーから得られた電力と電解水素を用いて、常温から100℃台という低温度の範囲で効率よく速やかに二酸化炭素を資源化する手法。

 研究チームは、セリウム酸化物に外部から弱い直流電場を与えるとその表面でプロトンが動くという「表面プロトニクス」という現象を発見し、それを利用。金属の1種であるルテニウム(Ru)の微粒子をセリウム酸化物の上に微細に載せた固体触媒に直流電場を印加することで、二酸化炭素が効率よく一酸化炭素やメタンへと資源化されるという。図表では、二酸化炭素と水素から本プロセスを介してメタンと水が発生していることがわかる。

 早稲田大学では、低温で必要なだけ安全に資源化を進められるプロセスはこれまでにない発見であるとして、あらゆる燃料などを燃焼した後に排出される二酸化炭素を回収し、再生可能エネルギー由来の電力と電解水素を必要に応じて与えることで再資源化が可能となることから、温暖化抑制・化石資源消費抑制のための社会変革に大きく貢献することができるとしている。