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MIT、発光や通信ができる3Dプリンタ用フィラメントを開発

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)は9月11日(現地時間)、3Dプリンタのフィラメント内に発光/センサー/蓄電といった電子機器機能を組み込むことを可能にする、複数素材繊維のフィラメントを開発したと発表した。

 一般的なFDM(溶解積層法)方式の3Dプリンタのフィラメントには単一素材のポリマーが使われているが、今回開発したフィラメントは複数の素材をひとまとめにしているのが特徴。また、特別なノズルを取り付けるだけで、既存のFDM方式の3Dプリンタを活用できる。

 上写真の模型の飛行機の右翼には8つの異なる素材が使われており、発光と光検出機能を備えている。理論的はさらに素材を追加可能。このフィラメントの内部構造は複雑で、異なる素材が精密に配置されるとともに、外側はポリマー皮膜で覆われている。

 出力のさいは、従来の3Dプリンタよりもノズルは低温で動作し、フィラメントが速く抽出されるため、外側の層のみが部分的に溶け、フィラメント内部の電子機器へのダメージを防止。フィラメントには導体も含まれるが、ポリマーが絶縁体の役割をはたすことで、それぞれの接触を避けている。

 この新方式を採用することで、従来の3Dプリンタよりも3倍速く3Dデバイスを作ることが可能。フィラメントの原材料として、3Dデバイスを作るためのセンサー、通信、蓄電機能などを内蔵する繊維が種類ごとに提供されることになる。

 今回開発されたフィラメントの活用先として、バイオメディカル機器での利用が考えられており、たとえば患者に合った義肢を3Dプリンタで作るとともに、その義肢にモニタリングや制御機能を組み込める。また、損傷した臓器の回復を支える足場として提供することもでき、部位の成長を監視するセンサーとしてインプラント医療的な使い方も期待できるとしている。