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1万円ちょっとでAI画像認識ができるJetson Nanoを買ってみた
2019年3月19日 18:59
米NVIDIAは、3月18日~3月21日(現地時間)に米国カリフォルニア州サンノゼ市にあるサンノゼ・マーキュリー・コンベンションセンターにおいてプライベートイベント「GTC」を開催している。
初日となる3月18日にはNVIDIA CEO ジェンスン・フアン氏による基調講演が行なわれ、そのなかで「Jetson Nano」と呼ばれるJetsonブランドのコンピューティングモジュールが発表された(NVIDIA、99ドルで手のひらサイズのAIボード「Jetson Nano」参照)。
Jetson NanoはGTCに特設されているNVIDIAのカンパニーストア(企業のグッズなどを販売する直営店のこと)で開発キットが販売されており、筆者も早速1つ購入してみた。ここではJetson Nanoのフォトレポートをお届けしたい。
99ドルというバーゲンプライスで提供されるJetson Nanoの開発キット
Jetson Nanoは、Tegra X1のSoCに4GBのメモリを搭載したコンピューティングモジュールで、472GFLOPSのピーク性能を実現している。
Maxwell世代のGPUを内蔵しているため、CUDAを使った推論により、画像認識などの機能を実装できる。Jetson Nano自体は、Mini PCI Expressによく似たインターフェイスを備えており、それを利用して開発キットと呼ばれる追加の機能を持つサブ基板に接続可能。より幅広いインターフェイスを使えるようになっている。
Jetson Nanoの開発キットはNVIDIAのWebサイトから日本でも予約が可能になっている(代理店のWebサイトにリダイレクトされて予約購入できる)。開発キットの価格は米国では税別99ドル、日本では税別11,400円。
この開発キットにはJetson Nanoのモジュールそのものと、I/Oサブ基板が組み合わさって提供されており、Jetson Nano単体では用意されていない各種I/O(USBやHDMIなど)や電源回路が搭載されている。
なお、NVIDIAが6月提供予定の製品版(つまりメイカーなどが自分の製品に組み込んで販売して良いバージョンのこと)では、モジュール単体での提供になり、I/Oや電源が必要な場合には、誰かが作ってくれるサブ基板を別途購入するか、自分で基板を起こす必要がある。
今回はGTCに設置されていたNVIDIAのカンパニーストアで、99ドル+カリフォルニア州の税金で購入できた(ショースペルシャル価格などはなく、日本での販売価格とほぼ同じ99ドルだった)。
モジュールの裏側にはmicroSDカードのスロットが、M.2とおぼしきスロットも用意されている
パッケージは従来のJetsonのパッケージとはやや趣が異なり、緑外箱と茶箱が組み合わさったややオシャレなデザインになっている。開けるとなかにはJetson Nanoの本体、簡易マニュアル(と言ってもWeb見ろとしか書いてないが……)、さらに紙製の台が付属している。99ドルという価格を考えれば十分な内容物だ。
製品版のJetson Nano開発キットには、やや大きめなヒートシンクがついている。ファンなどはとくにないので、ファンレスで十分なのだろう。ただ、開発時に処理能力全開で回すなら、ちょっとしたファンをつけると安心できるかもしれない。サブ基板にはファン用と思わしき4ピンの電源コネクタも用意されているので、そこにファンをつないで回すのもありだろう。
モジュール、およびサブ基板の大きさに関しては10円玉と比較している写真を参照してほしいが、モジュール自体は70×45mm、サブ基板は100×80mmというサイズになっている。モジュールだけだとかなりコンパクトで、従来はJetsonを採用するのが難しかった小型ロボットやドローンなどにも、Jetsonを実装可能になることが、Jetson Nanoのメリットとなるだろう。
サブ基板にはRealTekのEthernetコントローラとM.2のスロットが搭載されている事を確認できた。ただし、M.2のスロットに関してはNVIDIAのWebサイトにも情報がないので、実際に使えるかどうかはわからない。なお、サブ基板にはほかにも40ピンの拡張用ヘッダー、MIPI CSI カメラコネクタが用意されている。
背面のポートにはUSB 3.0×4、Gigabit Ethernet、HDMIとDisplayPortのディスプレイ出力、さらにはMicro USB形状のDC入力(スマートフォン用の5V/2AのUSB ACアダプタを接続できる)が用意されている。また、5V入力のDC入力も用意されており、5Vを出力する丸形のACアダプタを接続して利用することもできる。
なお、実際に買って見てわかったこととしては、ストレージとなるmicroSDカードスロットはモジュールの裏側についており、それを利用してOSをブートしたりなどが可能になる。OSのイメージはNVIDIAのWebサイトからダウンロードして、SDカードに書き込んで利用ができる。
残念ながら今回は出張先だったためキーボードやACアダプタなどがなく、OSのブートイメージを入れて起動するところまではたどり着くことができなかったため、電源を入れるとどうかまでは確認できていない。
ただ、実際にさわって見て、99ドルでこれだけの仕様であれば、いろいろおもしろいことができそうだなということは確認できた。