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東京オリパラ委員会、“ポジティブな未来”を提示する「東京2020ロボットプロジェクト」

 公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は15日、「東京2020ロボットプロジェクト」の発表会を行なった。

 「史上もっともイノベーティブで世界にポジティブな改革をもたらす大会」を目指す取り組みの一環で、プロジェクト第1弾企画として、車椅子席の観戦者をサポートする生活支援ロボットや、大会運営で使われるパワーアシストスーツの活用がデモされた。

関係者と活用されるロボット

東京2020大会でロボットによる新しい体験を提供

東京2020組織委員会副事務総長 古宮正章氏

 東京2020組織委員会副事務総長の古宮正章氏は、「日本はロボット大国と言われている。そもそもロボットとは何か。イメージはあり、さまざまなところでロボット的なものが組み込まれているが、ロボットは人を凌駕するものではなく、人と友達となるような親しみのある存在だと我々はイメージしている。ロボットが人と寄り添って利便性を向上させ、新しい体験を提供できる場を生み出してつなげていきたい」と述べた。

 ロボットに関する蓄積のある、トヨタ自動車とパナソニック、またロボット関連の有識者と共同で、大会時にはオールジャパンとしてロボットを提示したいと語った。「日本の新しいおもてなしをロボットを使って実践していく」という。

東京2020組織委員会イノベーション推進室長 平田英世氏

 東京2020組織委員会イノベーション推進室長の平田英世氏は、「我々は『全員が自己ベスト』、『多様性と調和』、『未来への継承』という3つのビジョンを掲げている」と紹介。

 スポーツのイノベーション、参画におけるイノベーション、社会の未来を変えるイノベーションの3つの視点を持っており、そこにロボット技術を活用するという。

 同氏は「ぜひこれが次に繋がるロボットなんだなということを体験してもらいたい」と述べた。

東京2020大会ビジョン
イノベーションのための視点

役に立つロボットをオリンピックで発信

 ロボット有識者および検討チームリーダーは、産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センター研究センター長の比留川博久氏。そのほか、東京大学名誉教授の佐藤知正氏、理研革新知能統合研究センターセンター長の杉山将氏らも加わる。

 比留川氏は「驚くというよりは役に立つものをオリンピックの機会に発信したい」と述べた。大会後しばらく経ったころに、「最近ロボットが活用されてるけど、あとになってみれば初めて見たのは東京2020のときだったよね」と言われるのが理想だという。

産業技術総合研究所ロボットイノベーション研究センター研究センター長 比留川博久氏
ロボットプロジェクトのねらいはポジティブな未来を提示すること
検討体制
プロジェクトスケジュール

移動ロボットによる車椅子席観戦のサポート

トヨタ自動車株式会社未来創生センター Rフロンティア部 2020ロボット開発室室長 山内実氏

 トヨタ自動車株式会社 未来創生センター Rフロンティア部 2020ロボット開発室室長の山内実氏は、「自動車業界は100年に1度の変革の時期に入っている。トヨタでは、人の物理的移動だけではなく、仮想的な移動、それらから生まれる新たな体験や出会い、人の感動も移動だと考えている」と述べた。

 そして、2004年から開発を続けるパートナーロボットへの取り組みを紹介した。

生活支援ロボット「HSR」
腕を伸ばして高いところのものを取ることもできる

 今回のプロジェクトでは、オリンピックスタジアムの車椅子席で、開発中の生活支援ロボット「HSR (Human Support Robot)」を使ってサポートをする。具体的には、売店からの物品運搬、観戦席への誘導などを行なう。

 ユーザーがタブレットなどで注文した品を、2種類のロボットが分担して搬送する。HSRを16台、搬送ロボットDSR(Delivery Support Robot)を8~10台を用いる予定。

 対象は16組32席で、数名で運用する予定だという。デリバリーサービスを行なうためのソフトウェアは今回のサービスに合わせて新規開発した。

 ロボットは、一般通路のなかを自律移動して物を届けるという。なお「HSR」の今後については、2020年代中盤から30年代にかけて、実用化を進めていると述べた。

トヨタのコンセプトは「Mobility for All」
ロボットによる観戦サポートの概要
搬送ロボット「DSR」と生活支援ロボット「HSR」
ロボットの概要
2種類のロボットを活用する
注文品を届ける
注文はタブレットで行なう

バックヤードでのパワーアシストも

パナソニック株式会社東京オリンピック・パラリンピック推進本部 パラリンピック統括部部長 内田賀文氏

 パナソニック株式会社 東京オリンピック・パラリンピック推進本部 パラリンピック統括部部長の内田賀文氏は、同社のグループ企業である、ATOUN株式会社が開発/販売しているパワーアシストスーツ「ATOUN MODEL Y(アトウン・モデル・ワイ)」を使った取り組みについて紹介した。

 「ATOUN MODEL Y」は、空港や物流倉庫、農業分野で活用されている。角度センサーによって姿勢の変化を検知して、モーターで力をアシストする。重量4.5kg、身長150~190cmの人が使える。

パナソニックはアシストスーツで東京2020をサポート
ATOUN MODEL Y概要

 重量12kgの箱を運搬するときの作業効率が、20分間の作業でおよそ2割改善したという。70万円程度で販売されており、240台受注している。大会では20台を導入予定。

 オリンピック・パラリンピックでは、バックヤードでの重量物搬送や、チームでの荷積みなどに活用する予定。重量のある飲食物や廃棄物、スーツケースを運ぶことで腰の負担を軽減させる。

アシストスーツの効果
腰の負荷を軽減する

競技場内も含めて、ほかのロボットの活用も検討中

 古宮氏は、今後のロボットの活用について、競技場内での活用を含めて、さまざまな観客に対応するために役立つロボットがあると考えており、広く検討していくと述べた。ただし、オリンピックにはさまざまな制約があるので、調整が必要だという。

 ロボット活用については、過去のオリンピックでは、平昌五輪でロボットが使われていたが、東京2020ほど実用的なものは過去にないのではないかと述べた。トヨタとパナソニック以外のロボットが活用されるかどうかについても、検討中とのことだ。