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そろそろ視力も曲がり角。“オトナ”に最適なPC画面表示はこれで!
~老眼には「4Kディスプレイ」が効く!?
2018年12月5日 06:00
疲れのせいか目のピントが合いにくいし、細かな文字も見辛くなった。いやまてよ……これってもしかして老眼!?これじゃ4K/8Kのディスプレイなんて夢のまた夢と、戦々恐々としているそこのアナタ! アナタのスマホが高精細で小さいのに、画面が見やすいのと同じ理由で、高精細なディスプレイこそ老眼の救世主になりうるんです。
ネットでよく聞くこんな意見
・4Kディスプレイだと解像度が高過ぎて字が小さくなってフルHDのディスプレイより見えにくいのでは?
・老眼だと4KよりもフルHDのほうがアイコンや字が大きくて見やすいよ
・スケーリングするならフルHDで十分じゃない? 買い換える意味あるかな
・手持ちのPCって4K表示に対応できているのか心配
4K液晶は等倍表示でなければ情報量という宝を捨てたも同然?
当初は10万円超だった4Kディスプレイも、今や4万円前後の製品が増え、一般ユーザーにも手を出しやすくなった。だがここで展開されるのが「4Kはドット等倍表示派」と「スケーリングで使う派」の戦いである。
4K液晶の画素数はフルHD液晶の4倍、ドット等倍表示にすればデスクトップも広大に使える。ドット等倍派からすれば、画面の情報量を捨てGUIを大きく表示するスケーリング派はムダの極みと感じるだろう。4K液晶でGUIスケーリングを効かせるなら、安価なフルHD液晶を使うのと同じではないか?
また、目の調節力の強いうちは4Kドット等倍でも十分見えるが、老眼が入ってくると30型以下で4Kドット等倍表示はキツくなる。つまり老眼世代は4K液晶などムダ、むしろフルHD液晶のほうがお買い得ではないか? という仮説が立つ。
だが、解像度を下げれば文字の輪郭などにジャギーが出るのも確か。情報量を犠牲にして視認性を取るのも一考に値する。まずは4Kディスプレイ環境を構築するためのノウハウなどをまとめつつ、実際に同サイズのフルHD液晶と比較して、4K液晶のメリットをWindows 10におけるディスプレイ設定の勘どころも交えつつ考察するとしよう。
4K表示に必要なスペックをおさらい
まずはPCで4Kディスプレイへ出力するためのスペックの確認から始めよう。4Kディスプレイは帯域の関係上、DVIでは対応できないためHDMIやDisplayPort経由で出力する必要がある。ここ4、5年のビデオカードならほぼ確実だ。内蔵GPUでも4K出力が可能だが、その場合はオンボードの出力端子の構成に注意しよう。これを満たしていれば4K出力は可能だが、快適に使えるかはまた別の話。映像送出に使うインターフェイスの「規格」と、ディスプレイ上の「リフレッシュレート」の関係をしっかり確認しよう。
一般的な4Kディスプレイはごく一部の製品を除き、4K解像度時にリフレッシュレート60Hz表示というものが大半を占める。だがこの60Hz表示を得るためには、映像を伝送するインターフェイスの帯域が16Gbps以上であることが必須になる。DisplayPortの場合、普及度の高いDisplayPort 1.2でも21.6Gbps出せるので問題は露見しにくい。
だがHDMIの場合、旧世代のビデオカードに搭載されているHDMI 1.4や1.4bだと10.2Gbpsしか得られないため、4K出力はできてもリフレッシュレートは30Hz止まりとなる。30Hz表示だとマウスポインタが画面上をワープするように移動するため、視認性はきわめて悪い。
GeForceなら第2世代Maxwell(GTX 900シリーズ)以降、RadeonならPolaris(RX 400シリーズ)以降のGPUで採用されたHDMI 2.0で18Gbpsが得られる。DisplayPort接続よりもHDMI接続のほうがディスプレイの認識トラブルなどが出にくい半面、より新しい(ここ3年程度)GPUが必要になることを覚えておきたい。HDMIケーブルもHiSpeed対応にする必要があるので、導入のハードルはHDMIのほうがやや高い。
27型のフルHDと4Kで比べる
スケーリングはいつでも変更できる
現行のWindows 10では、普通に4Kディスプレイを接続しただけではドット等倍表示にはならない。ディスプレイサイズにもよるが、一般的サイズのディスプレイならスケーリングは「150%」にセットされる。これを変えるにはデスクトップ上で右クリック→“ディスプレイ設定”を呼び出そう。100%でGUIがドット等倍表示、だが、4Kで200%表示にすれば、画面に対するGUIの大きさ比率はフルHD相当になる。つまりスケーリングを100%より上に設定すると、GUIのエレメントも大きくなるので、画面の情報量は下がる。単なる解像度変更と違ってGUI描画のレンダリングの細かさが変わるので、より高品位な見栄えになるのだ。
文字表示もスケーリング値に従って大きくなるので、相対的に1画面で表示できる情報量は下がるが、文字の輪郭に使われるドット数が増えるので見やすくなる。スマホの画面も高解像度のディスプレイに高品位なレンダリングを行なうことで視認性を上げている。PCの画面はドット等倍であるべき、というこだわりは捨て、自分の目をいたわるべきなのだ!
4Kディスプレイでスケーリング100%なら等倍表示だが、150%だと情報量はWQHD相当、200%でフルHD相当になる。これ以上上げると戻せなくなることがあるので200%より上はオススメしない。
4Kのほうが目にやさしい!!
フルHDドット等倍表示(=スケーリング100%)と、4Kのスケーリング150%表示を比べてみよう。フルHDのほうがアイコンや文字などは大きく描かれているため一見見やすそうだが、文字のレンダリングに使われるドット数が4Kより少ないため、ドットの粗さが目立つ。Webブラウザ上の文字では、フルHDでは画数の多い文字の形状の省略が発生するが4Kスケーリング表示では崩れにくい。視認性において4Kスケーリング表示は圧倒的に優れているのだ。
画像表示に関してはアプリ側の設計しだいだ。Webブラウザではスケーリングの値と画像の大きさは連動するが、写真編集系アプリでは基本的に関与しない。たとえば「Paint Shop Pro 2019」では、スケーリングを200%にしていても、画像は常にドット等倍で表示されるため情報量は4K相当のままだ。
スケーリングを意識しない設計が古いアプリの場合は、そのままだとドット感あふれる文字表示になるが、アプリのプロパティ→[互換性]タブ→「高DPIスケール設定の上書き」を有効にすればなめらかな文字表示を得られる。まだスケーリング表示は歴史が浅いため、細かな不具合は出るが、それをおいても見やすさという点で4Kスケーリング表示にかなうものなどないのだ。
HDR対応で映像が変わる
ただ老眼をいたわるためだけに4Kを導入するのもおもしろくない。4Kディスプレイに求めるべき付加価値で注目したいのが「HDR」だ。一般的に液晶ディスプレイの表現力は、肉眼で見える範囲の輝度情報をギュッと圧縮した、いわゆる「ダイナミックレンジ」の低いものになる。HDR対応液晶では表示できる輝度の範囲が大幅に拡大するので、よりメリハリのある映像を堪能できる。
HDRを利用するにはDisplayPort 1.4以降もしくはHDMI 2.0をサポートしたビデオカードが必須。4Kディスプレイを接続するだけのときよりも規格が1ランク上になる点に注意したい。GeForce GTX 10シリーズまたはRadeon RX 500シリーズ以降が該当する。
そしてディスプレイ側もHDRに対応する必要があるが、一番注目すべきは“最大輝度”の数値だ。HDR液晶には“DisplayHDR”規格があり、最大輝度で3種類に分類できる。DisplayHDR 1000なら1,000cd/平方mまで出せる。ただPC向けの1,000cd/平方m対応品は非常に高価なので、現状ではDislayHDR 600が狙い目だろう。ただこのDisplayHDR規格は出始めて日が浅く、一部メーカーでは独自HDR規格(DellHDRなど)を使っている場合もあるので対応状況を確認しておこう。
オカルト診断 4Kは目に優しくてコンテンツの楽しみも増える
4Kディスプレイに対し「4Kを使いこなすマシンパワーがない」と敬遠するのは大間違いだ。4Kはゲーミングでも威力を発揮するが、4Kの解像度に負けない環境を作ろうとなると、現状では大きな出費(RTX 2080以上)を強いられる。むしろ今の4Kは、ドットの境界が見えるようなDPIの低いディスプレイ環境に苦しめられているユーザーのためのものだ。
4Kディスプレイに接続し、スケーリングを150%または200%に設定するだけで、文字が格段に見やすくなる。もとのディスプレイが黄ばんでいたり、遅延の大きな年代モノであったりすると、二度と昔のディスプレイには戻れない。
また、4Kディスプレイを選ぶなら、ぜひともHDR対応の製品を選びたい。とくにPCゲームの場合は1,000cd/平方m未満、DisplayHDR 600程度のものでも絶大な効果を得られる。ディスプレイを4Kへ変えることで、遊びの幅も広げることができるのだ。