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Windows 7やOffice 2010のサポート終了に向けクラウド化を推進する日本マイクロソフト
2018年8月6日 16:47
日本マイクロソフト株式会社は6日、2019年度(2018年8月~2019年7月期)の経営方針記者会見を開催。会見では、同社代表取締役 社長の平野拓也氏が、2018年度を振り返るとともに、2019年度の事業戦略について説明した。
Microsoft全体としては、通年の売上高は前年比14%増の1,104億ドルに達し、「ついに1,000万ドルの壁を超えた」とする。このなかでもとくに好調なのがコマーシャルクラウド事業で、前年比56%増の230億ドルとなった。これはSalesForceやAWSよりも高い成長率だという。
日本マイクロソフト単体としての実績は公表しない方針だが、2006年度から2016年度までの10年分の成長金額を、2017年と2018年度の2年で達成。すべての事業本部で8四半期連続で予算を達成しており、2019年度はさらに高い成長率を目指すという。
この背景は顧客とパートナーの理解があったからだとしており、クラウドへの移行がメインストリーム化した影響が大きい。IT部門と事業部門との連携により、新しいビジネスモデルを考える機会が増えたほか、社内のオペレーションモデルも大きく変化。また、働き方改革のリーディングカンパニーとして、官公庁や経営層からも直接相談を受けるようになった。さらに、Mixed RealityやIoT、AIなどのソリューション群を取り揃えることで、信頼されるパートナーとして指名されるようになってきていることが、堅調に成長した要因だとする。
企業文化としては、引き続き成長マインドセットを推進。過去の成功体験にとらわれない考え方を推し進めるのみならず、新たなリーダーとして外部の人材を招いたり、マネージャーに対してはかつてないレベルと頻度でトレーニングに取り組むことで向上させる。また、日本マイクロソフトはグローバルで2番めに女性社員の増加数が多い会社だそうだが、こうしたダイバシティインクルージョンも重視していく。One Microsoftのスローガンが掲げるとおり、本社とのコラボレーションも深めていき、プロジェクトやニーズを本社と共有していくという。
2020年まで短期的に見た場合、スマートファクトリーや自律運転車、スマートホームなどから生成されるデータが爆発的に増える一方で、これらの無意味のデータを有意義に変え、デジタルトランスフォーメーションを実現するためには、エッジとクラウド両方のインテリジェント化が欠かせないとする。Microsoft全体としても、Mixed RealityやAI、量子コンピューティング分野に対して投資を加速し、利用の拡大によってデジタルトランスフォーメーションを推進していく。
そのなかで、プライバシーやサイバーセキュリティはもはや語るまでもないぐらいに重要なことであるが、それに加えてAIの倫理観を定義していかなければならないとし、Microsoft一社のみならず、AIを開発する他社とも協業し、ルールを定めて行く必要があるとした。
日本マイクロソフトが日本において2020年に向けた注力分野として、インダストリーイノベーション、ワークスタイルイノベーション、ライフスタイルイノベーションの3つを挙げる。
まずインダストリー分野は、日本に関して言えば、少子化による労働人口の減少がすでに目に見えている最中、グローバルでの競争力を高めなければならない問題に直面している。そこで日本マイクロソフトでは、デジタルトランスフォーメーションを実現するコンサルティングの人員を増やし、各業種別に特化し、各々のビジネスを理解した上で、サービスやソリューションを提案していくとした。
また、Windows Server 2008/SQL Server 2008のサポート終了に伴い、同社ではAzureサービスへの移行も推進し、顧客が移行しやすいサービスを展開したいとした。この移行支援はパートナーによって展開する予定だが、詳細は8月8日発表するとした。
ワークスタイルの変革については、今後はオフィスワーカーのみならず、店頭や工場などで働くファーストラインワーカーの働き方も改革させていくとする。また、デジタルネイティブなミレニアル世代への対応や、教育分野などにおいても、AIを活用して個人と組織の働き方を分析し、ポテンシャルを引き出すようなことをしていくとした。
2020年にはWindows 7とOffice 2010のサポート終了も控えているが、「Windows 7サポート終了時にはWindows 10のシェアを90%まで引き上げたい」とする。この数値はWindows XPサポート終了時とほぼ同じ目標だという。Officeに関してはMicrosoft 365への移行を推進していくほか、Surface Hub 2といった新しいデバイスの投入で、働く環境のモダナイゼーションを推し進めるとした。
ライフスタイルの変革には、Surfaceのような自社製デバイスのみならず、OEMと協業し、魅力的なデバイスを投入したいとする。また、ファーストラインワーカーや、ミレニアル世代に向けた製品やサービスも展開するとした。
同社の戦略の主軸は「クラウド」であり、2020年までにナンバーワンのクラウドベンダーを目指す。「現在、日経225のうち90%がMicrosoftのクラウドを使っているが、これを2020年までに100%までに持っていきたい。楽な話ではないのだが、安心して使ってもらえるクラウドサービスとなるよう、パートナーとともに推進していきたい」とした。