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“マイニング用電源”とは一体どういう存在なのか、検証&測定で掘り下げる

~夏のPCパーツ大品評会 その10 Andyson「PX-1200R」

“マイニング向け”でも思想に違いあり

 マザーボードではマイニング用に特殊なモデルがあるが、電源にもマイニング向き製品があり、本稿ではこれらを調べてみる。

 マイニング電源の特徴は、ビデオカードの複数挿しに対応できる1,000W超の出力や、最大出力上限に近いところで使い続けても安定動作する信頼性。ただし、高負荷をかけ続けるため、故障するのは当然という考えも見て取れる。PX-1200Rの保証期間は通常運用で3年だがマイニング用途では保証外、GP1350-FM Gold (1250W)v2では1年と短く、今時のPC電源とはだいぶ事情が異なる。

 冷却性能は重視されている一方で、静音性はそこまで考慮されていない。PX-1200Rは通常の電源よりも少し大きい程度だが、GP1350-FM Gold (1250W)v2は、通常モードでも40dBを大きく上回る動作音で、Miningモードでは50dB超の爆音になった。通常の用途と併用するならPX-1200R、GP1350-FM Gold (1250W)v2はマイニング“専用”として使うべき製品だ。(長畑利博)

Andyson「PX-1200R」

デジタル回路でスッキリ
Andyson
PX-1200R

実売価格:29,000円前後
ファン:13.5cm角(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×2、Serial ATA×9、ペリフェラル×6、PCI Express 6+2ピン×10、FDD×2●奥行き:19cm
大出力のわりにスッキリ。1次側にはニチコン製の大容量の電解コンデンサが3個並ぶ。2次側もニチコン製でいずれも耐久性の高い105℃品を採用している
ノイズがやや目立つ
今回計測した1,000W級電源の中ではもっともノイズが大きかったが、電源全体として見れば平均的なノイズ量だろう。長周期グラフではノイズ量こそ多いがうねり成分は小さい
極端な電圧変化はなし
ビデオカード3枚によるマイニング中の電圧変動グラフ。マイニング中はPCI Expressも含め全体的に電圧降下が少なく安定している。ATX24ピンやPCI Expressは、負荷が軽くなったときに電圧が上昇するものの、システムに影響を与えるほどではない

SEGOTEP「GP1350-FM Gold(1250W)v2」

内部は意外とオールドタイプ
SEGOTEP
GP1350-FM Gold(1250W)v2

実売価格:22,000円前後
ファン:14cm角(底面)●電源コネクタ:ATX20/24ピン×1、ATX/EPS12V×1、Serial ATA×8、ペリフェラル×6、PCI Express 6+2ピン×12●奥行き:18cm
回路は旧来型のアナログ的手法をベースに作られているようだ。1次側の電解コンデンサはTEAPO製で105℃品を採用している。2次側もTEAPO製だった
ノイズの少なさは驚異的
ノイズは驚くほど少ない。アナログ回路だが、設計段階で安定性を重視し高品質なコンデンサを搭載していることが要因だと思われる
高負荷時の安定度も十分
基準電圧はやや高めの12.2V付近。EPS12Vはやや高い電圧で推移している。ATX24ピンは0.3V、PCI Expressは0.5V近く降下したが、高めの基準電圧が功を奏して規格内の電圧変化に収まっている
【検証環境】CPU:Intel Core i3-8100( 3.6GHz)、マザーボード:ASUSTeK PRIME Z370-A(Intel Z370)、メモリ:Micron Crucial BallistixSport LT( PC4-19200 DDR4 SDRAM、4GB×2)、ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)×2、MSI Radeon RX 580 GAMING X 8G(AMD Radeon RX 580)、SSD:Western Digital WD Blue WDS500G1B0A(Serial ATA 3.0、500GB)、OS:Windows 10 Pro 64bit版、室温:28℃、暗騒音:33.4dB、アイドル時:ベンチマーク終了10分後の値、高負荷時:3DMarkを実行中の最大値、動作音測定距離:ファンから約15cm、電圧計測方法:三和電気計器 PC-20を3台使用し、各コネクタの電圧を計測、電圧測定はNVIDIAとAMD環境が両立可能なNieHash Miner Legacyのベンチマークモード実行中のもの。CPUのチェックは外している、電力計:Electronic Educational Devices Watts Up ? PRO、リプル計測方法:Pico Technology PicoScope2204を使用しアイドル時に計測

DOS/V POWER REPORT 8月号の特集は「夏のPCパーツ大品評会」と銘打ち、マザーボード、CPU、ビデオカード、SSD&HDD、CPUクーラー、PCケース、電源ユニットの7ジャンル、57製品のレビューを一挙にお届けします。夏のボーナス商戦期、そろそろPCパーツが欲しい! というみなさんの製品選びを助けるべく、各ジャンルの注目製品を、実際に使用・検証して詳しく解説していきます。

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