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ゲーム/クリエイター向けが牽引するPC市場をIntelが主導
2018年6月26日 16:29
インテル株式会社は26日、2018年第2四半期の同社の動向を紹介するプレスセミナーを開催した。冒頭では、同社代表取締役社長のスコット・オーバーソン氏が挨拶した。
Intelは1968年7月18日にゴードン・ムーア氏とロバート・ノイス氏の2人によって設立されて以来、50年目を迎える。いまや世界有数の企業の1つとして数えられるが、じつは設立当初の事業計画書は考えられないほどにシンプルで、わずか1ページ、3段落、9句、165ワードだけで書かれいた。
そこに記されていたのは、人類社会の進歩に貢献する技術の提供であり、技術の革新とリーダーシップによって、顧客のニーズに応えていくというものだった。半導体の可能性について、両氏は心を躍らせていたものの、ここまで広く生活に影響を与えるようになるとは、当時は思ってもいなかったのだという。
Intelは当初、プロセッサやメモリなどを手がけていたが、40年前に8086を誕生させると、コンピュータはパーソナルなものへと移行していった。それからはネットワークの登場、サーバー、データセンター、マルチメディア、モビリティなど、さまざまな場所に半導体技術が使われ、それによって生産性向上、通信のツール、生活の質の向上、それから健康や教育といったさまざまな面で、半導体は人類の生活に大きな影響をもたらすようになったと振り返る。
また、半導体のみならず、Intelは標準規格の創出にも携わっており、たとえばUSBに関しては、PC用の周辺機器のみならず、いまや充電器やファン、お茶を温めたりするだけの機能のものまでUSBを採用するようになったという。また、2003年に登場したCentrinoは、同社がはじめてプラットフォームにブランドをつけるようになったもので、これによって無線LAN環境の普及に大きく貢献した。
とはいえ、同社のビジネスにとってベースとなっているのはこうした技術ではなく、市場のトレンドである(つまり顧客のニーズに応えることにある)としており、近年はとにかく「データ」を中心としたビジネスに注力している。
たとえば、自動運転車は1日で50GBものデータを生成するほか、航空機では40TB、スマート工場では1PBのデータが生み出される。こうしたデータは単純にストレージに蓄えて価値のないデータのままにするのではなく、なんらかの処理を経て、将来の予測に使ったり、有益もしくは価値のあるデータに加工をしなければならない。そしてこのプロセスはエッジ(つまりデバイス側)でもデータセンター側でも必要になってくるとし、この双方に対して技術を提供できるのがIntelであり、世界で類を見ないユニークな企業であるとした。
また、これらのデータを効率よく転送するために、Intelは5Gあるいはその先の通信技術をも見据えた技術開発もしており、これによって未来を創造していくと語った。
2018年第2四半期中に発表/投入した新製品
続いて、同社 執行役員 マーケティング本部長の山本専氏、および執行役員常務 技術本部 本部長の土岐英秋氏が、Intelが第2四半期中に発表/投入した新製品や新技術を振り返った。
コンシューマ向けPC向けのトピックは、eSportsを代表とするゲームや、クリエイター向けの高性能PCへの需要が高まりつつある点が挙げられる。ことゲームに関しては、小売店におけるゲーミングノートPCの売上高が前年同期比で45%増加していることを挙げ、PC市場を強く牽引しているとした。
そうした高性能PCを欲するユーザーのために、同社は4月に初のノートPC向けCore i9プロセッサを発表。6コア/12スレッドというデスクトップ並みの性能を、ノートPCにもたらすとした。また、Optaneメモリーと組み合わせ、プラットフォーム全体の性能を引き上げる「Core i+」ブランドも立ち上げ展開していくとした。
インターネットに常時接続する「Always Connected PC」の構想は、2017年のCOMPUTEXで発表され、すでに25機種が対応しているが、これに加え2018年はAcer、ASUS、Dell、HPなどからさらに10機種が投入される予定だとした。
クリエイター向けのPCについても重点的にアピールしていき、Core i7/i9の搭載で高性能を追求しながら、Thunderbolt 3による拡張性の確保、Optane SSDによる高速応答などでニーズに応えていく。これらはAcer、ASUS、Corsair、Dell、HP、MSIといったメーカーから提供される予定。
そして6月8日に40周年を迎える8086プロセッサを記念し、Core i7-8086Kも投入。全世界で8,086個プレゼントするキャンペーンを展開し、日本向けに500個を用意したのだが、「東京ドーム数杯分に相当するユーザーからの応募数」があったとし、「オンライン上ではCore 2 Duo以来の盛り上がりを見せた」とした。
このほか、シャープとInnoluxと協業して開発した「インテル Low Power Display テクノロジー」の投入、ストレージ階層の細分化でシステム全体のボトルネックを解消する「Optaneメモリー」、USB Type-Cとコネクタで互換性があり、40Gbpsの速度を実現するThunderbolt 3などについても触れられた。