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ゲームやるならビデオカードをまず変えろ

~【旧PC強化の基礎知識】GPUアップグレードで失敗しない方法

 PCゲームの動作が重く感じるなら、まず今よりも高性能なGPUを搭載したビデオカードに乗り換えるのが、対策の基本。ゲームが進化すればCPUの強化もやがて必須になるが、そもそもビデオカードの性能が低ければCPUを強化してもほとんど意味がないのだ。では、旧世代のビデオカードを現行世代に置き換えることで、どの程度ゲームパフォーマンスが変化するのかを確認してみる。

 用意したのは、2012年以降に登場したGeForceシリーズのミドルレンジクラス(GTX 660/650 Ti、760/760 Ti、960/950)と1世代前のハイエンドクラスであるGTX 980 Ti搭載カード。ミドルレンジ中心であるのは、このクラスを購入する層はコストパフォーマンスに敏感で買い換えに慎重である半面、急速に進化するゲームをプレイしているために効果的なアップグレード先を探していると考えたためだ。(TEXT:加藤勝明)

基本的なゲーム性能を確認する DirectX 11編

 現行PCゲームの大半はまだDirectX 11ベースだ。そこで定番「3DMark」の“Fire Strike”のスコアを比較する。3DMarkに限らず現行PCゲームのパフォーマンスは搭載CPUの影響を受けるが、本特集ではやや古めのPCでビデオカードをパワーアップしたときどう変化するかを見るため、Haswell世代のCPU(Core i7-4790)ベースのPCを使用している。

 下のグラフの理解の足がかりとなるのは型番下2桁に“60”の付いたミドルレンジGPUのスコアだ。GTX 660 TiからGTX 760~GTX 960、そしてGTX 1060の数字を比較してみよう。GTX 660 Ti〜GTX 960までは数字の伸びは非常に小さいのに、GTX 1060になると急激にスコアが伸びる。だがGTX 1050 Tiと比べると、GTX 960からたいしてスコアが伸びない。SP数(CUDAコア数)が少ない、メモリ帯域も狭いのが原因だが、GTX 〇60型番のGPUからGTX 1050 Tiに乗り換えても、性能向上をあまり感じられず終わることを示唆している。

【検証環境】CPU:Intel Core i7-4790(3.6GHz)、マザーボード:ASUSTeK Z87-PRO(Intel Z87)、メモリ:Corsair Vengeance Pro CMY16GX3M2A2133C11(PC3-17000 DDR3 SDRAM 8GB×2)、SSD:Micron Crucial MX300 CT525MX300SSD1(Serial ATA 3.0、525GB)、電源:SilverStone ST85F-PT(850W、80PLUS Platinum)、OS:Windows 10 Pro 64bit版

基本的なゲーム性能を確認する DirectX 12編

 DirectX 12は11よりもオーバーヘッドが小さく、ハードウェアの性能を引き出しやすい新世代APIだが、まだPCゲームでDirectX 12ベースのものは少ない。ここで検証する3D
Markの“Time Spy”テストは、DirectX 12環境におけるパフォーマンスを見るものだ。

 全体的なスコアの傾向は、Fire Strikeとそう変わらない。だがGTX 960より下のGPUでは、スコアがFire Strikeより出にくい傾向があるようだ。とくにGTX 900シリーズ(第2世代Maxwell)より前のモデルでは、ベンチマーク中の画面描画がカクつきが激しく見られたものではない。GTX 1050 TiとGTX 1060の差が大きいのは、前者がGP107ベースなのに対し、後者はGP106とコアが異なるため。車で言うと設計思想は共通だがシャーシやエンジンのグレードレベルで差が付けられているからだ。

消費電力を比較する

 強力なビデオカードは消費電力が大きいものだが、新旧世代を混ぜて比較するとまた違った見方ができる。

 右のグラフではGTX 1080 Tiの消費電力が飛び抜けて高いが、ハイエンドカードなので、これはある意味当然。だが2番手にGTX 980 Ti、次いでGTX 1070 Tiとスコアと消費電力が逆転している部分がある点に注目。いくつか例外があるものの、Kepler世代のGTX 760や660 TiはGTX 1060に乗り換えても電源ユニットの出力が不足する心配はない(ただし補助電源ケーブルが足りるかは別問題)。GTX 1070 Ti以上のカードに乗り換えるときに電源ユニットの出力に注意したほうがよいだろう。ただ、現行GeForceの消費電力は非常に小さいので、電源ユニットの買い換えでも大出力のものに固執する必要はない。GTX 1080 Tiでも700Wあれば余裕だった。

【検証環境】アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:3DMark−Time Spyデモ実行中の最大値、電力計:ラトックシステム REX-BTWATTCH1、そのほかは「基本的なゲーム性能を確認する DirectX 11編」と同じ

ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター

ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター ベンチマーク:(c)2010 - 2018 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター」公式ベンチだ。画質は“最高品質”、解像度はフルHDで計測した。以降の実ゲームベンチはすべて解像度はフルHDに統一している。

 このベンチのスコア指標を利用すると、GTX 650 Ti以外のGPUはすべて快適になる。だがベンチ中の平均フレームレートではGTX 750 Tiで29fps弱、GTX 760〜GTX 960までは40fps台だ。とくにベンチ中の中ボス戦時は一気にフレームレートが下がるので、シビアなバトルには不向きな印象だ。旧世代ミドルレンジからの乗り換えは二つのケースが考えられる。GTX 650 Tiと750 TiならGTX 1050 Tiでも十分違いを感じられるはず。GTX 660 Ti〜960までの平均40fps台を出せるGPUでは、GTX 1060を狙うべき。GTX 1060なら平均81fpsまで出せる。

PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS

PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS:(c)2017 PUBG CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED

 今一番人気のあるPCゲームの一つ“PUBG”こと「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」はグラフィックスの描画負荷がかなり重め。高画質をキープしながら勝ちを狙いにいけるフレームレートを出すには、高いGPUパワーが必要だ。

 このゲームの場合「最少(1%)」がどこまで下がるかに注目だ。たとえばGTX 1060だと平均約55fpsとわりと快適なようだが、建物の密集するエリアなどに行くと30fps台に落ち「カクつく」瞬間が出やすくなる。敵を見付けたのに反応が遅れる原因にもなるので、勝ちを狙いにいくなら最少(1%)時も60fpsに近いほうが望ましい。その点で言うと合格点を出せるのはGTX 1070 Ti(中古でよければGTX 980 Tiも悪くない)と1080 Tiの二つだけだ。GTX 1060でもプレイ可能だが、カクつきを抑えるためには画質を“中”程度に落とす必要がある。

【検証環境】PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS:マップ“Erangel”におけるリプレイデータを再生し、その際のフレームレートを「OCAT」で測定、そのほかは「基本的なゲーム性能を確認する DirectX 11編」と同じ

DOS/V POWER REPORT 7月号は「PCの強化・延命」を大特集!

 DOS/V POWER REPORT 7月号の特集は「パーツ交換でPCをもう3年使う~メーカー製PCも自作PCもめんどう見ます~」。この特集では、3年前、5年前の古いPCのパーツを交換することで、より長く使い続けるテクニックについて解説します。CPU交換、メモリ増設、ビデオカード増設、HDD→SSD換装といったパーツのカテゴリごとに交換に必要な知識から、交換用にオススメのパーツまで紹介し、スタンダードノート、ゲーミングノート、ゲーミングデスクトップ、スリムデスクトップ、Sandy Bridge自作機、AMD FX自作機のアップグレード実例を詳しくお見せします。自作PC、メーカー製PCを問わずに使えるテクニックを満載した本特集をぜひご覧ください。