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Seagate、HDDで480MB/sを実現するデュアルアクチュエータ技術をデモ

OCP 2018のMicrosoftブースに展示されているMACH.2デモ

 米Seagateは20日(米国時間)、HDDのアクセス性能を倍速化するマルチアクチュエータ技術「MACH.2」を発表し、サンノゼで開催された「Open Compute Project Summit (OCP 2018)」にてデモを展示した。

 マルチアクチュエータ技術は、同社が2017年末に発表しており、今回は新たに技術名称が明らかとなった(Seagete、HDDの速度を倍増させる「マルチアクチュエータ」技術参照)。

 アクチュエータは、磁気ディスク上でデータの読み書きを行なう記録ヘッドを動かすための部品。従来のHDDでは1つしか搭載されていなかったが、MACH.2テクノロジー採用HDDは2つのアクチュエータを搭載し、記録ヘッドの半分ずつが別々のユニットとして独立して動作するため、読み書きを高速に行なえるという。

 実際にMACH.2テクノロジーを搭載したHDDでは、従来の最速クラスのHDDと比較して60%高速な最大スループット480MB/sを確認できたとしている。

 同社は、MACH.2テクノロジーと同時に、「熱アシスト磁気記録(HAMR: Heat-Assisted Magnetic Recording)」技術の社内ラボでの信頼性試験結果についても報告を行なっている。

 HAMRは、HDDの記録密度を飛躍的に上昇させるための技術として期待されているものの1つ。

 今後さらにプラッタの記録密度を高めていくと、超常磁性効果と呼ばれる現象により、記録データが不安定になってしまうため、より安定性のある磁性体をプラッタに採用する必要があるが、そのさいに従来の磁気ヘッドでは磁化に必要なエネルギーが足りず、データを書き込めないという問題が発生する。

 HAMRは、データを記録するさいに、プラッタを局所的に加熱することで、磁化に必要なエネルギーを抑えるというもの。

 業界標準のニアラインHDDの信頼性仕様では、年間550TBのデータ転送を5年間(計2,750TB)行なえる信頼性があることが定められているという。これはヘッドが18個あるHDDの場合、各ヘッドは5年間で152TBのデータ転送を要求される。

 Seagateでは、開発したHAMRヘッドを試験したところ、6,000時間のデータ転送が可能であることを実証したという。データ転送量は3.2PB(3,200TB)相当で、前述の仕様を20倍以上上回る信頼性を発揮したとしている。

 同社はHAMR2018年末より出荷開始を予定しており、2023年までの40TB HDD実現を目標としている(Seagate、WDより2年早く40TB HDDを実現参照)。