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Google、「Android P」の開発者向けプレビュー公開
~屋内測位やHEIF対応、既定で平文HTTPをブロックなど
2018年3月8日 19:36
Googleは7日、Android OSの次期バージョン「Android P」の開発者向けプレビュー版提供を開始した。
開発者向けプレビュー版は、Androidエミュレータまたは、Pixel、Pixel XL Pixel 2、Pixel 2 XL向けのシステムイメージが公開されている。
Android Pでは、いくつかの新機能が実装される。そのうちの1つが、「Wi-Fi Round-Trip-Time(RTT)」として知られるIEEE 802.11mcのサポートで、GPSの利用できない屋内での正確な測位を実現する。
アプリはRTT APIを利用して、アクセスポイントまでの距離を測定でき、そのさいにアクセスポイントと接続されている必要はなく、アクセスポイントを測距のためだけに利用できるという。
3つ以上のアクセスポイントとの距離を測定することで、±1~2mの精度で位置を把握できるという。同社では、これによって建物内のナビゲーションを実現でき、電灯の近くにいるとき「この電灯をオンにしますか」といった曖昧さのない音声制御など、ロケーションベースのサービスを提供できるとしている。
ディスプレイの切り抜き表示のサポートも追加されており、「iPhone X」のようなノッチ(切り欠き)ディスプレイでも全画面表示に対応する。
通知機能も拡張されており、「MessagingStyle」通知では、メッセージ送信者の表示や、定型文を返すスマート返信、画像やステッカーによる返信も通知画面から行なえる。
カメラ部分では、「マルチカメラAPI」が実装され、デバイス上の2台以上の物理カメラからストリームに同時にアクセスできるようになった。複数カメラ搭載デバイスなら、シームレスなズームやボケなどの機能、ステレオ撮影などがOSレベルで実現できる。
そのほか、起動時のキャプチャ遅延を減らすための新セッションパラメータ、カメラのストリーミングを停止しなくてもクライアントが同時にカメラへアクセスできるサーフェイス共有、前面ディスプレイを利用したフラッシュサポート用API、アプリレベルの画像安定化と特殊効果のためのOIS(光学手ブレ補正)タイムスタンプへのアクセス機能などが追加されているという。
ソフトウェア面では、「HDR VP9 Profile 2」に対応し、HDR対応デバイスであれば、YouTubeやPlayムービーなどのソースから、HDR映像が視聴できるようになった。
静止画では、新たに「HEIF」形式に対応している。HEIFは、iOS 11で対応が追加された画像ファイル形式で、HEVC(h.265)の圧縮技術をもとにしているため、高圧縮かつ高画質を謳っている。
Android 8.1で導入された「Neural Networks API」もバージョン1.1となり、「Pad/BatchToSpaceND/SpaceToBatchND/Transpose/Strided Slice/Mean/Div/Sub/Squeeze」の9つのオペレーションを追加。Pixel 2デバイス向けのビルドには、量子モデル計算用の「Qualcomm Hexagon HVX」ドライバも含まれている。
セキュリティの面では、「ネットワークセキュリティ構成」がデフォルトで平文のクリアテキスト(非暗号化HTTP)をブロックするようになっているという。
これは、すべてのネットワークトラフィックをTLSで行なうようにするための取り組みの一環で、ネットワークセキュリティ構成を使用している場合、明示的に特定ドメインのクリアテキストをオプトインしない限り、TLS接続を強制されるとしている。
プライバシー保護の面では、アイドル状態のアプリに対して、マイク、カメラなど「SensorManager」管理下のセンサーへのアクセスを制限するように変更されているほか、将来的にクライアント側で暗号化されたAndroidバックアップ機能を実装する予定としている。
そのほか、ネットワークごとにMACアドレスをランダム化する機能も実装予定となっている。
動作の高速化のため、ARTランタイム周辺も改善されており、アプリの最適化とコンパイルされたアプリコードのインメモリフットプリントを削減する実行プロファイルを実装している。
また開発言語「Kotlin」のコードの性能最適化を進めており、ループをターゲットとするコンパイラの最適化を改善し、性能を向上させている。
バッテリ関連では「Doze」や「アプリスタンバイ」機能、「バックグラウンド制限」などが改良されている。