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2019年後半にDell、HP、Lenovoが5Gに対応したモバイルPCを投入

~MWCでIntel 5Gモデムを搭載した2-in-1デバイスのプロトタイプを公開

IntelがMWC 18で5Gの無線通信に対応した2in1を展示

 Intelは、2月26日(現地時間)からスペイン・バルセロナ市で開催される予定のMWC 18(Mobile World Congress 18)に先だって発表会を開催した。同社 コミュニケーション/デバイス事業本部 5Gビジネス/技術 事業部長 ロブ・トポル氏は「Intelは、5GNRの商用製品への搭載に向けて5Gに対応した通信機能を備えたモバイルPCを、Dell、HP、LenovoそしてMicrosoftと共同で開発している。2019年の後半に製品は市場に投入されるだろう」と述べ、5Gを内蔵したモバイルPCを業界のパートナーと協力して2019年後半に市場に投入する計画であることを明らかにした。

 今回のMWC 18は、2019年に商用製品の投入が計画されている携帯電話回線の新規格となる5Gが大きなテーマになる。携帯電話回線の規格を策定する会議となる3GPP(3rd Generation Partnership Project)では、昨年(2017年)の12月に5GNR(NR=New Radio)と呼ばれる5Gの標準規格を3GPP Release 15として標準化が完了しており、2019年にはそれに対応した5Gの商用製品が登場すると見込まれている。

 これまで、こうした新しい通信技術は、まずスマートフォンなどに搭載され、PCに搭載されるまではかなり時間が経ってからとなっていたが、Intelの取り組みにより、2019年内にPCにも5Gを利用した無線通信が搭載される可能性が高まってきた。

5GNR商用製品は2019年に登場予定

 IntelのMWC 18での目玉となるのが、5Gに対応したPCになる。同社は昨年、「XMM8000」シリーズと呼ばれるクライアント向けの5Gモデムを発表しており、その最初の製品は2019年に投入する「XMM8060」であることも明らかにされている。

 ロブ・トポル氏は「IntelはMWCで、5Gに対応した脱着式の2in1型デバイスのコンセプトモデルを展示し、実際に5Gを利用して通信するデモを行なう」と説明した。Intelによれば、5Gに対応したPCは昨年の8月に発表した第8世代Coreプロセッサ(開発コードネーム:Kaby Lake Refresh、KBL-R)のCore i5と、同社が開発した5Gモデムが採用されており、5Gの通信インフラを利用したストリーミングビデオ再生を行なう予定だという。

 Intelは5Gの開発に力を入れており、昨年(別記事:Intel、SoC統合型の5Gモデムなどに取り組んでいく意向を表明参照)、そして一昨年(2016年、別記事:「5Gの取り組みは既に始まっている」、Intelが5G開発環境を提供へ参照)は、5Gの開発環境となる「Intel 5G mobile trial platform」を開発パートナーに提供するなどして取り組んできた。日本国内でもNTTドコモと実証実験を昨年行なうなど、着実な結果を残しており、4G世代の王者であるQualcommと並び、クライアント向け5Gの先頭走者となっていた。

 その5Gは、昨年の12月に携帯電話回線の標準化を行なっている3GPPで標準化の第1弾が完了したことがすでに明らかになっている。5GNRと呼ばれる5Gに関連した新しい技術のうち、NSA(Non StandAlone)と呼ばれる仕様の標準化が完了しており、2019年中には商用製品への採用が確実になってきている。今回のMWCではそうした5GNRに対応したモデムや基地局などインフラのデモが行なわれると見られており、今回のIntelの発表もその延長線上にあると考えられる。

2019年の後半に、Intelの5Gモデムを搭載したモバイルPCが登場

 Intelはすでに現在韓国の平昌(ピョンチャン)で行なわれている冬季オリンピックにおいて、韓国の通信事業者であるKTとパートナーシップを組んで、5Gのアーリープロトタイプのデモを行なっている。

 平昌でのデモは、5Gの標準仕様である5GNRに基づいたものではなく、仕様の一部を実現したPre 5Gと呼ばれるもので、あくまで通信キャリアのなかで閉じた独自仕様であり、異なるメーカーの基地局とデバイスなどが通信できるといって互換性を実現したものにはなっていない。5Gが本格的に商用に移行するのは、標準化が済んだ3GPP Release 15で規定されている5GNRに対応した製品が市場に投入される2019年になると見られており、2020年に日本で行なわれる東京オリンピックでは、これらに基づいた5Gの商用デモが行なわれることになるだろう。

2019年の後半に、Dell、HP、Lenovoが搭載製品を投入する予定。Microsoftなどとも協力して実装が行なわれている

 そうした5GNRが本格的に立ち上がる2019年に向けて、Intelでは5GのPCへの実装を、OEMメーカーとなるDell、HP、Lenovo、Microsoftと共同で開発しているという。IntelはMicrosoftと協力してACPC(Always Connected PCs)という、LTEモデムを搭載しているインターネット常時接続なPCの取り組みを行なっており、おそらくそれの延長線上にある製品が5Gに対応することになる。

 Intelは「Coreプロセッサ+Intelモデム」(トポル氏)とだけ説明しており、具体的にどのような製品になるのかは説明していない。すでに述べたとおり昨年の11月に5Gに対応したモデム製品としてXMM8000シリーズを発表しており、最初の製品がXMM8060になることも同時に明らかにされているので、おそらくそちらが採用されることになる。

 仮に2019年の年末商戦までの登場が実現した場合、2020年の東京オリンピックの時期には、日本でも5Gを利用して携帯電話回線経由で現在のLTEよりも高速で、かつ遅延も少ない回線が利用できるようになる可能性がある。スマートフォンよりも取り扱うデータ量が多いPCは、5Gで受ける恩恵はスマートフォンよりも大きいと考えられるだけに、その動向には今後も要注目だ。

Intelの5Gモデムはほかにも中国のSoCベンダーSpreadtrumが採用予定で、2019年の後半に最初のスマートフォン製品に採用される見通し

 なお、Intelによれば、このほかIntelブースでは高速なWi-Fiの規格として注目を集めているIEEE 802.11ax、IntelのLTEモデムにおけるeSIM実装のデモなども公開される予定であるとのことだ。