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新ThinkPadではエラービープ音をAndroidアプリに聞かせるとエラー内容の特定が可能

~レノボThinkPad新製品発表会で明らかに

同社専務執行役員の安田稔氏

 レノボ・ジャパン株式会社は8日、薄型軽量の14型モバイルノート「ThinkPad X1 Carbon」をはじめとする第7世代Coreプロセッサ搭載のThinkPadシリーズを発表。これに合わせて都内で記者説明会を開催し、新製品の技術概要に加え、投入の背景などについて解説した。

 冒頭では、同社専務執行役員の安田稔氏が挨拶。1と25という数字を掲げ、1は日本で5年連続シェアNo.1(NECレノボグループ全体)、25はThinkPadブランド25周年を示すとし、これはひとえにユーザーの支持によるものであると謝辞を述べた。

 労働環境を取り巻く環境は近年変わりつつあり、ITを活用したワークスタイルの変革について、世間も意識を向けつつあるという。IT活用による仕事の生産性の向上のみならず、介護や育児の問題や、オフィスのスペース削減といった新しいチャレンジにより、ITを活用したテレワークも浸透しつつある。

 この新しいワークスタイルの変革には、それに対する意識や制度が欠かせないが、レノボではPCを含むワークスタイル変革を支える環境をサポートしていくことに注力していくとし、8日にレノボが発表するThinkPad新製品で対応していきたいとした。

 また、7日に発表した画期的な低温ハンダ付け技術を、今後の新製品の製造に順次適用していくことで、環境に配慮した製品づくりのチャレンジも引き続き挑戦していくとする。さらに、ワークスタイル変革2017イベントへの出展や、レノボ自身のテレワークディの導入など、積極的にワークスタイル変革に参与していきたいとした。

レノボは、ワークスタイル変革を支える環境をサポートしていく
テレワークの推進とコミュニケーションの改革
7日に発表した画期的な低温ハンダ付け技術
ワークスタイル変革への取り組み

14型モバイルに注力する理由

新色のシルバーのThinkPad X1 Carbonを手にする吉原敦子氏

 続いて、同社コマーシャル製品事業部 コマーシャルノートブック・タブレット製品担当の吉原敦子氏が、新製品群投入の背景について説明。同社がこれまで社内でずっと継承してきた開発コンセプト“ThinkPad開発哲学の木”を掲げ、「全てはお客さまの成功をサポートするという主幹のもと、ThinkPadの製品開発を行なっている」とし、そのために堅牢性、ユーザビリティ、拡張性の3つにこだわったのがThinkPadであるとした。

 こと堅牢性については、これまでの湿度、低温、高温、粉塵、太陽放射、振動、メカニカル衝撃、高度、極端な温度変化、そして耐菌性という10項目に加え、新製品では新たに可燃性ガスと海運振動という2項目のMILスペックテストをクリアしたことをアピールした。

 今回の新製品のラインナップは多岐に渡るが、レノボでは14型製品(ThinkPad X1 CarbonおよびThinkPad T470s)、そしてThinkPad X1 Yogaのような2in1製品の2つを推す。いずれもワークスタイルの変革、つまりテレワークに最適な製品だからだという。

 14型製品については、15.6型ノートよりコンパクト/軽量で持ち運びやすい筐体と、12型/13.3型より大きい大画面を兼ね備えた特徴があるとし、作業効率と携帯性の両立を実現している。ThinkPad X1 Carbonは2016年モデルよりさらに小型化され、バッテリ駆動時間が15時間へ伸びている点が特徴。一方、ThinkPad T470sは、ドングルを用いらずともGigabit Ethernetが利用でき、社内が有線LANに限られている環境でも活用できる製品だとした。

 2in1製品では、資料作成および編集などに効率的な入力方法と、タブレットのように資料を閲覧/表示する方法を両立でき、場所や時間にとらわれない働き方を実現できるとした。

ThinkPadのこだわり
ThinkPad開発哲学の木
ThinkPadの堅牢性。新たに2項目のテストが加わった
新製品ラインナップ
新製品の特徴
大画面による作業効率と携帯性を両立する14型製品
ThinkPad X1 Carbon
狭額縁化によりフットプリントが低減
ThinkPad T470sの特徴
14型モバイル製品
ThinkPad X1 Yogaをはじめとする2in1製品
生産性向上のためのアクセサリ群

2017年モデルの新機能

 2017年モデルの新機能の1つとして、エラービープ音の進化が挙げられる。これまでのPCのエラービープ音と言えば、長い音と短い音を組み合わせたモールス信号のようなもので、ユーザーはその音を聞いて、マニュアルと照らし合わせてエラーを特定するといった煩雑な作業が必要だった。

 一方、2017年モデルでは、個別の音階を持ったエラー音でエラーコードを発信し、スマートフォン対応の「Lenovo PC Diagnostics」(リンク先はAndroid版)というアプリに聞かせると、エラーコードとともに、機種名、エラーの原因、タイムスタンプ、そしてモデル名やシリアルナンバーに至るまでを特定できるようになった。これによって管理の利便性を大幅に向上させた。

個別の音階を持ったエラー音が鳴るようになった。スマートフォンアプリに聞かせれば機種名やエラーコードを特定できる

 もう1つ、設定ユーティリティ「Lenovo Settings」に「Keyboard Manager」機能を搭載し、ユーザー定義キーやキーボードマップ、特殊機能とF1~F12キーの入れ替え、FnキーとCtrlキーの入れ替え、特定のテキスト出力などを行なえるようにした。また、これまで一部明示していないFnキーとのコンビネーション機能(隠し機能)があったが、同ユーティリティ上で確認できるようになった。

 ちなみに、これまで同社のドライバ類は、インストーラによってインストールされ、ThinkPadの機能を実現するために、さまざまなコンポーネントが独立してインストールされていた。このため、例えば旧製品の「ThinkPad T460s」のプログラムと機能には、28項目も並んでいた。

 新しいThinkPad T470sでは、ドライバをINFインストールに変更するとともに、機能を実現するためのコンポーネントを「Lenovo System Interface Foundation」の1つに統合した。これにより、プログラムと機能の項目はわずか8項目となり、Windows Updateとの親和性も向上したという。

Keyboard Manager
ドライバをINFインストールに変更し、ThinkPad機能関連のコンポーネントを1つに統一