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1日5時間以上のTV視聴で肺塞栓症死亡リスクが増加

~阪大研究結果

TV視聴時間と肺塞栓症死亡リスク

 1日に5時間以上のTV視聴を行なうことで、肺の血管に血栓が詰まる肺塞栓症で死亡する確率が高いことを大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座の磯博康教授らの研究グループが世界で始めて明らかにした。

 これまでも長時間のTV視聴後に肺塞栓症を発症した例はいくつか報告されていたが、磯教授らは今回、8万6千人を20年間追跡調査したデータを解析し、TV視聴時間の長さと肺塞栓症死亡リスクの増加に関連があることを見出した。

 肺塞栓症は、下肢や骨盤内の血管に血液が鬱滞することで固まって、血の塊である血栓を形成し、これが血流に乗って肺に運ばれ、肺動脈を閉塞。エコノミー症候群として知られる飛行機の長時間のフライト後や、長時間の座位でのPCの使用後に発症し、死亡した例の報告もある。

 TV視聴時間が1日あたり2.5時間未満の人に比べ、2.5~4.9時間の人では肺塞栓症による死亡リスクが1.7倍であり、5時間以上では2.5倍になる結果が得られた。また、TV視聴時間2時間につき、40%の肺塞栓症死亡リスクの増加も認められた。これらの関連は、参加者の生活習慣や健康状況を統計学的に考慮したあとの数値という。

 この調査結果は、TV視聴時に足を動かしていないことが主な原因と考えられる。長時間にわたってTV視聴時視聴などで足を動かさない状況が続く時は、1時間に1回は立って、5分程度歩いたり、ふくらはぎのマッサージ、水分摂取などによりリスクを低下できるという。

 なお、今回の解析データは、PCやスマートフォン、タブレット端末の利用が盛んになる前のもの。