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Google、宇宙でAIを動かすTPU衛星を打ち上げへ。放射線や冷却を軌道上で検証
2026年9月28日 12:17
AIの計算基盤を宇宙に置くという構想がさらに一歩進んだ。Googleは9月24日(米国時間)、宇宙空間にマシンラーニング基盤を構築する研究プロジェクト「Project Suncatcher」について、同社のAIチップ「TPU(Tensor Processing Unit)」を搭載したプロトタイプ衛星を打ち上げ、宇宙環境での動作を検証すると発表した。あわせて、プロジェクトの科学的背景や技術課題を解説する動画シリーズをYouTubeで公開した。
Project Suncatcherは、宇宙空間がスケーラブルなマシンラーニング基盤になり得るかを探る長期的な研究プロジェクトで、2025年に発表された。低軌道の衛星はほぼ常時太陽光を受けられ、地上の最大8倍の電力を太陽光発電で得られる。将来的には軌道上の衛星群を連携させ、大規模なAIワークロードを処理することを目指す。
今回のミッションはPlanetと共同で開発したもので、SpaceXの衛星相乗りミッション「Transporter-18」で打ち上げられる。打ち上げ時の物理的なストレスや、宇宙の放射線、極端な温度環境にTPUがどう耐えるのかについて、軌道上でデータを収集する。
低軌道までの飛行は約10分で、その間に機体は激しい振動と最大10Gの持続的な加速度にさらされ、TPUチップなど個々の部品には50~100Gの力がかかることもある。研究チームは、ロケット打ち上げ時の振動を再現するため、衛星を3軸で激しく揺らす振動試験を実施した。ハードウェアはこれに耐えたという。
また、宇宙空間では太陽活動や宇宙線による放射線が、半導体に深刻なダメージを与える可能性がある。研究チームは、カリフォルニア大学デービス校クロッカー原子力研究所の陽子ビーム施設で、AIワークロードを実行しながらTPUのテストを実施し、ビット反転などのエラーが処理に与える影響を調べた。初期結果では、「Trillium」TPUは5年間の宇宙ミッションで受ける量を上回る総電離放射線量に耐えられることが分かったとしている。
さらに軌道上では冷却も大きな課題となる。TPUは熱密度が高いが、真空の宇宙空間には空気の流れがなく、ラジエーターによる放熱しか手段がない。同社はヒートパイプとラジエーターを組み合わせた方式など複数のアプローチを検討しており、宇宙の熱・真空環境を再現する熱真空チャンバーで試験を重ねてきた。今回の打ち上げで、新しい冷却システムの機能を確認し、得られた知見に基づいて設計を改良する予定。
将来の衛星は1基あたり数十個のTPUを搭載し、クラスタを組んで地球を周回する構想。AI処理に必要な帯域を維持するため、各衛星は自身の位置と近隣の衛星との相対的な位置関係を把握する必要があり、そのためレーザーで通信する。
既存の衛星レーザー通信の多くは長距離/低帯域向けに最適化されているのに対し、研究チームのレーザー通信は極めて短い距離で非常に高い帯域幅で動作する必要がある。さらに、双方の衛星が移動している状態で接続を維持するには、数マイル離れた場所からコインサイズの標的に命中させるのと同等の精度が求められる。この技術は、2027年に2基の衛星を軌道に投入する際に実証実験を行なう予定だとしている。













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