やじうまミニレビュー

安すぎ!ダイソー880円の30W USB PD充電器を検証。実用性は他社製に勝る?

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
ダイソー「30WUSB PD充電器」。実売価格は880円。今回試用しているホワイトのほかにブラックもある

 ここ1から2カ月ほど、SNS界隈を中心にひとしきり話題になっているのが、ダイソーから新たに発売された最大出力30WのUSB PD充電器だ。専業メーカーの同等製品はどれだけ安くても1,500円程度するのに対し、本製品は880円と価格破壊的なプライスで、注目を集めるのも当然だ。

 その一方で、パッケージに少々気になる注意書きがあるのも、店頭で実機を手に取ったユーザーの間で話題になっている理由の1つだ。果たして他社同等品との明確な違いはあるのか、実機を購入して検証してみたのでレポートをお届けする。

一般的な単ポート仕様の充電器。裏面にはラディウス社の名

 本製品はスマホなどの急速充電に適した、最大出力30WのUSB PD充電器だ。最近はiPhoneをはじめとして30W以上で充電できるスマホも珍しくないが、一昔前はスマホの急速充電といえば20Wや30Wが一般的だっただけに、価格やサイズなどの条件も込みで考えると、現在でもバランスの取れた選択肢といえる。

 ポートはUSB Type-C 1基で、本体サイズも一般的な1ポート搭載のUSB PD充電器と同等だ。こうした製品の中には、プラグの折りたたみ機構を省いてコンパクトに見せているものもあるが、本製品はプラグもしっかり折りたためるため、バッグの中に無造作に放り込んでも荷物に傷が付く心配が少ない。質感についてもチープな印象はなく、安っぽさはまったく感じられない。

 ちなみに裏面のPSEのマークを見ると、本製品はラディウス社が関わっていることが分かる。実績のあるメーカーであり、一定の信頼性が担保されていると考えてよいだろう。

ダイソーブランドで販売されている。GaN採用、30W対応であることが大きく書かれている
製品本体。見るからに一般的なUSB Type-C単ポート仕様のUSB PD充電器だ
プラグは折りたたみ可能なのでバッグの中にも入れておきやすい
PSEの認証元を見る限りラディウス(radius)社が手掛ける製品のようだ
重量は実測43gと、単ポート30WのUSB PD充電器としてはいたって普通だ

「絶対NG」という強い口調の理由を考える

 さて本製品で気になるのが、パッケージに「30Wを超える出力を必要とするノートパソコンには絶対に使用しない。」という、いつになく強い口調での注意書きがあることだ。

パッケージの側面に気になる注意書きがある。本製品のパッケージに書かれている日本語はどれも言い回しに癖があるのだが、この下線部はかなり強い口調だ

 一般的にノートPCを充電するには、45W以上の電力を必要とすることが多く、30Wの充電器を接続した場合、充電よりも電力消費の方が速いせいで、充電器に接続しているのにバッテリの残量が減っていったり、あるいは接続されていること自体が認識されない場合もある。

 これらの挙動はノートPCによっても異なるが、いずれも知識の乏しいユーザーから見ると不具合に見えかねないため、クレームや問い合わせを回避するために「30Wを超える出力を必要とするノートパソコン」での利用を一律でNGとしている、というのは大いに考えられる線だ。

 とはいえこれは推測にすぎず、何か別の理由がある可能性もある。メーカーがこうした注意書きをしている以上、検証結果を問わず使用するべきではないが、明確にそれと分かる挙動があるのか否か、使う側としては気になるところ。そこで同等品にあたる他社の最大出力30WのUSB PD充電器を3つ用意し、挙動を比較してみた。

最大出力30WのUSB PD充電器4つを並べて比較した。手元にあった製品を集めただけなので終売製品も含むのはご容赦いただきたい

 仕様についてまず目に付くのは、5V/2.4Aの出力に対応していることだ。最近は目にする機会が減りつつあるApple向けの仕様だが、あって困るわけではない。またQuick Charge 2および3にも対応しているが、こちらも特にデメリットとなるわけではない。このほかUSB PDのPDO一覧を見ると、12Vのオプションに対応しているが、これは今回検証した4製品のうち3製品が対応しているので、本製品だけの特徴というわけでもない。

 また本製品はPPSに対応しており、3Aでは最大11V、2Aでは最大16Vと、比較的高めの電圧に対応している。今回の比較対象の1つであるエレコム製品では同じくPPS対応ながら2.8Vで最大11Vなので、単純に考えるとそれだけ余裕を持って電力を供給できることになる。ただしその分、状況によって発熱が増える懸念はある。

「USB Cable Checker3」で仕様をチェック。上段左がダイソー製品、上段右がエレコム「EC-AC10230BK」、下段左がAUKEY「PA-Y19」、下段右がBELLEMOND「Ultra Mini 30W」(以下並び順は同じ)。ダイソー製品とBELLEMOND製品はAppleの5V/2.4AおよびQC2/3での充電に対応している
PPSをチェック。12Vに対応しているほか、PPSの電圧も高め。ちなみにBELLEMOND製品(下段右)とはPPSの値も含めてよく似ている

 続いて実際にノートPCに接続して検証してみた。今回用意したThinkPad X1 Carbon Gen9は、30Wの充電器につないだ場合はスリープ状態ならば充電できるが、駆動中はタスク次第でバッテリ残量が増える場合もあれば減る場合もあるという、ちょうど境目の状態にあることが、これまでの利用で判明している。

 さて結果からいうと、比較対象の3製品と同じく、約26W(20V/1.3A)で充電が行なわれ、特におかしな挙動は見られなかった。今回の実験はバッテリ残量20%台で行なったのだが、なるべくタスクを起動しない状態でそのまま放置しておいたところ、4時間半ほどかけて満充電まで到達した。

 ノートPCの中には、出力が一定未満の充電器を認識せず、給電そのものを受け付けない製品もあるので、どんなノートPCでも今回のThinkPadのように充電が完了できるとは限らないが、少なくともほかの30W対応充電器と異なる挙動は、今回の検証では確認できなかった。

いずれも約26Wでの充電が行なえている。BELLEMOND製品(下段右)のみ電圧が若干高い

 その一方で、ダイソー製品だけ明確な違いが出たのが温度だ。上記環境での充電中、開始から約1.5時間経過したところで充電器の表面温度を測定したところ、ほかの3製品が最大71℃台だったのに対して、本製品は最大74℃という温度が観測できた。GaN対応の単ポート充電器でピーク時温度が60~70℃に達することはよくあるが、74℃というのはかなり高めだ。

 71℃でも74℃でも似たり寄ったりといえばその通りなのだが、4製品もある中、ダイソー製品だけが明確に突出していたのは少々引っかかる。余談だが最近のUSB Type-Cケーブルの中には温度異常を検知して電力供給を遮断する製品があるが、その閾値は80℃前後であることが多いので、外気温などの影響次第ではそれに引っかかりかねない温度だ。

斜め方向から見てもっとも高温の箇所を撮影したもの。本製品が74.1℃、ほかの3製品は71℃台ということで、本製品だけ明らかに温度が高い
ちなみにボディサイズが大きいためか温度が上がらないことで知られるApple製の充電器(デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ)で試したところ、表面温度は53℃止まりと、およそ20℃もの差があった

温度は高めだが異常な挙動はなし。おすすめできる一台

 以上のように、充電中の表面温度が高い点だけは若干引っかかるが、それ以外ではごく一般的な最大出力30WのUSB PD充電器で、異常な挙動も見られない。「30Wを超える出力を必要とするノートパソコンには絶対に使用しない。」という注意書きも、リスク回避のための慎重さ重視の表現であり、価格優先で切り捨てられたギミックはないと考えて差し支えない。

 かつてのUSB PD充電器といえば、パッケージや外装に書かれたPDOが実機と一致しないことも多く、何かとツッコミどころになっていたわけだが、今回の製品はそれらも完全一致しており、作る側のいい加減さが見られない点も評価できる。耐久性のように長期的に使わなければ分からない部分は評価保留とするが、これはほかの製品でも条件としては同じだろう。

パッケージに書かれたPDO。前述した製品裏面の記載内容、および実機の測定結果とも完全に一致している

 しかも本製品の場合、実売880円という強力なアドバンテージがある。あくまで30W以下での充電に対応したスマホやタブレットと組み合わせるべき製品で、ノートPCで使うならば本製品ではなく45W以上に対応した充電器を調達するのがベターなことに変わりはないが、外出先に充電器を持参し忘れて急遽必要になった場合、最寄りにダイソーの店舗があれば、飛び込んで指名買いするにふさわしい、そんな製品といえそうだ。