やじうまミニレビュー

Microsoftの黒歴史インスパイアード・グッズ再び。今度はあの「クロックス」と

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Microsoft Limited Edition Crocs Bundle

 Microsoftと言えば、Windowsを提供するソフトウェアベンダーとの認識が強いかもしれない。しかし、近年のMicrosoftはAzureなどのIaaS(Infrastructure as a Service)やMicrosoft 365などのSaaS(Software as a Service)を提供するクラウド事業者としての側面が強くなっている。

 だが、Microsoftの歴史を振り返ると「Windows」や「Office」(現在はMicrosoft 365)、「Azure」などの成功を収めた製品やサービスだけでなく、いわゆる黒歴史もまたオンパレードなことに気がつかされる。その上に今の成功があるというわけだ。

 そして、Microsoftがユニークなのはそうした黒歴史を自虐ネタにして、パーティーグッズなどを作ってしまうところにある。

 今回紹介する「Microsoft Limited Edition Crocs Bundle」もそうしたものの1つで、米国においてInstagramで応募者を募集して抽選でプレゼントされたものとなる。そのサンプルをMicrosoftから提供されたので、早速レビューしていこう。

クリッパーセーター、XP大草原セーターに続いて登場したMicrosoft Limited Edition Crocs Bundle

左が23年ホリデーシーズン用、右が22年ホリデーシーズン用のWindows Ugly Sweater

 Microsoftは近年、デジタルとアナログを融合したプロモーションに熱心に取り組んでいる。その代表例は、近年Microsoftが米国のホリデーシーズン向けのパーティーグッズとして「Windows Ugly Sweater」(直訳するとWindowsチョダサセーター)を米国のXboxストアで販売したことがある。

 Ugly Sweaterとは、米国の人たちがホリデーシーズンに行なわれるホームパーティーに着ていくもので、その「ダサさ」を「ほめ殺し」合うという高度な笑いのセンスが必要になるグッズだ。Microsoftは2022年向けにはClippy(日本では「お前を消す方法」で知られるイルカのカイル君の米国版)、2023年向けにはWindows XPの標準壁紙だった「Bliss(大草原)」の柄のセーターを発売し話題を呼んだ。

 と、ここまで書いて、そう言えば2024年のホリデーシーズン向けのチョダサセーターはなかったとか今思いだしたのだが、その代わりと言ってはなんだろうが、Microsoftは新しい球を打ってきた。それが今回紹介する「Microsoft Limited Edition Crocs Bundle」だ。

 と言っても、今回はストアで販売される形ではなく、MicrosoftのInstagramで応募を募り、抽選で当選者が決められるという仕組みでギブアウェイ(無料で配布される企業のグッズなどのこと)として提供される形になっている。

 そもそもこのクロックスが作られたのは、Microsoftが50周年を祝してのことであり、Microsoftという企業のプロモーションの一環と言える。MicrosoftのWebサイトなどによれば、Microsoftの創業は1975年。Microsoftの2人の創業者であるビル・ゲイツ氏とポール・アレン氏がBasicを開発し、その販売を開始したことにさかのぼる。

 今年はそれから50周年、つまり半世紀となる節目の年で、それをお祝いするさまざまなプロモーションなどが行なわれており、このMicrosoft Limited Edition Crocs Bundleもその一環なのだ。

Microsoftの黒歴史を笑い飛ばせとXP大草原柄のクロックスをCrocs社と協業して作成

パッケージに含まれていた内容物、XP大草原柄の巾着もなかなかイカス

 Microsoft Limited Edition Crocs Bundleは、Crocs(クロックス)という米国企業が販売している合成樹脂製サンダル(クロックス)をベースに特注されたサンダルになる。

 米国では合成樹脂製サンダルと言えばクロックスと呼ばれるほどメジャーなサンダルだ。たとえて言うなら、紙をつづる留め具(ステイプラー)と言えばホッチキス、消波ブロックと言えばテトラポッドみたいなある企業の商標がそのジャンルを象徴する代名詞になってしまった例と同じように、Crocs社の商標であるクロックスが合成樹脂製サンダルの代名詞のようになっているほど人気を集めている。

 なお、Crocs社は日本にも進出しており、日本法人(クロックス・ジャパン)が直販などの各種チャンネルでクロックスの販売を行なっている。また、Crocs社自体はほかのブランドとの協業を熱心に行なっており、ウォルトディズニーやサンリオなどと協業したクロックスが同社の直販サイトで販売されている。

国際荷物で送られてきたパッケージ
あけるとXP大草原柄の巾着が入っていた
巾着
巾着の中にMicrosoft Limited Edition Crocs Bundleが入っていた
メッセージカード付き

 Microsoft Limited Edition Crocs Bundleはクロックスの中でも一番ベーシックな「クラシック クロッグ」がベースになっている。クラシック クロッグをベースにしてWindows XPの壁紙「Bliss」(大草原)の柄が印刷されている形になっており、全体としては大草原柄のクロックスというイメージだ。

 さらにクロックスにはオプションパーツとして「ジビッツ」と呼ばれるオプションパーツを付けてパーソナライズすることが可能になっているのだが、今回のMicrosoft Limited Edition Crocs BundleにはMicrosoft特製のジビッツが標準添付されている。

 具体的には右足側に「ごみ箱」「矢印」「MSN」、左足側に「クリッパー」「Internet Explorer」「フォルダ」のアイコンで、それぞれダサさを強調するようなデフォルメになっており、ダサ靴マニアの人には堪らない選択だろう(そんなマニアの人がいるかは知らないけども……)。

前から見たところ
後ろから見たところ
Crocs社のロゴ入りタグ
右足側のジビッツ、「ごみ箱」「矢印」「MSN」。MSNはまだ現役のような気もするが……
左足は「クリッパー」「Internet Explorer」「フォルダ」。ここに「お前を消す方法」でおなじみカイル君もいれてほしいところ……
ストラップも大草原色に塗られている

 こうしたMicrosoft Limited Edition Crocs Bundleだが、送られてきた時には、やはりBliss柄の巾着(ひも付きの袋)に入っており、その筋のマニアの方にはこれだけでも十分にウケがとれそうだ。

Oracleのイベントに早速履いていくと、目ざとい同僚から早速指摘され、昔話に花が咲く

意外と違和感なくて気がつかれなかったことも……靴下は気のせいだ気にするな……

 このMicrosoft Limited Edition Crocs Bundleを、今週出張で参加している米国におけるOracleのカンファレンス「Oracle AI World」に履いていったところ、何人かの同僚の記者の人から「それWindows XPの壁紙柄だよね」と声をかけられた。

 やはり筆者と同世代でWindows XPの全盛期(00年代)に現役だった人からの注目度は高いようで、同じような世代の人からは声をかけられる機会が多く、いかにWindows XPの壁紙がステキ(隠語)だったかで盛り上がった。

 その一方で、飛行機での移動の時に履いてもまったく注目はされなかったので、やっぱりIT業界の集まり、それもWindows XPの全盛期に既に社会人だった人には受けるというのが筆者の結論だ。

 その履き心地だが、クロスライトという特殊樹脂が軽量なのに、クッションの代わりになるため足への圧迫が少なく履き心地がいいとされている世評はその通りだなと感じた。普段筆者は某ブランドの「空気が最大入った」スニーカーを愛用しているのだが、それと比べても違和感がないぐらい足にかかる負担があまりないと感じた。

 実はクロックスを履いたのは今回が初めてだったけど、これからも普通にクロックスを買ってしまいそうだ。

 あれ、もしかしてMicrosoftさん、Microsoft 50周年のプロモーションだけでなく、クロックスのユーザーを1人増やしたみたいですよ?となってしまい、もしかしたらこれはクロックスのプロモーションなのかもしれないと感じているところだ。デジタルの会社とアナログの会社がタッグを組んだプロモーションの新しい形として、定着するかも……というのが今回の筆者の感想だ。

Oracle AI Worldの会場でパチリ、とっても違和感なくなじんでいて、これを撮影してくれた親切なインド系の方は気がつかなかったようだ……(笑)