やじうまミニレビュー

室内光でも充電可能なソーラー搭載。10年使えるロジクールのキーボード「K980」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
ロジクール「Signature Slim Solar+ K980(型番: K980GR)」

 ロジクールのキーボードのラインナップに新たに加わった「Signature Slim Solar+ K980」(以下K980)は、ソーラーパネルを搭載したBluetoothキーボードだ。発売は11月27日で、直販価格は1万6,390円。ワイヤレスながら充電不要というエコな仕様で、プライベートからオフィスユースまで幅広くフィットする。今回、メーカーから一足先に機材を借用したので、レビューをお届けする。

一般的な日本語配列。最大3台の接続先をワンタッチ切り替え

 本製品は同社の薄型静音キーボード「K950」をベースにしている。アイソレーションキーを採用しており、キーピッチは19mm、キーストロークは実測2mm程度と、フルキーボードとしての及第点をクリアしている。キーはパンタグラフ式で、キーの端寄りを押してもぐらつくことなく垂直にしっかりと押し下げられる。

 配列は一般的な日本語配列で、テンキーも備えたフルキーボード仕様。キーは6段で、113個のキーを搭載している。WindowsとmacOSのほか、iOS、Android、LinuxなどさまざまなOSに対応するため、WindowsキーのようなOS独自キーはキートップに独自の表記が用いられているが、キー配列自体が特殊なわけではない。

 強いて挙げれば、2段目の数字キー全体が、一般的なキーボードと比べてキー幅3分の1ほど左に寄っているので、半角/全角キーを押そうとして「1」キーに触れてしまうミスが稀に発生する点が難点だが、キーボードごとにある誤差の範囲内で、慣れでカバーできる。総合的には、ほかのキーボードからの乗り換えも容易な部類に入ると言っていい。

本体外観。テンキーも備えた日本語配列のフルキーボードだ。本体サイズは430.8×142.9×20.2mm
キーは6段。最上段はマルチメディア系のキーとファンクションキーの切り替えとなる
キーピッチは19mmと十分な間隔がある
キーストロークは実測2mm程度。パンタグラフ式のキーとしては標準的だ
数字キー列は全体的にわずかに左寄りの配置。またマルチOS対応ゆえ、Windowsキーは「スタート」と記載されるなど独自の表記が見られる
テンキー上段にはマイクおよびカメラの有効/無効を切り替えるホットキーを搭載している

 最上段はマルチメディア系のキーとなっており、ファンクションキー列はFnキーとの同時押しで利用する。ファンクションキーをメインにしたければ、専用ユーティリティ「Logi Options+」でそのように設定できる。またFnキー+Escキーを押して切り替えも可能だ。

 Logi Options+ではこれ以外に、Num LockやCaps Lockの無効化なども行なえるほか、マルチメディア系を中心としたキー(全キーではない)の割り当て変更も行なえる。さらにCopilotやChatGPTなどのAIを一発起動できる「AI起動キー」も搭載しており、これらの挙動の変更も、このLogi Options+で行なえる。

 また特殊なキーとして、ペアリング済みの3つのデバイスを切り替えられる「Easy-Switch」キーを、Home/Endキーなどの上に備えている。さらにベースモデルの「K950」のキー配列との数少ない相違点として、マイクおよびカメラの有効/無効を切り替えるホットキーを、テンキーの上段に搭載するなど、トレンドもしっかり押さえている。

 これ以外の機構面を見ていくと、バックライトについてはK950と同じく非搭載。またK950には搭載されている角度調節用のキックスタンドも、本製品では省略されている。なお接続方式はBluetoothだが、別売の「Logi Bolt USBレシーバー」を組み合わせることで、最大6台のデバイスとの接続にも対応するなど、拡張性は高い。

専用ユーティリティ「Logi Options+」では、マルチメディアキー列をファンクションキーとして使う設定や、NumLockキーなどを無効化する設定が行なえる
AIを一発起動できる「AI起動キー」を搭載。Windowsでは標準でCopilotが割り当てられており、必要に応じこの画面の右側で変更できる
このほかマルチメディア系のキーや、テンキー上部の電卓キーなども割り当ての変更が可能だ
上下左右キーの最上部には3台の接続先を切り替える「Easy-Switch」キーを備える。切り替えは瞬時でストレスもない
本体底面。角度調節用のキックスタンドは非搭載。バッテリやソーラー充電の機構を収めるためだという
横から見たところ。角度調節の機構がないため本体の傾きはこの一択だけだ

ソーラーパネルを搭載。オフィスの照明で充電可能

 さてそんな本製品の最大の特徴は、ソーラーパネル駆動であることだ。同社独自のソーラー充電技術「Logi LightCharge」によるもので、有線による充電および電源供給が不要なのはもちろん、電池交換も必要ないという、サステナブルな仕様を実現している。バッテリの耐用年数は10年にもおよぶというから驚きだ。

 このソーラーパネル、充電に必要な光量は200luxということで、日光でなくともオフィスの照明程度の光で充電が可能だ。間接照明や、窓から差し込む外光だけとなるとさすがに厳しいが、一般的な照明下であれば、普通に使っていてバッテリの減りを気にする必要はまったくない。

 ちなみに満充電になってさえいれば、暗闇の中でも最大4カ月は使用できるとされているので、完全にバッテリがなくなることは考えにくい。仮にそうなっても、しばらく明るいところに置いておけば復帰するので、短時間しか使わない場合でも、新品の電池を調達して入れ替えたり、何時間もかけて充電する必要もない。またスリープからの復帰が一瞬で待たされないのも秀逸だ。

本体最上段にソーラーパネルを搭載する
充電には200luxの光源が必要。足りない場合はこのような表示が出る
光源が十分であればこのような表示になる
バッテリ残量および接続方法は「Logi Options+」の左下に表示される
バッテリ残量だけであればWindows側の設定画面でも確認可能だ

 ソーラーパネル部はコンパクトなため邪魔に感じることはないが、周囲より一段低く、スタイラスやUSBメモリをうっかり置いてしまいたくなる形状なのがややネックだ。同社もこの問題は認識しているようで、パッケージには充電を阻害しないよう注意書きもある。だが、インタラクションという観点で考えると、モノが置きにくくなるようソーラーパネル部を周囲より盛り上がった状態にするなど、設計側で解決すべき問題のように感じる。

 なお本製品はソーラーパネルとバッテリを内蔵するためか、ボディは見た目から想像するよりはるかに重い。もっともその分安定性は高く、キータッチもしっかりしている。最近の外付けキーボードには、樹脂製丸出しの軽い打鍵音と、時折ボディのしなるギシギシという音がチープさを醸し出している製品も多いが、本製品はそうした懸念はまったくない。この点はメリットと捉えてよいだろう。

ソーラーパネル部はやや凹んでいることから、クリップやスタイラスなどの小物を置きたくなるが、充電を阻害するのでNGだ
重量は実測で703g。かなりずっしりとしている

完成度の高さが魅力、2年の長期保証付き。価格をどう見るか

 以上K980を使ってみたが、複数台をワンタッチで切り替えて使えるK950をベースに、ソーラー充電機能を追加した製品ということで、完成度は非常に高い。ソーラーパネルとの色のマッチングを考慮したのか、ボディカラーがグラファイト1色のみで、ホワイトのようなカラーバリエーションがないのが、購入を考える上での注意点かもしれない。

 価格は、同社直販ストアで1万6,390円。ベースモデルのK950が1万890円なので、差額は5,500円ということになる。機能や品質に不満はなく十分におすすめできる本製品だが、導入にあたってはこの価格が1つのハードルになるだろう。2年という長めの保証が付属すること、および充電や電池交換が必要ないことを、コストと手間の両面からどう評価するかによって、この価格への見方も変わってきそうだ。