やじうまミニレビュー
全ユーザー必携、USB Type-Cケーブルやポートの仕様が一目瞭然になる「USB Cable Checker3」
2025年9月26日 06:00
ビット・トレード・ワンから、差し込むだけでUSBケーブルの仕様をチェックできる「USB Cable Checker3(UCC3)」が登場した。名前からも分かるように、2019年に発売されたロングセラーとなった従来モデル「USBCableChecker2」の後継だが、ケーブルに加えてポートもチェックできる機能が追加され、別物と言っていい製品へと進化している。
9月19日からすでに販売が始まっている本製品だが、今回は一般販売に先駆けてKickstarterで行なわれていた先行支援の品を2カ月ほど試用した感想を、従来モデルとの違いを中心に紹介する。
見た目も中身も従来モデルとはまるで別物
まずは外見から。本体は樹脂製の黒いボックス状で、手のひらにすっぽり収まるサイズ。従来モデルは基板を透明なアクリル板でサンドイッチしただけの簡素な作りだったので、まるで別の製品のようだ。側面にUSBポートを備えることから、見た目は小型のUSBハブに見えなくもない。
もっとも使い方は従来モデルとほぼ共通で、側面のUSBポートにケーブルを挿したあと電源を入れることで、上面の液晶にさまざまな測定結果が表示される。取得した情報が1画面で収まらない場合は、本体右側面にあるスイッチを押すことで2画面目以降を表示できるのは、従来との違いの1つだ。ちなみに従来モデルの電池はCR2032だったが、本製品では単四形乾電池へと変更され、入手性が向上している。
対応するUSBポートの形状は、片方が「C」「A」のどちらか、もう片方が「C」「microB」のどちらかという組み合わせなので、実際のケーブルで言うと「C-C」「A-C」「A-microB」の3種類に対応することになる。Lightningは非対応なほか、従来モデルにあったminiBは省かれている。
「ケーブルチェックモード」は何ができる?
実際の使い方を見ていこう。本製品はケーブルチェックモードのほか、後述するポートチェックモードの2つの機能を備えており、電源を入れるとこの2つの機能のどちらかを選択する画面が表示される。
通常はデフォルトの「AUTO(自動判別)」にしておけばよいのだが、AUTOではポートチェックモードにおける一部仕様の検出が行なえないとのことで、必要に応じて手動で切り替えてやる必要がある。
まずはケーブルチェックモードから。左右の両ポートにUSBケーブルをつないだ状態で電源を入れると、画面上に取得した情報が表示される。従来モデル「USBCableChecker2」は小型液晶に加え、LEDの点灯でステータスを判別する仕組みだったが、本製品ではすべての情報が液晶画面に表示されるようになったほか、E Markerの内容を読み取れるようになったのが大きな進化だ。以下、具体的な用途ごとに、どこを見ればよいのかを紹介する。
充電/データ転送/映像出力など対応可能な用途を調べる
ケーブルチェックモードでもっとも参照頻度が高いのは、最上段のWire Connection(結線状態)だろう。結線状態を見れば、どのような用途に対応し得るケーブルなのかを判別できる。といっても細かく覚える必要はまったくなく、大雑把なポイントを抑えておけばよい。以下に具体例を記す。
まず「VBUS」「GND」が点灯していれば、少なくとも充電には使えることが分かる。さらにこの2つに加えて「D+」「D-」が点灯していれば、充電に加えてデータ転送にも対応していることになる。片端がA端子のケーブルは、この4つのアイコンで仕様を判別できる。
両端USB Type-Cケーブルの場合、もう少し点灯パターンは細かくなる。たとえば「TX1」「RX1」「TX2」「RX2」はDisplayPort Alt Modeで映像信号を出力するのに必要な結線で、これらが点灯していなければ、DisplayPort Alt Modeによるディスプレイ出力には使えないと考えてよい。
Thunderboltケーブルはフル結線なので、この映像信号伝送用の結線も合わせて、10個のアイコンすべてが点灯することになる。ただしアクティブケーブルなど一部の例外があるので注意したい。詳しくは後述する。
ケーブルの品質をチェックする
「VBUS+GND Res」という項目はケーブルの抵抗値(mΩ)を表しており、数字が小さいほうが抵抗値が低い=高品質ということになる。同じスペックのケーブルが複数あり、なるべく高品質なものだけを残してあとは処分したいという場合に役立つ。現在であれば、手元に大量にあるA-microBケーブルの選別に役立つはずだ。
USB PDで最大何Wまで対応するかを調べる
USB PDでの充電時に最大何Wまで対応するかを知りたければ「PDPower Capability」を見ればよい。「240W」「100W」「60W」に加えて、USB PD非対応の場合は「No PD」と表示される。従来モデルにはなかった機能で重宝する。この機能をもっとも必要とする人も多いのではないだろうか。
E Markerを内蔵しているかどうかを調べる
USB Type-CケーブルではおなじみE Markerの有無を見るには、「Vconn Res」なる項目を見ればよい。E Markerを内蔵していれば「eMarked」と表示されるので、規格違反のケーブルも見破ることができる。
最大電圧や最大電流、転送速度を調べる
E Marker内蔵のケーブルは、本体右側面のボタンを押すことで、E Markerに書き込まれた詳細情報を表示できる。初期画面ではUSB PDが最大何Wまで対応するかのみ表示できたが、ここでは最大電圧(V)最大電流(A)を分けて表示できるほか、さらにUSB PD EPR(Extended Power Range)に対応していれば「EPR」というアイコンが表示されるなど、付加機能についても知ることができる。
さらにこの画面ではUSBの転送速度も知ることができる。具体的な速度が表示されるわけではなく、「USB4 Gen4」といった規格名で表示されるので、頭の中で「なるほどUSB4 Gen4ということは最大80Gbpsなのだな」といった具合に変換してやる必要があるが、利用頻度の高い機能だろう。とはいえ初心者にはややハードルの高い部分かもしれない。
「ポートチェックモード」は何ができる?(充電器/モバイルバッテリ編)
さて本製品は、ここまで見てきたケーブルチェッカーとしての機能に加えて、充電器やデバイスのポートチェック機能も新たに搭載している。ここでは充電器、モバイルバッテリ、スマホ、PCの順に、どのような情報を取得できるのかを見ていこう。
なおこのポートチェックモードでは、実際にデバイスと通信してPDO(Power Data Object)などの情報を取得するため、用いるケーブルのスペックが低いと、そこがボトルネックになる可能性がある。Thunderboltケーブルなど、なるべくスペックの高いケーブルを用いたほうがよいだろう。
まずは充電器。USBケーブルを接続して電源を入れると、対象のUSB Type-Cポートの情報が一覧で表示される。最初の画面ではUSB PDのバージョン、最大出力(W)などの基本的な情報が、次の画面では具体的なPDOが表示できる。PPSやEPR、AVSなどの機能に対応している場合もその旨が表示される。公式な仕様にない機能が見つかることもしばしばだ。
なお複数ポートを搭載している充電器では、単ポートだけを使う場合と複数ポートを同時に使う場合とで、最大出力などの値が変わってくるのが一般的だ。本製品はこうした場合も、使用状況ごとに分けてチェックすることで、それぞれの状況ごとの仕様を表示できる。
続いてモバイルバッテリ。充電器と基本はほぼ同じだが、充電器と異なるのは、出力(Source)だけでなく入力(Sink)、つまりモバイルバッテリ自体の充電に用いられるPDOも表示できることだ。同一ポートで出力/入力を兼用している場合も問題ない。
なお本製品起動時のモード切替が「AUTO」のままだと、入力(Sink)の値が読み取られない場合があるので、その場合は手動でポートチェックモードを選択した上でチェックを行なうとよい。冒頭に述べた機能制限がこれだ。
「ポートチェックモード」は何ができる?(スマホ/PC編)
最後に紹介するのは、スマホやPCといったデバイスのUSB Type-Cポートの仕様をチェックできる機能だ。充電/給電はもちろんデータ転送の速度、さらには外部ディスプレイ出力への対応の可否など、さまざまな仕様を知ることができる。
接続すると充電器などと同様、ポートの基本情報が表示されたのち、出力時のPDO、入力時のPDOがそれぞれ表示される。さらにこれに加えて、ポートがどのような機能を備えているか、取得可能なあらゆる情報が表示される。転送速度や、DisplayPort Alt Mode対応の可否などもここに表示される。
またPCについても、これらスマホと同じく情報を表示できる。PCの場合、USB Type-Cポートの詳細な仕様をメーカーが公開していない場合も多いので、チェックすることで初めて判明する仕様も多い。
なおこれらの詳細情報は、Discover Identityコマンドによりデバイスから得られたもので、一般ユーザーが通常目にしない項目も多い。同社が用意しているオンラインマニュアルでは各項目の詳細が紹介されているので、意味が分からない場合はそちらを参照されたい。
長期にわたって役立つ製品。ただし成り立ちの理解は必須
以上のように、目についた機能をざっと紹介しただけでこのボリュームであることからも、本製品の多機能ぶりがよく分かる。型番からして従来モデルのマイナーチェンジのように思えるが、用途は大幅に広がっており、ケーブルチェッカーという名前の枠を超えた製品に仕上がっている。
一方で、たとえば速度については「USB4 Gen4」「USB3.2 Gen2」などと規格名で表示されるので、自力で読み替える必要があるなど、利用にあたっては多少なりとも知識が求められる。またアクティブ方式のThunderboltケーブルのように、正しく読み取れない製品も一部あるなど、計測機器レベルの精度を求める製品ではない。
このあたり、メーカーも「ホビー向け商品です」としており、このような仕様であることについて、その成り立ちからして理解して納得できる人向けの製品と言っていいだろう。この点はくれぐれも注意したいところだ。
実売価格は公式販売サイトで9,328円。決して安くはないが、1つ持っておけば長期にわたって役に立つことは間違いない。またケーブルのチェックしかできなかった従来モデルと違って多用途に使えるのもプラス要因だ。従来モデルは早期に売り切れ、欠品が長期間続いたという事実を考慮すると、本稿を読んでピンと来た人は、今回のモデルも早めに調達することをおすすめする。





























































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