やじうまミニレビュー

煩わしい位置調整不要。自動追従で画質も高いWebカメラ「EMEET PIXY」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
EMEET PIXY

 Web会議で欠かせないアイテムの1つがWebカメラだ。ノートPCなら内蔵されていることが多いのだが、筆者のようにミニPCで仕事している人は、外付けのWebカメラが欠かせない。今回はそのWebカメラの中でも自動追従する機能を備えたEMEETの「PIXY」について紹介したい。

EMEET PIXYの主な仕様
センサーソニー製 1/2.55インチ イメージングセンサー
解像度最大 3,840×2,160/30fps、1,920×1,080/60fps
視野角73°
フォーカスAIオートフォーカス (BlinkFocus)
ズーム1.5倍デジタルズーム(※1080P/60fps、4Kでは利用不可)
マイク3マイクアレイ(AIノイズキャンセリング搭載)
調節範囲パン: 310度、チルト: 180度
接続USB Type-C
本体サイズ約56×43×22mm±1mm
重量120g±5g
その他1/4インチ三脚ネジ穴、ジェスチャー操作対応

椅子の上で動いても、プレゼンで移動しても。AIが的確に捉え続ける追従機能

 本製品の最大の特徴は、AIによる自動追従機能だろう。カメラに内蔵されたAIチップと補助AIカメラが顔の位置をリアルタイムで検知し、パン(左右310度)とチルト(上下±180度)を自動で行ない、常にユーザーをフレームの中心に捉え続けてくれる。

 筆者はオフィスチェアに座っていると無意識に位置がずれたり、気分に合わせてモニターの高さを頻繁に調整したりする癖がある。そのたびにモニターの上に置いたカメラの角度を手で直すのは地味にストレスだったが、「PIXY」を利用すればその手間から解放される。

 また、オンラインでのプレゼンテーションのように、画面の前で左右に移動しながら話すような場面でもこの機能は極めて有効だ。カメラの画角を気にすることなく、プレゼンに集中できる。

ちなみに開封するとこんな感じで擬人化したキャラクターがお出迎え
付属品など
本体側面。台座が左右に310度パン、ネックが上下に180度動く
インターフェイスはUSB Type-C
底面に1/4インチネジ穴が用意されている

 ちなみにカメラ自体が固定でも、画角が広いレンズを生かして追従する製品もあるが、人が端に行くとパースがきつくなり顔が伸びてしまう。本製品ではそのような現象は発生しないわけだ。「ジェスチャーコントロール」機能も用意されており、手のひらを2秒間ほど画面に向かってかざすと追従のオン/オフが切り替えできるのも便利だ。

 ただし、この自動追従は標準ではオンになっておらず、EMEETソフトウェア「EMEET STUDIO」からモードを「追跡モード」にして利用する仕組みとなっている。ソフトウェアが入っていない状態や、いったんUSBケーブルを抜くといった切断が行なわれると追従しなくなるので注意されたい(OSの再起動などは問題なかった)。

 追従動作は非常に静音かつスムーズで、モーター音などが気になることは一切ない。左右の追従速度もかなり速く、急な動きにもしっかりとついてきてくれる。向きはEMEET STUDIO上で手動で設定することもでき、UI上のコントロールスティックを離した際に若干“戻り”が発生したのは気になったが、実用上大きな影響はないだろう。

EMEET PIXYの自動追従モード

 顔が真横を向いてしまうなど、カメラから顔の認識が外れると追従が停止することがあった。特に上下方向の移動の追従はやや弱いようだ。レンズ下部にあるLEDインジケータが状態を示しており、非追従時は緑、顔を認識している際は青、認識が外れそうになるとオレンジに点灯する。このインジケータの様子を参考にしながら動き回ると良さそうだ。

 ちょっと面白いな、と思ったのはカメラオフ時の挙動。EMEET STUDIOには「自動でプライバシーモードに入る」という設定があり、これに設定すれば未使用時(指定した時間)にカメラが自動的に下を向いて、LEDインジケータも消灯する(この設定は保持され、別のPCに接続しても反映される)。

動作モードは標準、追跡、プライバシーの3つ。手動で切り替える。標準モード時は手動で移動できる
さまざまな画質が設定可能
こちらはフォーカスモードや自動的にプライバシーモードに入る時間などを設定可能

4K対応の高画質。マイク性能も十分

 可動機構を活用した機能として、机の上を映し出す「デスクトップモード」がある。モニターの上などに設置すれば、いわば「画書カメラ」の代わりとなり、手元のものなどを見せる際に有効なのだが、可動域の限界と斜めからの撮影になる関係で、パースが気になる。また、デスクトップモードから終了した際もカメラ位置は自動で戻らないのがネックだった。

画書カメラ代わりになるデスクトップモード。パースがきつく、終了時も自動的に位置復帰しないため使い勝手がちょっと悪い気がする

 もう1つ、追跡しない場合、4つの位置を記憶して、瞬時にその位置に移動する機能がある。これはどちらかと言えば配信向けの機能だろうが、たとえば4人いて、1つのカメラでその話者にフォーカスをするといった使い方が考えられるだろう。

 画質面では、ソニー製の1/2.55インチセンサーを搭載し、最大で4K(3,840×2,160ドット)/30fps、または1080p/60fpsでの撮影に対応する。デュアルカメラ構成による高速オートフォーカスも特徴で、ピント合わせは公称で0.2秒と高速だ。

 実際の映像は非常にクリアで高精細だ。ただ、筆者が以前レビューした同社の「Piko+」と比較すると、若干ではあるが青みがかった印象を受けた。この点については、顔色がよく見えるPiko+の方が好ましいと感じる部分だ。とはいえ、これは好みの範疇であり、専用ソフト「EMEET STUDIO」で補正/調整は可能だった。

PIXYの撮影例。Pico+と比較して若干青みがかっている

 音声面では、AIノイズキャンセリング機能を備えた3マイクアレイを内蔵。こちらもノイズキャンセリングの効き具合をソフトウェア上で調節可能だ。

本体上部の3基のマイク

まとめ

 「EMEET PIXY」は、高画質な4K映像に加え、非常に実用的なAI自動追従機能を搭載したWebカメラだ。特に、会議中に身振り手振りが大きくなるユーザーや、立ってプレゼンテーションを行なう機会が多いユーザーは恩恵にあずかることができる。また、画質もそこそこ良いため、配信を始めてみたいというストリーマーの初心者にも良いパートナーになるだろう。

 一方、筆者が挙げた動作モードの記憶機能や色味、デスクトップモード回りの課題については、今後ファームウェアやソフトウェアの更新を通して改善が図る余地はある。実際、以前紹介したPiko+についてはファームウェア更新があったし、EMEET STUDIOに関しても高頻度で更新されているので、期待してよいだろう。