やじうまミニレビュー
スペックよし静音性よし。自作もちゃ~んと考慮されたSUPER FLOWERの電源「LEADEX VII PLATINUM PRO」
2024年12月27日 06:23
電源の老舗の1つとして知られているのがSUPER FLOWER。そして同社の中でハイエンドを担うのが「LEADEX VII PLATINUM PRO」シリーズだ。ラインナップとしてはハイエンドだが、80PLUS Platinumに準拠した大容量電源としてはリーズナブル。たとえば今回ご紹介する1,200Wモデルは、実売3万5,000円前後となっている。今回はサンプル提供があったので見ていこうと思う。
12VHPWRコネクタを使うGeForce RTX 40シリーズの登場で、自作PCを新調するなら電源も一緒に……と思うユーザーは少なくないはず。古い電源を使い回すならPCI Express 8ピンからの変換を使えばいいのだが、ハイエンドでは3~4本も使うものが多いため、取り回しがしにくく、見た目的にも美しくない。なので12VHPWRに対応したATX 3.0/3.1対応モデルを買うのがベターだ。
当初12VHPWRコネクタは「溶ける」といった問題があったが、最近はビデオカード側が12V-2x6に置き換わり、センスピンが短くなって検接続出を厳しくし、逆に伝導端子が長くなったことで信頼性が増した。本製品を試す中で「本当にあった怖い話」だが、実は筆者が本製品とGeForce RTX 4070 SUPERを使ってPCを組んだ際に、当初コネクタの挿し込みを甘くしてしまった。この際“ちゃんと”GPUが動作しなかったので、仕組みは動作したようだ。
ただ、これは受け側の話であり、電源側は大きな変更はないため、話を本製品に戻そう。外観はごく普通のATX電源だが、奥行きは150mmで1,200Wモデルとしては短め。今回はホワイトモデルを試用したが、ケーブルやコネクタも含めてホワイトに統一されているなど、同社のデザインへのこだわりが垣間見えた(ネジは黒だが)。
それ以外は取り立てて特徴がない……と思われる本製品だが、筆者が自作ユーザーの視点で「ここが良かった」と思う点を挙げよう。
1つ目はプラグイン式電源であることが本製品の最大の特徴だが、メイン用24ピンを除いてすべてのコネクタが共通化された「スーパーコネクタ」が採用されている点。一般的なプラグイン式電源では、電源側も用途別にコネクタが分かれていることが多いのだが、するとケース内のクリアランスの問題や、後からデバイスを追加する際などに「なんでコネクタがそっちにあるッ!?」というケースがしばしば発生する。本製品は共通化されているため、干渉回避やデバイスの追加も容易だ。
なお、12V-2x6、PCIeやCPUの12V補助用4+4ピンケーブルは、コネクタ1つに対して1本という構成。ケーブルがやや増えるのがネックだが、これは安定性や組んだ際の見栄えを考慮してのことだろう。
2つ目は、マザーボードを右側面に設置する“通常レイアウト”のケースなら、ファンを上にしても下にしても、ちゃんとロゴが上向きになるというところ。細かい点だがよく考えられているとは思う。
3つ目は、ファンガードの網目が比較的細かく、マザーボードや拡張カード類で使われるインチネジ/ミリネジが侵入しにくいデザインであること。以前、筆者は電源を底面に設置し、ファンを上にしたレイアウトで、ケースを立てたままビデオカードを取り外そうとしたらネジが電源内部に入ってしまい、泣く泣く保証シールを破いて分解してネジを取り出した苦い思い出がある(逆さまにして振っても叩いても出てこなかった)。本製品のファンガードはちゃんとガードの仕事をするのが偉い。さすがにM.2のネジは無理そうだが。
ちなみに公式では100%日本製コンデンサの採用が謳われているので分解してみたが、確認できる限りケミコン製のものが使われていた。また、Xeon w9-3495XとGeForce RTX 4090を組み合わせたハイエンド構成で、CPU/GPU両方に負荷をかけた時で十分な安定性が確認できた。
なお、ファンとしてはFDB(流体動圧軸受)ファンを採用しており、低負荷時にファンを停止させるECOモードをオンにしなくても、耳を1cm程度まで近づけてようやく風切り音がする程度に静か。このスペックが3万円半ばだから、むしろお買い得ではないかと思う。保証も10年と長いので、次の規格が出るまで長く付き合えそうだ。
【12時訂正】記事初出時、コンデンサをニチコンとしておりましたが、正しくはケミコンです。お詫びして訂正します。