やじうまミニレビュー

スペックよし静音性よし。自作もちゃ~んと考慮されたSUPER FLOWERの電源「LEADEX VII PLATINUM PRO」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
LEADEX VII PLATINUM PRO 1200W

 電源の老舗の1つとして知られているのがSUPER FLOWER。そして同社の中でハイエンドを担うのが「LEADEX VII PLATINUM PRO」シリーズだ。ラインナップとしてはハイエンドだが、80PLUS Platinumに準拠した大容量電源としてはリーズナブル。たとえば今回ご紹介する1,200Wモデルは、実売3万5,000円前後となっている。今回はサンプル提供があったので見ていこうと思う。

 12VHPWRコネクタを使うGeForce RTX 40シリーズの登場で、自作PCを新調するなら電源も一緒に……と思うユーザーは少なくないはず。古い電源を使い回すならPCI Express 8ピンからの変換を使えばいいのだが、ハイエンドでは3~4本も使うものが多いため、取り回しがしにくく、見た目的にも美しくない。なので12VHPWRに対応したATX 3.0/3.1対応モデルを買うのがベターだ。

 当初12VHPWRコネクタは「溶ける」といった問題があったが、最近はビデオカード側が12V-2x6に置き換わり、センスピンが短くなって検接続出を厳しくし、逆に伝導端子が長くなったことで信頼性が増した。本製品を試す中で「本当にあった怖い話」だが、実は筆者が本製品とGeForce RTX 4070 SUPERを使ってPCを組んだ際に、当初コネクタの挿し込みを甘くしてしまった。この際“ちゃんと”GPUが動作しなかったので、仕組みは動作したようだ。

 ただ、これは受け側の話であり、電源側は大きな変更はないため、話を本製品に戻そう。外観はごく普通のATX電源だが、奥行きは150mmで1,200Wモデルとしては短め。今回はホワイトモデルを試用したが、ケーブルやコネクタも含めてホワイトに統一されているなど、同社のデザインへのこだわりが垣間見えた(ネジは黒だが)。

 それ以外は取り立てて特徴がない……と思われる本製品だが、筆者が自作ユーザーの視点で「ここが良かった」と思う点を挙げよう。

 1つ目はプラグイン式電源であることが本製品の最大の特徴だが、メイン用24ピンを除いてすべてのコネクタが共通化された「スーパーコネクタ」が採用されている点。一般的なプラグイン式電源では、電源側も用途別にコネクタが分かれていることが多いのだが、するとケース内のクリアランスの問題や、後からデバイスを追加する際などに「なんでコネクタがそっちにあるッ!?」というケースがしばしば発生する。本製品は共通化されているため、干渉回避やデバイスの追加も容易だ。

 なお、12V-2x6、PCIeやCPUの12V補助用4+4ピンケーブルは、コネクタ1つに対して1本という構成。ケーブルがやや増えるのがネックだが、これは安定性や組んだ際の見栄えを考慮してのことだろう。

付属のケーブル類。ATX 24ピンが1本、12V補助用8ピンが2本、12V-2x6が1本、PCI Express用6+2ピンが2本、SATA用(コネクタ4個付き)が3本、ペリフェラル用4ピン(コネクタ4個付き)が1本、といった具合
コネクタはATX 24ピンを除いてすべて9ピンの「スーパーコネクタ」
ATX 24ピン以外のケーブルは、どこに挿してもOKだ
分解すると、コネクタは特許が取得されたことがアピールされているのが分かる

 2つ目は、マザーボードを右側面に設置する“通常レイアウト”のケースなら、ファンを上にしても下にしても、ちゃんとロゴが上向きになるというところ。細かい点だがよく考えられているとは思う。

左側面が見える普通のケースなら、どっちを上にしてもロゴが上に来る。まあ、最近は独立チャンバーで見えなくなっていることも多いのだが

 3つ目は、ファンガードの網目が比較的細かく、マザーボードや拡張カード類で使われるインチネジ/ミリネジが侵入しにくいデザインであること。以前、筆者は電源を底面に設置し、ファンを上にしたレイアウトで、ケースを立てたままビデオカードを取り外そうとしたらネジが電源内部に入ってしまい、泣く泣く保証シールを破いて分解してネジを取り出した苦い思い出がある(逆さまにして振っても叩いても出てこなかった)。本製品のファンガードはちゃんとガードの仕事をするのが偉い。さすがにM.2のネジは無理そうだが。

変わったデザインのファンガードなのだが、インチネジやミリネジ程度ならしっかりガードとして仕事してくれる。ちなみに筆者は過去に3回ほどネジを電源内部に落としたことがある

 ちなみに公式では100%日本製コンデンサの採用が謳われているので分解してみたが、確認できる限りケミコン製のものが使われていた。また、Xeon w9-3495XとGeForce RTX 4090を組み合わせたハイエンド構成で、CPU/GPU両方に負荷をかけた時で十分な安定性が確認できた。

 なお、ファンとしてはFDB(流体動圧軸受)ファンを採用しており、低負荷時にファンを停止させるECOモードをオンにしなくても、耳を1cm程度まで近づけてようやく風切り音がする程度に静か。このスペックが3万円半ばだから、むしろお買い得ではないかと思う。保証も10年と長いので、次の規格が出るまで長く付き合えそうだ。

今回試用した1,200Wモデル。+12Vは99.9A出せるのがすごい
背面もファンガードと同じデザイン。ECOモードのスイッチがあるが、この静音性なら回しっぱなしでOKだと思う
中身を拝見。1,200Wモデルとしてはコンパクトにまとまっているように思う
ファンは「ZFF142512D」と書かれている。調べてみたが資料は出てこなかった。ただ、静音性はなかなか
一部基板が垂直配置となっているこれによってコンパクト化しているのだろう
一次側にはでっかいケミコン製コンデンサが採用されていた
二次側もケミコン製で統一されているようである
Supermicro X13SWA-TFのセンサーによる簡易的な計測結果(HWiNFO64)だが、12Vラインは無負荷時で+12.095V、CPUのみの負荷時で12.010V、CPU/GPU両方の負荷時の谷が11.925Vだったので、変動は0.17V。12V基準で言えば約1.42%程度だ。負荷継続時の電圧変動はほぼなかった

【12時訂正】記事初出時、コンデンサをニチコンとしておりましたが、正しくはケミコンです。お詫びして訂正します。