やじうまミニレビュー

約2万円のアイリスオーヤマ製8型タブレットを試す

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
LUCA TE084M4V1-B

 アイリスオーヤマ株式会社の「タブレット エントリーモデル 8インチ TE084M4V1-B」(以下、TE084)は、同社が3月より順次販売開始した新型Androidタブレット5製品のうち、エントリークラスで最も小型な8型液晶採用モデル。SoCは1、2万円台の価格帯のタブレットで採用例が多いUnisoc T606、メモリ容量は4GBとスペック面は控えめだが、実売価格2万1,000円前後で購入可能な手頃さを特徴としている。

 同社からレビュー用のサンプル機材を貸与されたので、ざっくりとした性能・機能面の特徴、使用感をレビューしていこう。

製品パッケージ
クイックスタートガイドのほか、充電用ケーブル、microSDカードスロット引き出し用のスロットピンが付属する

選択肢が多すぎる低価格タブレットたちの中で無難に使える1台

 最近ではさまざまなメーカーが廉価なAndroidタブレットの販売に手をつけており、Amazonのような通販サイトで価格を絞って検索をかけても膨大な数の製品がヒットするなど、さながら戦国時代の様相を呈している。そんな中、TE084は総合的に見て、劇的に価格が安いわけでもなく、価格の割に性能がやたらと高いわけでもない。よく言えば保守的、悪く言えば目立った特徴があまりない、そんな印象を受ける製品だ。

 一方で、この価格帯のデバイスに多くの人が求めるであろう性能・機能はある程度取捨選択されているため、「とりあえず使えるタブレットが欲しい」、あるいは「選択肢が多すぎる中で無難な製品を選びたい」というユーザーにとってはありがたい端末とも言えるかもしれない。

USB Type-Cポート、microSDカードスロット、3.5mmオーディオジャックは本体上部に配置
右側面には電源ボタンとボリュームボタン
底面2箇所にスピーカー部が開口されている

 すでに述べた通り、本製品のディスプレイサイズは8型で、本体サイズは約210×9.7×125mmだ。片手で掴んで操作しやすい大きさで、重量も公称383gと軽めなので取り回しはいい。プラスチック製の筐体ということもあり、高級感などは望めないが、その分ラフに扱えると思えば特に気にはならないだろう。

 インターフェイス類は本体上部にまとめられており、USB Type-Cポート、microSDカードスロット、3.5mmオーディオジャックを用意。なお、microSDカードスロットはClass 10、容量512GBまでのカードに対応しており、カードスロットを引き出すためのピンが付属している。

 SIMは利用不可能で、ネットワークはWi-Fi 5およびBluetooth 5.0に対応。また、カメラは200万画素の前面カメラ、500万画素の背面カメラをそれぞれ搭載する。特筆すべきところはないが、必要なものは一通り揃っていると言っていいだろう。

背面にはシリーズ名の「LUCA」および「IRISOHYAMA」のロゴが
背面カメラは500万画素
背面カメラで撮影。画素数が低く写真は隅のボヤけが目立つ

GPS搭載でカーナビ利用もOK。動画視聴には注意点も

 ディスプレイ解像度はエントリークラスのタブレットとしては一般的なWXGA(1,280×800ドット)。最近の一般的なスマートフォンの高解像度液晶を見慣れているとさすがに粗くは見えるが、インターネットの閲覧、画像や映像コンテンツ以外のアプリ利用においてはそこまで意識せず使っていけるように思う。

 ただし動画コンテンツの視聴に関しては画面解像度以外にも注意すべき点があり、本製品は著作権保護技術のWidevine DRMが最低レベルの「L3」までにしか対応していない。このため、NetflixやAmazon Primeビデオといった映像配信サービスでの最大視聴解像度はSD画質(480p)となる。

 単にコンテンツが見られればいいという人なら大丈夫だが、映像の細かいディテールまで味わえるようなクオリティを求めるなら、より高解像度のディスプレイを備え、Widevine L1に対応するほかのタブレット製品のほうが向いているだろう。

ホーム画面
メニューはオーソドックスなもので、特にカスタムされた要素は見当たらなかった
バッテリ容量は5,000mAhと、特に制限をかけずとも十分長持ちする

 一方、本体にGPS/地磁気/ジャイロ/加速度/近接/照度といった計6種類のセンサーを内蔵することはTE084の明確なメリットの1つだ。タブレットを車載のカーナビ代わりとして使いたいという需要はそれなりに大きいと思うが、低価格で導入できるということもあり、本製品はそうした用途に適していると言える。

 バッテリ容量も5,000mAhと十分確保されており、検証中は不自然なバッテリの減りなども確認できなかった。使用頻度にもよるが、だいたい2、3日は充電なしでも使えそうだ。

Geekbench 6のCPUベンチマーク。Single-Coreが379、Multi-Coreが1,399
GPUスコア(OpenCL)は447
GPUスコア(Vulcan)は441

調べ物や書籍閲覧など日常用途には十分。子ども用にもよさそう

 パフォーマンス面についても言及しておこう。先に述べた通り、SoCは8コアのUnisoc T606を搭載する。2、3年ほど前から多くの廉価モデルに使われているエントリークラスのSoCであり、性能は高くないが、とは言え近年のスマホ・タブレット向けSoCはエントリー向けでもそこそこ頑張ってくれるものが多い。Unisoc T606に関しても、本製品に求められるようなインターネットや電子書籍の閲覧といった用途では大きなストレスを感じない程度の働きはしてくれる印象だ。

 ちょっとした操作やコンテンツの表示時に多少のひっかかりを感じることはあるものの、価格を考えれば許容範囲だろう。また、メモリは4GBでストレージ容量は64GBとどちらも控えめで、基本的にマルチタスクには向かないと言っていい。OSはシンプルなAndroid 13で、独自のアプリやカスタマイズなどは確認できなかった。

「PUBG Mobile」のような軽量タイトルなら30fps以上で動作するが、よりリッチな「原神」などの3Dタイトルは低設定でもカクつきが目立った。当然といえば当然だが、基本的にゲームは厳しいと思ったほうがいい

 一応ゲームアプリなども動作させてみたが、Unisoc T606自体がゲーム向きのSoCではないこともあり、快適とは言えない。フレームレート計測アプリが正常に動作しなかったため体感での確認になるが、たとえば人気の3Dタイトル「原神」は、低設定でも平均30fpsを大きく下回ると思われるほどにカクつきが目立つなど、なめらかな画面描画は見込めなかった(まったく動かないわけではないが……)。

 かなり軽量な部類に入るシューター系タイトル「PUBG Mobile」や麻雀ゲーム「雀魂」はデフォルト設定でストレスなくプレイ可能だったものの、近年のスマホゲームはリッチな3Dグラフィックスを押し出したタイトルが増えており、そういった作品をプレイするために本製品を購入するのはオススメできない。

 総じて、インターネットでの調べものや電子書籍の閲覧、YouTubeの動画をカジュアルにチェックするといった今どきの普段使いなら、TE084のスペックでもそうそう困ることはないだろう。エンタメも楽しむメイン端末としてはやや力不足感があるが、子ども用のタブレットとして買い与えたり、家族共用のデバイスとして、外出時にはカーナビとしても活用するような用途はよく馴染みそうだ。