やじうまミニレビュー

外見だけで仕様を判別できないケーブルは、テプラを貼り付けて管理!「テプラPRO」ブランドの専用ラベル2種類を試す

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
「テプラPRO」で作ったラベルを貼っておけばケーブルの識別も容易になる

 PCに使われるケーブルは、外見だけではスペックが判断できないこともしばしば。LANケーブルやUSB Type-Cケーブルのように、同じコネクタ形状でさまざまな仕様違いがあると、スペックの取り違えによって速度が出なかったり、特定の機能が利用できないといったトラブルが起こりやすい。

 こうしたトラブルを防ぐには、ケーブルの仕様を記したラベルを、ケーブル本体に貼り付けておくのが手っ取り早い。やや手間はかかるが、これならば複数のメーカーの製品が混在していてもマイルールで統一できるし、見た目が揃うので複数のケーブルを併用していても比較的スッキリする。

 こうした用途に使えるラベル製品を複数ラインナップしているのが、キングジムのラベルライター「テプラPRO」ブランドだ。専用機ではなく一般的なテプラを使えることから、初期コストもぐんと下がる。今回は一般家庭でも導入可能な2つのラベル製品を実際に試してみた。

裏面がシールになったセルフラミネートタイプ「ケーブル表示ラベル」

 まず最初に紹介するのは、その名もズバリ「ケーブル表示ラベル」だ。幅24mmと36mmの2種類があるが、今回は24mmの「SV24KN」を購入した。実売価格は1,560円だ。

 裏面がシールになっているのは、一般的なテプラのラベルと同様だが、一般的なラベルは全面が白になっているのに対し、本製品はラベルの上3分の1(幅8mm)が白い印字面、その下およそ3分の2(幅16mm)が透明なフィルムになっている。

 この印字面にケーブルのスペックを印刷し、ケーブルをぐるりと巻くように貼り付けると、透明の部分が印字された部分を覆う格好になる。これにより、擦れによる印字の欠けを防止できるというわけだ。メーカーの「セルフラミネートタイプ」という表現は言い得て妙である。

「SV24KN」。これは24mm幅で、ほかに36mm幅もあるが、テプラ本体の対応機種が限られるので注意
ラベルの上3分の1(幅8mm)が白い印字面、その下およそ3分の2(幅16mm)が透明なフィルムになっている
スマホでラベルを作成し、Bluetooth経由で印刷を実行する
出力中。テプラ本体の詳細は後述
無事印刷できた。カットは自動的に行なわれる
実際に貼り付けてみよう。まず上3分の1のはくり紙を剥がす
ケーブルに貼り付ける
ぐるりと一周させたところで残り3分の2のはくり紙も剥がす
透明なフィルム面が上から重なるように巻く
完成。手書きと比べて見た目も整っている
「ケーブル表示ラベル」を実際に貼り付けているところ。透明フィルム部分を重ね貼りすることでラミネートと同じ効果が得られる

 ラベルはビニールに近い素材で伸縮性があるので、ケーブルの曲げにもある程度は対応できる。ただし過剰に曲げるとシワが残るので、ほどほどにしておきたい。

 見た感じ、一般的なラベルもこれと同じことができそうに見えるが、ラベルの幅が足りないため、ケーブルの径をぐるりと一周できないことに加え、曲げるたびに端から剥がれてくるので、そこにホコリが付着するなど、見た目も汚くなりがちだ。その点本製品は、やはり専用品だけのことはある。

ビニール状の素材なのでそのまま曲げることもできる
ただし曲げすぎるとシワが残るので注意
同じことを一般的なテプラのラベルで行なおうとするとケーブルを一周させられずすぐに剥がれてしまう

 今回は長期間の耐久性まではチェックしておらず、何年にもわたって使った場合の劣化については不明だが、現在市販されているのは従来よりも伸縮性と隠蔽性を向上させたリニューアルモデルとのことで、3年以上前のAmazonの口コミに見られる曲げへの弱さなどは、ある程度対策されているものと考えられる。

 粘着力は非常に強く、いったん貼ると剥がすのが困難なのは、利点でもあり欠点でもあるが、ケーブルの上から巻くという仕組み上、ケーブルの太さを問わず対応できるオールマイティさはなによりの強みだ。

熱風を吹きかけてフィットさせる「熱収縮チューブ」

 もうひとつ紹介するのは、同じくテプラPROブランドの「熱収縮チューブ」だ。径が5mmまでと11mmまでの2種類がラインナップされているが、今回は11mmまでの「SU11S」を購入した。実売価格は1,450円だ。

 これはあらかじめ筒状になったラベルに印字を行ない、ケーブルに通した後、ドライヤーで熱を加えて縮めることで、ケーブルにぴったり密着させるという製品だ。チューブマーカーなどと呼ばれる専用機でしかできない加工を、一般的なテプラでできてしまうのが特徴だ。実際の加工の様子は動画でチェックしてほしい。

「SU11S」。径5.5~11mmのケーブルに対応する。ラベルとしての幅は24mm
カートリッジ本体。先端がチューブ状になっているのが分かる。素材はポリオレフィン
ラベルの作成および印刷の流れは通常のテプラと変わらない
実際に出力したところ。筒状になっているのが分かる
まずはケーブルにチューブを通す
続いて工業用ドライヤーで熱を加える。かなりの熱風なので火傷に注意
熱を加えることでチューブが縮んでケーブルにフィットする仕組み
工業用ドライヤーで「熱収縮チューブ」に熱風を吹きかけ、縮めているところ。文字も併せて縮み、横に引き伸ばされたようになるので、あらかじめ長体で印刷しておきたいところだが、アプリ側にそうした機能はない

 この製品のメリットは、もともとがチューブになっていることから、剥がれる恐れがないこと。継ぎ目がないため見た目にも美しく、シワが発生しにくいのも利点だ。とにかく仕上がりの美しさを優先したい場合には、最良の選択肢だ。

 気を付けたいのは、加工に用いるドライヤーは家庭用ではなく、工業用ドライヤーでなくてはならないこと。工業用ドライヤーは、家庭用のヘアドライヤーよりも高い温度に設定できるのが特徴で、本製品の収縮温度範囲(90~270℃)をカバーできる。家庭用ドライヤーは最大でも140℃程度なので、熱が足りないというわけだ。

 今回試しに家庭用ヘアドライヤーも使ってみたが、やはり熱の関係か、縮み方がいびつになってしまった。従ってメーカーの推奨通りに工業用ドライヤーを用いるのがベターだが、本製品のためだけに実売数千円~1万円程度かかる工業用ドライヤーを購入するのは、さすがにためらう人も少なくないだろう。

加工にあたっては工業用ドライヤーが必要になる。今回はHAKKOの「FV300-81」(実売価格5千円前後)を使用した

 もうひとつ、チューブ状であることから、LANケーブルのRJ45コネクタを付けたままでは通せないという、かなり致命的な問題がある。そのため用途は事実上、自分でコネクタを取り付ける自作LANケーブルなどに限られてしまう。

 これがLANケーブルでなく、コネクタ径の小さいUSB Type-Cなどであれば通すことは可能なのだが、こちらはケーブルが細すぎて、チューブが縮みきらずにぶかぶかになってしまう(USBケーブルの径は3.5mm前後、本製品の対応直径は5.5~11mm)。このあたり、対応機種が非常にシビアで使いづらいのはマイナスだ。ある程度の知識と経験があって初めて使いこなせる製品と言えるだろう。

24mm幅のチューブはRJ45コネクタを通すことができないので、ケーブルをかしめるよりも前に通しておく必要がある。つまり自作ケーブルであることが前提になる
USBケーブルで使おうとするとチューブが縮みきらずブカブカになってしまう

外見だけで仕様を判別できないケーブルの解決に

 最後になったが、テプラ本体についても紹介しておこう。今回使用したのは「テプラ PRO」(SR-MK1)という、スマホからの操作に対応したモデルだ。文字の種類やフォントなどの制限が極めて少なく、かつ360dpiと高品質なのが特徴だ。ラベルの対応幅は24mmまでとなっている。

今回使用したのは「テプラ PRO」(SR-MK1)。市場価格は1万円台前半
24mm幅までのラベルに対応。使っている途中でもカートリッジの取り替えは可能だ
ACアダプタのほか単三電池でも駆動する
ラベルの作成や印刷操作などはすべてスマホから行なう。接続はBluetooth

 気を付けなくてはいけないのが、対応するスマホアプリで、「Hello」「TEPRA LINK 2」という、2種類のアプリが存在している。このうち「Hello」は家庭用のテンプレートの豊富さが売りのアプリで、今回の用途にはまったく向いていない。

 もうひとつの「TEPRA LINK 2」も、UIが直感的でなく、文字の修正ひとつするだけでイライラさせられるのだが、今回のケーブルラベルのような実用的なラベルを作るのであれば、前述の「Hello」よりははるかにマシだ。ラベルのフォーマットを一度作ってしまえば、それを改変しながら出力すればよいからだ。

 と、ラベル本体からアプリまでツッコミどころは数多くあるのだが、外見だけで仕様を判別できないケーブルが増えている昨今、ニーズが存在するのは間違いない。そろそろ本腰を入れてケーブルの整理をしなくては……と考えている方は、本稿を参考にしていただければ幸いだ。

上が「ケーブル表示ラベル」×USBケーブル、下が「熱収縮チューブ」×LANケーブル。透過具合にも差があることが分かる