やじうまミニレビュー

InnoGrit製PCIe 4.0対応コントローラ搭載SSD「Lexar NM800」を試す

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Lexar Professional NM800 M.2 2280 NVMe SSD

 Lexarは9月にPCI Express 4.0に対応したM.2 NVMe SSD「Lexar Professional NM800 M.2 2280 NVMe SSD」(以下:NM800)を発表した。容量は1TBと512GBの2種類となっているが、日本での発売日および価格はまだ未定だ。今回、容量1TBをお借りしたので、簡単にご紹介したい。

 同社は7月に「NM620」というPCI Express 3.0対応SSDを投入したばかり。一般やゲーミング用途としては十分な性能であったのは確かなのだが、Lexarは本来写真や動画を扱うプロフェッショナルに愛されたブランドであり、そういった意味では、PCI Express 4.0が登場しているご時世に、3.0対応というのは物足りない印象は否めなかった。

 NM800では満を持してとも言うべきか、PCI Express 4.0への対応を果たした。公称の転送速度はリードが7,400MB/s、ライトが5,800MB/sと、他社のハイエンドモデルと比べるとライト速度でやや遅れを取るが、リード速度に関しては申し分ないスペックに達している。

製品パッケージで7,400MB/sが大きく謳われている
中はブリスターパックという一般的なパッケージ
製品正面
裏面に実装部品はない

 コントローラについて公表していないが、HWiNFO64で確認する限り、2016年に創業したInnoGrit製“RainierPC”コントローラ「IG5236」が採用されている。ちなみにNM620もInnoGrit製の「IG5216」を採用していたので、今後の新製品についてはこの路線で行くということだろう。

 IG5236の特徴としては、キャッシュメモリとして最大8GBまでのDDR3L/DDR4、もしくはLPDDR3/4を搭載可能なほか、12nm FinFETプロセスで製造されている点が挙げられる。シーケンシャルリードは7.4GB/s、同ライトは6.4GB/s、ランダムリードは100万IOPS、同ライトは80万IOPSが謳われているので、本製品はほぼ公称値通りの性能ということになる。

 実際にRyzen Threadripper PRO 3975WX、メモリ64GB、Supermicro M12SWA-TFマザーボード、GeForce RTX 3090ビデオカード、OSにWindows 11 Proを揃えたテスト環境下において、マザーボードのM.2スロットに装着して、「CrystalDiskMark 8.0.4」や、「ATTO Diskbenchmark 4.01.0f1」でテストしたところ、ほぼLexarの公称値通りの数字が確認できた。

CrystalDiskMark、ブロックサイズ1GiBのNM800の結果
CrystalDiskMark、ブロックサイズ1GiBのSamsung SSD 980 PROの結果
CrystalDiskMark、ブロックサイズ64GiBのNM800の結果
CrystalDiskMark、ブロックサイズ64GiBのSamsung SSD 980 PROの結果
ATTO DiskbenchmarkのNM800の結果
ATTO DiskbenchmarkのSamsung SSD 980 PROの結果

 シーケンシャルリードが7,400MB/sに迫る性能であることは特筆すべきで、これはSamsungのハイエンド定番である「Samsung SSD 980 PRO」を凌駕する数字である。また、ブロックサイズをCrystalDiskMarkの最大値である64GiBに設定した場合でも、980 PROのように2GB/s前後にライト速度が低下するといったようなことも見られず、かなり余裕を持ったSLCキャッシュ容量が設定されていることも分かる。

 ちなみにテスト中の動作温度をCrystalDiskInfo監視してみたところ、アイドル時は42℃、ピークは57℃となった。今回の環境ではヒートシンクを装着するとビデオカードと干渉するため、特にヒートシンクをつけていない状態でのテストとなっている。長時間負荷などはかけていないものの、ヒートシンクをつけずとも問題なく動作しそうな雰囲気だ。

 PCI Express 4.0に対応したSSDは2019年に初めて登場し、当時は5GB/s程度の速度であったが、製造プロセスやアルゴリズムの改善により、今やどのメーカーも7GB/s級が当たり前になってきた雰囲気だ。同じ容量で比べるとやはり価格がこなれてきたPCI Express 3.0対応品に軍配が上がるのだが、絶対性能を重視したいユーザーならNM800は良き選択肢になるだろう。