やじうまミニレビュー

Ankerの小型Thunderbolt 4ドックを試す。高速ポートを手軽に分配可能

~Anker PowerExpand 5-in-1 Thunderbolt 4 Mini Dock

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
「Anker PowerExpand 5-in-1 Thunderbolt 4 Mini Dock」。カテゴリ上はハブに分類されるが、Ankerはドッキングステーションとして扱っている

 Ankerから、Thunderbolt 4に対応したドッキングステーション「Anker PowerExpand 5-in-1 Thunderbolt 4 Mini Dock」が発売された。以下のThunderbolt 4ケーブル検証記事で一足先に試用しているが、改めて単品でのレビューをお届けする。実売価格は2万4,980円と、この手の製品としては比較的価格が抑えられている。

最大40Gbpsの転送速度に対応するデータ転送規格

 「Thunderbolt 4」が、従来のThunderbolt 3と大きく異なる点の1つに、ハブ機能をサポートしていることが挙げられる。

 ハブ機能をサポートしない従来のThunderbolt 3は、デバイスを2台、3台と繋げるためには、デイジーチェーンで接続するしかなかった。Thunderbolt 4はハブを介してポートを分配できるため、Thunderbolt 4対応のポートが1つあれば、Thunderbolt 4対応のデバイスを複数まとめて接続できる。

製品本体。カラーはグレーとされているが、見た目は濃いシルバーだ
背面。ポートにはThunderboltアイコンが印字されている
USB Standard AポートはUSB 3.1(USB 3.2 Gen 2)対応。最大10Gbpsでの転送に対応する
背面。Thunderbolt 4対応のUSB Type-Cポート×3を備える

 本製品の場合、正面にアップストリームポート、背面のダウンストリームポート×3が配置されており、合計3台のThunderbolt 4デバイスを接続できる。そのため8Kディスプレイ(30Hz)×1台はもちろん、4Kディスプレイ(60Hz)×2台を接続し、Thunderbolt 4によるマルチディスプレイ環境を構築できる。従来のThunderbolt 3のドッキングステーションのように、HDMIやDisplayPortを使わなくて済む。

 このように本製品はハブとしての性格が強く、Thunderbolt 4に対応したUSB Type-Cポート以外には、USB 3.1(USB 3.2 Gen 2)ポートが1つあるだけだ。なお、PC WatchでのUSB規格の表記ルールについては以下の記事を参照されたい。

 HDMIやLANポート、オーディオジャック、SDカードスロットなども使いたければ、本製品と同時発売の「Anker PowerExpand Elite 12-in-1 Thunderbolt 4 Dock」を使うことになる(ただしこちらはThunderbolt 4の分配には対応しない)。

前面。アップストリームポートは、PCとの接続に使用する
背面。ダウンストリームポートポート×3にはディスプレイなどのデバイスを接続する

 ディスプレイ接続時の具体的な挙動は、冒頭のThunderbolt 4ケーブルの検証記事に譲るが、Thunderbolt 4の仕様通り、4K/60Hzでの2台同時出力が行なえた。現在市販されているThunderbolt 4ドッキングステーションの中には、ディスプレイとの相性が激しい製品もあるが、本製品は特に問題も見られなかった。

 さらに本製品は、85WまでのUSB PD出力に対応している。そのため、ノートPCをアップストリームポートに接続することで、ディスプレイなどへの出力と並行しつつ、充電を行なうことが可能だ。85Wの出力があれば、USB PDに対応したノートPCのほぼすべてで、充電が行なえるだろう。

 ただしこれはアップストリームポート側の話で、背面のダウンストリームポート×3に接続した機器への出力は、最大15Wに限定される。接続するのはPCではなく周辺機器なので、たいていは問題なく駆動するはずだが、デバイスによっては電力不足になる可能性はある。このダウンストリームポートによるスマホの充電はできても、PCの充電は難しいだろう。

アップストリーム側で検出したUSB PDのPDO(Power Data Object)。最大85Wの出力に対応している
ダウンストリーム側で検出したUSB PDのPDO。最大15Wの出力に対応している
前面のUSB Standard Aポートにはストレージなどを接続して利用できる

 このように本製品は、実質ハブと言っていい設計で、ボディサイズも一般的なドッキングステーションに比べると非常にコンパクトだ。特にフットプリントは、iPhone 12 miniと大して変わらないサイズだ。

 この背景には、付属のACアダプタがそのぶん巨大というカラクリがあるのだが、フロア上など見えない場所に置くACアダプタは巨大でも、目に見えるデスク上はなるべくスッキリさせたいというコンセプトは合理的だ。ただそのACアダプタの巨大さと重さゆえ、持ち歩いての利用は難しいだろう。

本体は手のひらサイズ。USBハブと比べても一回り大きい程度でしかない
フットプリントはiPhone 12 mini(右)とそう変わらない
付属品一覧。Thunderbolt 4ケーブルに、ACアダプタ、電源ケーブルが同梱される
100WのACアダプタは本体よりも巨大で、知らずに購入すると面食らうだろう
本体の重量は実測220gと公称値(250g)よりもかなり軽い
ACアダプタは実測498gと本体の2倍以上。さらにこれに電源ケーブルの重量が加わる

 最後に、Thunderbolt 4ではなくThunderbolt 3対応のPC(ThinkPad X1 Carbon 2019)を接続し、どのような挙動をするかを試してみた。結論から言うと、Thunderbolt 4対応のPCの場合と同じく、4K/60Hzのディスプレイ2台への同時出力が問題なく行なえた。

 ただしメーカーであるAnkerは、Thunderbolt 3対応のWindows PCは「非対応機種」としており、Thunderbolt 3に対応した専用品(Anker PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dock)を利用するよう推奨している。今回のようにたまたま上手くいく可能性はあるが、動作が保証されているわけではない点は注意したい。

 実売価格は2万4,980円と、この種のドッキングステーションとしてはリーズナブルな価格に抑えられており、18カ月の保証に加えて、直販ストア会員はさらに6カ月の延長保証を受けられる。身の回りの周辺機器の接続をThunderbolt 4に統一するにあたって、その第一歩としてお勧めできる製品だ。

電源のオン・オフは背面のボタンで行なう。ただしたいていの場合はオンにしたままになるだろう