やじうまミニレビュー

本体にディスプレイを搭載、電池残量表示やボタン割り当てが行なえるエルゴマウス

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
サンワサプライ「400-MA130」。実売価格は4,580円

 サンワサプライが直販Webショップのサンワダイレクトなどで販売している「400-MA130」は、本体に小型ディスプレイを備えたエルゴノミクスマウスだ。カウント数や電池残量といった基本情報を表示できるほか、マウス本体だけでボタンへの機能割り当てが行なえるなど、ほかにない特徴を備えている。実機を購入したので、その使い勝手をざっとチェックする。

2つのワイヤレス接続方式に対応。ボタン配置は独特

 人間工学に基づく(と言われる)エルゴノミクスデザインのマウスは、さまざまなメーカーが販売しており、とくにめずらしい存在というわけではないが、本製品はその外見だけでなく、機能面もユニークだ。

 1つはボタン数の多さだ。左右ボタンとホイールボタンの標準的な3ボタンに加え、左右ボタンの手前にさらに2ボタン、また側面にはブラウザの「戻る」、「進む」に相当する2ボタン、さらに親指の位置に1ボタンを搭載している。とくに左右ボタンの手前にある2ボタンは、あまり見かけない配置だ。

前方やや横より。2つのサイドボタンと、下部の1ボタンが見える
反対側より。2ボタンの手前にさらに2つのボタンがあるめずらしい形状
背面より。左上を向いているのがディスプレイ面
実際に握った状態。エルゴノミクスデザインのマウスによくある縦に握る形状

 もう1つの特徴が、Bluetoothと2.4GHz帯独自方式という2つの接続方式を、本体底面のスライドスイッチで選択できることだ。アンダー5千円の価格帯でこの機能を備える製品はめずらしい。ちなみに本製品の前方にはUSBポートも用意されているが、これはあくまで充電用で、有線で使えるわけではない。

底面。スライドスイッチによりBluetoothと2.4GHz帯独自方式を切り替えて使用する
2.4GHz帯での接続に使用するUSBレシーバ。使わないときは底面に収納しておける
本体の充電は本体先端のUSBポートから行なえる。USBマウスとして使えるわけではない
付属品一式。本体、取扱説明書、ケーブルのほか、前述のUSBレシーバが同梱される

ディスプレイは情報表示のほか、ボタンへの機能割り当てにも利用

 本製品最大の特徴が、情報表示用のディスプレイを上面に搭載していることだ。通常時はカウント設定や電池残量など、現在のステータスが表示されている。パソコン側でユーティリティを参照することなく、本体側でこれらの設定が確認できるのは便利だ。

本体上面に情報表示用のディスプレイを備える。ボタンやホイールを操作することで点灯する。表示は英語だ
通常時の表示。カウント数(DPI)、接続モード、接続状況のほか、右上には電池残量が表示される。ちなみにカウントは1,200/1,600/2,000/2,400の4段階で変更できる

 そしてもう1つは、本製品の拡張ボタンに機能を割り当てるためのガイダンス表示だ。ホイール手前にあるカウント切替ボタンを長押しすると、各ボタンに割り当て可能な機能の一覧(後述)が表示される。

 その状態で、割り当て先のボタンを押したあと、一覧のなかからホイールを使って機能を選択。割り当て先のボタンを再度押したのち、カウント切替ボタンを3秒間押すことで、ボタンにその役割が割り当てられるという流れだ。

 一般的に、こうしたボタンへの機能割り当ては、パソコン上でユーティリティを使って設定するわけだが、本製品はマウス本体だけでキーの割り当てが行なえるため、ユーティリティのインストールを必要としない。またその割り当てがマウス本体内に記録されるため、別のパソコンにつないでもそのまま動作するメリットもある。

カウント切替ボタンを長押しすると、ボタン割当のガイダンス画面が表示される。この状態で割り当てを行ないたいボタンを押す
割当が可能な16の機能が2画面にわたって表示される。これは1画面目
これは2画面目。ホイールでフォーカスを合わせたのち、対象のボタンを押し、続いてカウント切替ボタンを3秒押すと割り当てが確定する

 ただし割り当て可能な機能は、あらかじめ用意された16種類に限定されており、自由度は必ずしも高くない。具体的な一覧は以下のとおりだが、コピーやペーストなど利用頻度の高いショートカットはあらかじめ用意されているものの、任意キーを自分で組み合わせて登録する機能が用意されていないため、たとえばウィンドウを閉じる「Ctrl+W」を登録しようにも、手段そのものがない。

割当可能な機能の一覧(製品ページより)。あらかじめ定められた16の機能だけで、任意のショートカットやマクロを登録することはできない

汎用ツールを使って既定にないボタン割り当てにチャレンジ

 もっとも、これには裏技もある。それは、多ボタンマウスに任意のキーを割り当てられる汎用のユーティリティをパソコン側にインストールし、強制的に上書きしてしまう方法だ。

 たとえば、左側面の2ボタンには、ブラウザの「戻る」と「進む」が割り当てられているが、ここに「Ctrl+Tab」、「Ctrl+Shift+Tab」という、ブラウザのタブを左右に移動するショートカットを割り当てれば、本製品にプリセットされていないこれらのキー割り当ても使えるようになる。

 また同様に、前述の「Ctrl+W」も、ホイールボタンなどに割り当てられるようになる。今回試したWindows用フリーソフト「X-Mouse Button Control」であれば、本製品側の機能とは無関係に、こうした自由な割り当てが可能になる。

マウスのボタンに任意の機能を割り当てられるWindows用フリーソフト「X-Mouse Button Control」を使えば、3ボタン+側面2ボタンには任意の機能を割り当てられる

 ただしこのソフトで設定できるボタンは、一般的な5ボタンマウスで搭載されているボタンに限定されるので、それ以外の本製品独自のボタン、具体的には左右ボタン手前にある2ボタンや、親指の1ボタンには、このソフトは使えない。これらのボタンについては、やはり本製品に内蔵されているショートカットのなかから選択するしかない。

 実際に試した上でのおすすめとしては、左右ボタンの手前2ボタンは「コピー&ペースト」もしくは「音量の上下」という、もともと対になった機能が重宝する。また親指の1ボタンは「デスクトップの表示(Windows+Dと同じ)」、もしくは「PrintScreen」などが便利だ。とくにデスクトップの表示は、誰かが通り掛かったときに見られたくない画面をまとめて隠す、いわゆる「ボスが来た」機能のように使える。

 以上のように、現状では前述のように、「割り当てたい機能を割り当てる」というよりも「用意されている機能から使えそうなものを割り当てる」というかたちになる。もともと多ボタンマウスを常用している筆者からすると、もう少し自由度がほしいと感じるが、これで十分という人もいるはずだ。利用経験によってこのあたりの評価は大きく変わるだろう。

アンダー5千円にしてはおもしろい製品、中級者までのユーザーにおすすめ

 一般的に、エルゴノミクスをアピールする製品のなかには、はじめて手に持ったときは握りやすいと感じるものの、しばらく使い続けると違和感がじょじょに増し、1週間も経つとすっかり使わなくなってしまう製品も多い。初見での評価があてはまりにくい製品と言える。

 その点で本製品は、今回2週間ほど使ってみたかぎりでは、初見時の印象はその後も変わらず良好で、手首への負担も少ない。その形状ゆえ本体を持ち上げにくいのと、手が小さい人にはあまり適さないであろう点は要注意だが、使いはじめとその後とで印象がガラリと変わる心配はしなくてよさそうだ。

サイズはやや大きめ。手が小さい人には使いづらい可能性はある

 現時点では前述のように、ショートカット割り当ての自由度の低さが足を引っ張っている感はあるが、それは自由度の高いマウスと比べるからであって、ディスプレイによる情報表示のわかりやすさや、Bluetoothと2.4GHz帯のどちらも使える点も踏まえると、5千円を切る価格のわりにはおもしろい製品だ。中級者までのユーザーに、おすすめできるエルゴノミクスマウスと言えそうだ。