Windows 8.1ユーザーズ・ワークベンチ

ついに公開されたWindows 8.1にアップグレード

 期待のWindows 8.1がついに一般公開された。すでにインストールして、その新しさを体感しているユーザーも少なくないはずだ。この連載も「ユーザーズワークベンチ」とタイトルを刷新し、このWindows 8.1の新しさが、どんな体験をもたらすのかを見ていくことにしよう。

ストア経由でアップグレード

 Windows 8.1は、Windows 8のユーザーに対しては無償で提供されるアップデートとなる。いわば、Service Pack 1に相当すると考えてもいい。これまでのMicrosoftは、Service Packを更新の集大成と位置づけていたため、新機能の追加は基本的になかったのだが、Windows 8.1についてはその限りではない。Windows 8をリリース後、ほぼ1年間の反応を見て、細かい部分に至るまで修正が施され、さらに新機能も追加されている。

 Windows 8のユーザーは、新たにログインすると、8.1の公開を告知し、ストアに誘導するためのメッセージが表示されるはずだ。

 また、通常の手順で、スタート画面からストアにアクセスすると、目立つ位置にWindows 8.1へのアップデートを見つけることができるだろう。

 今回は、サポートされないはずだったPreview版も、アップデートの対象となっている。ただし、その場合、ファイルなどは移行されるが、プログラムについては再インストールが必要となる。つまるところは、アップデートの名前を借りた、新規インストールに近いものと考えればいい。

 なお、以前、紹介したPreviewのページを開くと、同様に、このページにリダイレクトされるようになっている。

 手元の環境では、リリース日である10月17日以降、新規、アップデート含めて常用しているPC 14台にWindows 8.1を入れてみたが、特に大きな問題は発生していない。比較のために2つの環境をまだWindows 8のままで残してあるが、これらもまもなくアップデートしてしまうつもりだ。

 なお、アップデートの手順については、Microsoftのサイトにチュートリアルのページが用意されている

3時間を要するケースもあったが問題は発生せず

 手元の環境の中で、1番機としてアップデートしたのは、Atom搭載の富士通「ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J」で、こちらは無印Windows 8をWindows 8 Proにアップデートした32bit版という、一風変わった環境だったが問題は何も起こらなかった。ちょっとビデオドライバの完成度が低く、スリープからの復帰に時間がかかるようになっているが、これらの問題については、時間が経てば、更新などが提供されると高をくくっている。

 @syoheiツイートを見るとわかるように、10/17の20:14に「無料でWindows 8.1に更新」のストアアプリを確認し、即座にアップデートを開始、以下、

・「更新をダウンロード中でもPCを使えます。次のステップに進む際にはお知らせします。」
・「ダウンロードしています」
・「情報を集めています」
・「再起動の準備をしています」
・「Windows 8.1のインストールを続けるにはPCを再起動してください」
・「再起動しています」
・「設定しています」
・(再起動後)「デバイスを準備しています」
・「PC設定を適用しています」
・「その他の処理を実行しています」
・「準備しています」

と順次メッセージが表示され処理が進んでアップデートを完了した

 この環境は、常用環境の中で最も処理性能が低いものであること、また、公開直後であったためなのかどうかに、もっとも長い2時間近くをかけてアップデートが行なわれた。自分のTwitterのこの日の履歴を見ると分かるが、ダウンロード開始の20:15から、次の「情報を集めています」が表示される22:16まで、実に2時間をかけてダウンロード、最終的に完了してログインできたのは23:23だったので、結局、3時間を要したことになる。

Windows 8でストアを開くと、目立つ位置にアップデートが見つかる
ダウンロードを開始、再起動を経てアップデートされる。要する時間はまちまちだが、特異な場合をのぞいて1時間はかからないようだ

 このアップデートが成功することで、Windowsのバージョンは、Version 6.3.9600となる。Windows 8は、Version 6.2.9200だったので、ちゃんと0.1だけ進んでいることがわかる。

アップグレードの結果、Windowsのバージョンは、6.3.9600となる

 その後の別環境のアップデートについては、ここまで時間はかからなかった。30分程度で終わった環境もあった。いずれにしても、アップデートについては、十分に時間のあるときにした方がよさそうだ。

 ちなみに、ストアアプリはWindows 8の標準アプリなので、現アカウントがWindows アカウントと関連付けされていないローカルアカウントでも8.1へのアップデートは可能だ。

 また、ストアにアクセスしても、アップデートが見つからない場合は、ブラウザで、ms-windows-store:WindowsUpgrade を開いてみよう。これは、ストアアプリのエントリを直接参照するもので、ストアにアクセスして、すぐにアップデートを開始できる。

メーカー製PCではメーカー提供の情報に注意しよう

 Windows 8.1は、基本的にWindows 8が動いていた環境なら、確実に稼働するはずだが、使っているデバイスによっては、個々のドライバの更新が必要な場合もある。アップデートの途中に互換性のないソフトウェアが発見された場合は、アンインストールを促されるので、所定の手順でアンインストールしよう。それに再起動が伴おうとも、再起動後、アップデートが再開される。かつてのWindowsのアップデートでは、延々と情報を集めて、最後の最後に互換性がないといったメッセージが表示されていたので、こちらのほうがスマートだといえるだろう。

 なお、アップデートの対象が、メーカー製PCの場合は、メーカーから提供される注意を熟読し、各種関連ドライバなどをあらかじめ入手して適用しておくようにしたい。メーカー製のPCでなくても、Windows 8を最新の状態にしておくために、Windows Updateを実行して更新プログラムを確認、「更新プログラムが自動インストールされるように設定されています」と表示されて、それ以上の新しい更新が見つからないようにしておくことが重要だ。また、各種周辺機器についても同様のことが言える。

 これらの情報の在処については、PC Watchの特設ページにまとめられているので、参考にしていただきたい。

VistaのWindowsのアップデートは新規も同然

 Windows 8.1は、これらのようにWindows 8環境のアップグレードのみならず、Windows 7などの過去のWindowsのアップデート、そして、もちろん新規インストールも可能だ。その場合は、量販店などでパッケージを入手してのインストールとなる。

 Windows 8.1をService Pack 1と考えると、Windows 8のリリース時に、その買い替えをしなかったユーザーも、Service Pack的存在である8.1のリリースに伴って買い替えしようというケースも少なくないはずだ。

 Windows 7からのアップデートは問題ないが、Microsoftでは、Windows 8、Windows 8.1 は、Windows Vista以前のWindowsが稼働しているデバイスにインストールできるように設計されていないとしている。これについては、専用のチュートリアルが用意されているので併せて参照してほしい。Vista以前のWindowsからアップグレードの際には、ファイル、設定、プログラムを保持することができないので注意が必要だ。これらの情報を保持できないのであれば、アップグレードをするよりも新規にインストールした方が良いかもしれない。プリインストールのOfficeなどがある場合、再インストールの方法も確認しておこう。製品に同梱されているOfficeのプロダクトキーを入力することで、ファイルのダウンロードから再インストールができる

言語設定の同期に注意

 何台もの環境を順次アップグレードしていっても、問題らしい問題は起こらなかったが、唯一挙げるとしたら、IMEの問題が挙げられる。Windows 8以降はSkyDriveを使って、あらゆる設定を複数台の環境で同期できるようになったが、Windows 8.1では、それがさらに拡張されている。

 その中には「言語設定」の同期も含まれていて、キーボード、入力方式、表示言語、ユーザー辞書などが同期されるようになっている。すべてのデバイスが似通った環境であれば問題は起こらないが、たとえば、サードパーティ製のIMEを一部の環境だけで使っていたり、個々の環境で、英語配列のキーボードと日本語配列のキーボードが混在しているような場合は、その同期の際にややこしいことになりかねない。これについては、Windows 8のPC設定で同期しないようにしてからアップグレードしたほうがトラブルが起こりにくいと思われる。

PC設定の同期で、「言語設定」の同期がオンになっていると、複数のデバイスで異なる環境がある場合にトラブルが起こるケースがある。ここはオフにしておく方がいいかもしれない

 また、UEFIのSecure Bootの構成による問題が発生するケースも出てきているようだ。これについては、BIOSで正しく設定しておこう。アップデート後の対応も可能だし、デスクトップ右下に表示される注意表示を削除する方法も提供されているようだ

 なお、アップグレード後、以前のWindowsは、Windows.oldフォルダとしてシステムドライブに残る。ストレージ容量が少ないシステムでは、けっこうな圧迫があるだろう。アップグレード後に必要がない場合は「ディスクのクリーンアップ」で、「システムファイルのクリーンアップ」から「以前のWindows」を削除すると、占有されていたストレージ容量が解放される。

アップグレード後、Windows.oldとして以前のWindowsがシステムフォルダに残される。ストレージ容量に余裕がない場合は、正常稼働の確認後、システムドライブのプロパティを開き「システムファイルのクリーンアップ」で「以前のWindows」を削除しておこう

 このほか、新規のインストールの場合、促されるままにMicrosoftアカウントでログインすると個人用フォルダの名前がおかしなものになってしまうので、最初はローカルアカウントでログインし、あとからMicrosoftアカウントに関連付けることをお勧めしておこう。

 次回以降、Windows 8.1の新たな機能を含め、使い方のアイディアなどを順次紹介していくようにしたい。ぜひ、ご愛読いただきたい。

(山田 祥平)