PC短評

実用十分な性能にThunderbolt 3搭載で夢広がる小型パソコン「MINISFORUM X35G」

MINISFORUM X35G

 MINISFORUMの「X35G」は、CPUにIce Lake世代のCore i3-1005Gを搭載した超小型パソコンで、現在Indiegogo上でクラウドファンディングを開始している。製品を入手するための最終出資額は399ドル(16GB+256GB)からだ。これに先立つかたちで、同社よりサンプルが送られてきたので、簡単にレビューしたい。

 X35Gは本体サイズが136.5×121.5×40.5mm(幅×奥行き×高さ)と、手のひらサイズの小型パソコンである。IntelのNUCのフットプリント(117×112mm)より若干大きいが、同じく2.5インチシャドウベイを搭載したNUC(51mm)よりは薄型となっている。また、ACアダプタもコンセント直挿しタイプで小型だ。

 冒頭で書いたとおり、CPUはCore i3-1005Gである。2コア/4スレッド構成でIce Lakeのなかでもエントリークラス。しかも内包GPUもEU 32基構成なので、Ice Lakeの特徴の1つである、近代的な3Dゲームがプレイできるほどの高いグラフィックス性能を有しているわけではない。

 しかし、Ice Lakeアーキテクチャの特徴である高いIPC(クロックあたりの命令実行数)は健在。加えて、標準で16GBのメモリと、256GBのNVMe SSDを搭載しているため、実際の動作はキビキビおり、一般使用においてストレスを感じることはない。実利用環境を反映したベンチマークであるPCMark 10でも、3,416というまずまずの値を示した。

製品パッケージ
ACアダプタは19V/1,900mAh出力。PSEも取得している
付属品。VESAマウンタのほか、専用のSATAケーブル、HDMIケーブル、DisplayPortケーブルが付属する
本体上部。通気孔はなく、シンプルにロゴのみ

 本体前面にはUSB 3.0ポートが2基、Thunderbolt 3が1基。電源ボタンのほか、マイク用のホールと、リセットホールも見える。背面インターフェイスはHDMI出力、DisplayPort、Gigabit Ethernet×2。側面にはmicroSDカードスロットと3.5mm音声入出力を備えている。また、Wi-Fi 6とBluetooth 5(Intel Wi-Fi 6 AX200)も搭載。小型パソコンとしては、インターフェイスはかなり充実しているだろう。

 評価すべきはThunderbolt 3の装備で、高性能ストレージや、外部GPUの拡張も可能。さすがにCPUが非力なので、あまりアンバランスな構成はおすすめしないが、GPU/ストレージが中心なワークロードならある程度担える。DisplayPort Alt Modeを利用した映像出力もできるので、USB Type-C対応のモバイルディスプレイならケーブル1本で画面出力が可能だ。

 さらに、Gigabit Ethernetを2ポート備えているため、ネットワークを多用するアプリケーションも担える。SATA対応の2.5インチシャドウベイとM.2スロットが1基ずつ空いているため、SSDやHDDを増設して静音NASとして活用してみるのも面白いかもしれない。

 本体は左側面から吸気、右側面へ排気する仕組み。薄型筐体からか負荷時は若干甲高いファンの軸音が聞こえるが、ノイズ成分のほとんどは風切り音であり、不快なほどではない。一方、アイドル時は静粛性が高く、耳を10cmぐらい近づけてようやく聞こえる程度なので、常時高負荷をかけない用途であれば、起動したままにしておいてもいい。

 VESAマウンタが付属しており、ディスプレイ後部にVESAマウントホールがあれば、そこに装着して設置スペースを省ける。一般的なオフィスでの利用はもちろんのこと、やや特殊なワークロードにも対応できるポテンシャルがあるので、活用法を考えてみるのも良いだろう。

本体前面はUSB 3.0×2、Thunderbolt 3、電源ボタン、リセットボタンホール、マイクホール
背面はUSB 2.0×2、Gigabit Ethernet×2、HDMI出力、DisplayPort
左側面は吸気口となっているほか、microSDカードスロット、3.5mm音声入出力も備える
右側面は排気のみ
本体底面。ゴム足はすぐに外れるようになっており、その下にネジが隠されている
本体内部。内部までもなかなか凝ったレイアウトで好感が持てる
補強用と思われるフレームを外したところ
SSDを増設するためには、基板を取り外す必要があり、そのためにはヒートシンクのネジをいったん外してずらさないと、カバーと干渉してなかなか取り出せないため、やや面倒である
マザーボードのCPU側。集積度はかなり高めだ
SATAのM.2スロットと、2.5インチSATAストレージ接続用のケーブルコネクタ(左下)が見える
オーディオコーデックはRealtekのALC256だ。左側に見えるCYPD5126はUSB Type-Cコントローラである
ネットワークコントローラはいずれもRealtekのRTL8111H
PCMark 10のスコアは3,416とまずまずだ
Ice Lake世代ではあるものの、GPUはEU32基の最小構成なので性能は高くない